鬼灯って読めますか?夏の風物詩「ホオズキ」の意味と活用法

斑目茂美 開運花師
更新日:2019-08-05 17:41
投稿日:2019-08-03 06:00

 地域によりますが、八月はお盆月でございます。

 八月の声を聞くとワタクシのお店もお盆のお支度で慌ただしくなり、店頭には早々にお盆グッズが並び始めます。

 正直、「お盆」と「お彼岸」の違いをお花屋さんになってワタクシ初めて知り、随分以前に海外からきた留学生に「どうして日本にはハロウィンが一年に3回もあるの?」と聞かれても即答できず「知らんがな!」と食い気味に答えて……という情けないお話がございます。

 お盆に欠かせないものはいろいろございますが、実は意外と知られていないのがホオズキの存在でございます。

「へえ~そうなの~!?」と思ってらっしゃるあなたのお気持ち、ワタクシ大変に良く分かります。

 なにせ「お盆」と「お彼岸」の区別もつかなかったワタクシがそんな風習を知るよしもなく……「ホオズキ」と言えば思い出すのは映画「吉原炎上」ぐらいなもので、劇中、遊女特有のお困り問題解消のため、思いつめた揚げ句、ホオズキを使ってしまった花魁(名取裕子さん)が、吉原のドブ川に飛び込み七転八倒、叫び声を上げる……これは当時まだ子供だったワタクシにとって仁支川峰子さんの名シーン「病の花魁、悶絶赤い布団部屋!」に続く衝撃映像だったことを覚えておるところでございます。

 ドブ川で痛みに悶える花魁がなんだか空恐ろしく、「何をした!?ホオズキ!」という疑問……。

 そんなホオズキの日本の風習における意味と活用方法……知りたいですよね~。

 ということで、今回は日本の夏の風物詩「ホオズキ」の解説でございます。

実はお薬…お盆では橙色の提灯頼りにご先祖様が

 可愛らしい橙色の提灯のようなホオズキが浅草寺にズラリと並ぶ「ホオズキ市」は、本格的な夏の到来を告げる江戸の風物詩でございます。

 鎮静や利尿、解熱などなど古くより薬草として親しまれていたホオズキでございますが、中国では、根が「酸漿(サンショウ)」という生薬名でしられているれっきとしたお薬なのでございます。

 ですが同時に子宮を収縮させてしまう成分ヒストニンが含まれており、江戸時代にはものすごくリスクのある堕胎剤とされていたようでございます。「吉原花魁ドブ川にて七転八倒」のあの恐ろしい図はここからきていたのでござんすな。

精霊棚に吊るしてみたり、花瓶に挿したり

 ホオズキは古くは「古事記」の中で、ヤマタノオロチの目がまるでホオズキのようだったという件で登場してくる、昔から日本人に認知されていた植物でござんす。前説にて「お盆にホオズキは欠かせない件」について触れましたが、それは何故か……

 それはホオズキを漢字に書いた時にわかるのでございます。

 ホオズキは「鬼灯」と書きますが「鬼」は「亡くなった方のこと」なる意味もございますので、さしずめ「死者の提灯」と行ったところでござんすな。

 お盆にホオズキを飾ることは、ご先祖様が迷わずにホオズキ提灯に導かれて帰って来れるようにとの意味がこめられた、いわば生きている者の務めのようなものでござんす。

 そして大きなもう一つの理由は……ホオズキの膨らんだ提灯のような空洞の中は、お盆で帰ってきたご先祖様の宿る場所、いわばリビングルームみたいなものなのでございます。ですから間違っても叩いて潰したりしないでくださいませ。ご先祖様、ブッ潰れちゃいますから。

 使い方はお盆の御膳である精霊棚に吊るしてみたり、花瓶に挿したり、あるいはお供物の上にちょこりんと載せたり……いろいろ。

 肝要なのは、精霊棚に存在するという事。これでございます。

 今回はホオズキを使った開運指南ではございませんが、一年に一度、彼岸の国から帰ってくるご先祖様を大切におもてなしをするという事は、言い換えればあなた自身を大切にすることと同じことではなかろうか……とワタクシ思うところでございます。

 間違いなく、ご先祖様はあなたが幸せになるようにと、彼岸の国でヤキモキなさっているはずでござんすから……。

 ご先祖様が、あなたの幸せを安心して彼岸の国から見守っていられますように……。

 遠いお空の向こうからお祈りいたしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


寝起きの“スマホいじり”で頭がボンヤリ…やりがちな「朝のNG習慣」4つ
「朝起きたら、お布団の中でぬくぬくしながらスマホをいじるのが至福なんじゃ〜♡」と感じている方、要注意。朝のスマホいじりの...
2025-06-21 06:00 ライフスタイル
やば! ゴミ屋敷一歩手前じゃん…あなたの部屋が片付かない理由わかってる?
「気づいたら部屋がとっ散らかっていて、床が見えない」「来客がないと部屋を片付けられない…」このように部屋を片付けられずに...
7月大災害説が怖いよ~!一応、100均の「防災グッズ」で備えとこ。旅行にも災害時にも使える救世主3選
 旅行前は100円均一のトラベルコーナーへ行き、使えそうなアイテムをピックアップ。今回手に取ったのは、災害時にも活躍して...
やっちゃってない? 部下に嫌われる上司の「絶対NG」な7つの言動。20代の目はシビアですよ
 今回ご紹介するのは働く若者の声! 20代を中心に「上司にされて嫌だったこと」を聞いてみました。部下に嫌われたくない方は...
「ありがたく拝むがよい」眩しい“神たま”を見せつけるにゃんたま族をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
侮るなかれ! 花屋が「ホントは教えたくない」名脇役の植物たち。見た目地味だけど外したくない4つの条件
「あまり目立たないけど、そういえばよく見るね」  お花屋さんで購入した花束やアレンジメントの中に、そんなお花やグリ...
うーん…友達と「金銭感覚が合わない」と感じた瞬間。疲れたらタクシーに乗る? 我慢する?
 30年、40年と生きていれば、友達と距離を置いたり縁を切ったりしたこともありますよね。関係が続かなかった友達に対して「...
この倦怠感は自律神経? それとも…更年期の症状は神出鬼没。妊活アプリのように「通知」が来る方法はないのか
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
離婚で「実母と義母」のバトル勃発! 嫁を“敵認定”した義母が放つ衝撃的な一言【身内のありえない発言】
 嫁と姑の付き合い方が見直され、昔ほどフィーチャーされにくくなった「嫁姑問題」。ですが、実際はトラブルが発生しているもの...
「ミスっても死なない!」優柔不断とおさらばする“前向きマインド”5つ
「優柔不断な性格を直したい…」「いつもクヨクヨ悩んでしまう」こんな悩みを抱えている優柔不断な方、集合! 優柔不断を改善す...
“神たま”のそば、羨ましいでしょ? 進むたび揺れる「にゃんたま」をソッと撮るお仕事です
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
わかるけど…LINEの「疲れた」アピールにウンザリ。愚痴って対応に困るんです!
 何気なくする“疲れたアピール”は、ときに人を困らせてしまうもの。相手に遠慮や我慢をさせてしまったり、無理させたりする場...
仕事一筋の私が『対岸の家事』詩穂に共感した理由。くだらない「専業主婦vsワーママ」対立してる場合じゃない
 多部未華子さん主演のドラマ『対岸の家事』が6月3日に最終回を迎えた。毎回放送されるたびに話題になり、SNSを中心に視聴...
ストゼロでも消えない死への恐怖。介護に離婚…友人それぞれが歩む人生に救われた夜。人が最後に行きつく先は
 学生時代から今に至るまで赤羽に20年住む百恵。非正規雇用、独身だが、行きつけのスナックが居場所となり、不自由なく暮らし...
48歳、乳がん検診の「要精密検査」に衝撃。独居暮らし男の孤独死に重なる…誰にも看取られない恐怖
 学生時代から今に至るまで赤羽に20年住む百恵。非正規雇用、独身だが、行きつけのスナックが居場所となり、不自由なく暮らし...
40代は“知人の訃報”がくる年齢だ。憎んだ男の「死亡通知書」で20年ぶりに集う同級生、独身の私はどう映る?
 板チョコのような重い扉を百恵が開けると、真っ赤な口紅を施したママさんがいつものように明るく出迎えてくれた。 「い...