朝ドラ史上に残るラブシーン。インテリはこれだからー!視聴者をやきもきさせた深夜の本庁トーク

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2024-08-10 08:58
投稿日:2024-08-10 06:00

第19週「悪女の賢者ぶり?」#95

 優未(竹澤咲子)から、思わぬところに優三(仲野太賀)の手紙が入っていたことを教えられた寅子(伊藤沙莉)。寅子のことばかり気遣う内容に涙が止まらず、優三の分も優未を愛することが自分のやるべきことだと、改めて感じる。

 そして、雨の夜に列車が止まってしまい、帰りが遅くなった寅子は、今の正直な気持ちを航一(岡田将生)に告げる。


【読まれています】早くも“NHK御用達俳優”の片鱗が?「虎に翼」出演の岡部ひろきはそんじょそこらの2世俳優とは違う

【本日のツボ】

天も応援する寅子と航一の仲

 ※※以下、ネタバレあります※※

 天も寅子と航一を応援しています。大雨で列車が止まり、本庁で仕事を続ける寅子。そこに航一がやって来ます。入倉(岡部ひろき)はすでに帰ったようで、ナイスアシスト、いままでで一番いい仕事をしました。

「私は今も優三さんを愛してる。これからもずっと愛し続けたい。だから、彼以外に誰かを愛したりしては駄目なんです」と寅子。「航一さんのことは大切に思っています。でも、きちんと気持ちに線を引きたいんです。突然、不躾に申し訳ありません」と航一に告げます。

 航一、告白する前に玉砕してしまうのでしょうか。このままでは「後悔なさらぬように」という涼子(桜井ユキ)の助言が無駄になってしまいます。

 寅子の話を黙って聞いていた航一。自分はすべてに蓋をして生きてきて、今が余生だと思ってきた、と語り始めます。

「子どもが巣立てば、あとは寿命が尽きるのを待つだけだと。でも、あなたといると、つい蓋が外れてしまう。すべて諦めたはずが、ついあなたのように人に踏み込んでしまう。驚くことにそんな自分が嫌いじゃない。それだけであなたと出会えてよかった。それだけで充分です」と。どこまでも紳士な航一。

「いい年して、僕らは生真面目が過ぎますが、それすらも悪くないです」と。インテリさんはこれだから、これで終わってしまっていいの…!? と、テレビのこちら側でヤキモキしていたら…。

寅子にキスしようと少しずつ小さくなる航一


 いつの間にか雨も止み、駅に行こうと廊下に出たところで、濡れた床でスベって転びそうになる寅子。「おおっ~」「ごめんなさい、変な声、出ちゃいました」。「雨の日、ここはいつもスベリ…」と言いながら見事に大スベリ、すっ転んでしまった航一。

 ここで思い出したのは、学生時代、ハイキングで寅子に押され、転落した花岡(岩田剛典)のことです。航一の大コケも花岡に負けず劣らず。吉本新喜劇でも通用しそうな見事な大コケでした。

 寅子と恋に落ちるには大コケしなければいけない法則でもあるのでしょうか。

「航一さん、怪我ないですか?」、寅子が航一の手をとり、起こします。その手を繋いだままの2人。「私にとって、ずっと恋愛は二の次三の次でした。優三さんだけを愛していたいのに、そうするって決めたのに。航一さんにどうしようもなく会いたくなったり、話したくなったり、航一さんに胸が高鳴ったりする、強烈なこれはなんなんでしょうか?」。

 さきほどの優等生モードから一転、寅子は本心を語ります。繋いだ手から伝わる航一の温もりがそうさせたのかもしれません。

 ここからのロマンティックな展開はもう目が離せません。朝ドラ史上、5本の指に入りそうなラブシーンでした。個人的には、「カーネーション」の尾野真千子&綾野剛以来かも!?

 とくに、身長差30センチの2人のキスは刮目、いや眼福でした。航一&寅子に幸あれ!

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」手嶌治虫(眞栄田郷敦)と運命の出会い…だけど。“靴紐”シーンは何かの伏線なの?
 嵩(北村匠海)はカフェで打ち合わせをしていた手嶌治虫(眞栄田郷敦)に声をかけられる。いたたまれない気持ちで会社に戻った...
桧山珠美 2025-08-09 10:38 エンタメ
山田裕貴、“気持ち”を考え続けて撮影に挑んだ。W主演の堤真一に「恥ずかしくて聞けないこと」とは?
 太平洋戦争末期の沖縄で、アメリカ軍に追い詰められて木の上に身を潜めた日本兵が、終戦を知らないまま2年間にわたって潜伏生...
望月ふみ 2025-08-08 11:45 エンタメ
「あんぱん」健太郎(高橋文哉)闇市→ディレクターへ謎すぎる大出世。スピンオフに期待していい?
 嵩(北村匠海)の漫画が入選し、大喜びののぶ(今田美桜)。嵩はのぶの笑顔がうれしくてたまらない。そんな中、蘭子(河合優実...
桧山珠美 2025-08-05 16:53 エンタメ
お受験界隈が「神回」と絶賛。藤本美貴、澤部ら芸能人はなぜ私立を目指す?『しくじり先生』で語られた“二世”息子の壮絶エピソード
 実業家の岸谷蘭丸(24)さんが7月25日深夜に放送された『しくじり先生 俺みたいになるな!!』(ABEMA・テレビ朝日...
「あんぱん」ミセス大森、キター!! 誰もが知る名曲がどう生まれるのか? のぶのパヤパヤ感はちょっと不安
 のぶ(今田美桜)は鉄子(戸田恵子)の秘書として多忙な日々を送っていた。嵩(北村匠海)も三星百貨店の宣伝部で一目置かれる...
桧山珠美 2025-08-04 21:25 エンタメ
高野洸は同郷の大スター“藤井フミヤ”を追いかけたい。実は過去2回の紅白出場、3度目を目指す目標とは
 ミュージカル『刀剣乱舞』の主演や、近年では帝国劇場での舞台『キングダム』主演など、舞台を中心に、歌手やダンサー、俳優と...
望月ふみ 2025-08-05 12:03 エンタメ
「あんぱん」嵩(北村匠海)初めてのチュウ、少しズレてなかった? 2人の“長屋生活”でいろいろ気になる点も
 朝田家、柳井家の女性陣が集結し、のぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)の結婚のお祝い会が開かれる。にぎやかに宴会が進む中、お...
桧山珠美 2025-08-02 13:13 エンタメ
「あんぱん」嵩の“三星百貨店 包装紙”誕生秘話にそうだったのか!プロポーズよりそっちに感心
 就職した嵩(北村匠海)は、複雑な表情ののぶ(今田美桜)に漫画は描き続けると言って安心させる。一方のぶは、法の整備が進む...
桧山珠美 2025-07-30 16:25 エンタメ
38歳 大河俳優の電撃婚に“ロス”の声「どんな徳を積んだの」「最後の希望が…」一方、好感度上昇の理由は?
 7月27日、俳優の松下洸平さんが結婚したことを発表しました。インスタグラムに文書を掲載する形で「突然のご報告となります...
まりも 2025-07-29 11:00 エンタメ
「あんぱん」のぶと嵩のラブコメから一転、ホラー! 登美子、怖すぎです。なぜ家を知っている…?
 お互いの気持ちを確かめ合ったのぶ(今田美桜)と嵩(北村匠海)。あれから3か月後、のぶは鉄子(戸田恵子)の選挙運動で高知...
桧山珠美 2025-07-28 12:46 エンタメ
「ダブルインパクト」ニッポンの社長、優勝の瞬間がエモかった。ロングコートダディとの深い関係
 7月21日(月・祝)に放映された新たなお笑い賞レース「ダブルインパクト」(日本テレビ系)。コントと漫才の両方で審査され...
【急上昇】星野源のMVがなんか変…!? 有名ブロガーの“遊び心”満載な映像に「狂ってて最高」「トンデモない」
 シンガーソングライターや俳優として活動する星野源さん。2025年5月14日にリリースしたニューアルバム『Gen』の収録...
夏ドラマは松本潤、相葉雅紀、櫻井翔…嵐3人が揃い踏み!視聴率では見えない“ネットでバズっている”作品は?
 2025年夏期ドラマでは、嵐から松本潤(41)、相葉雅紀(42)、櫻井翔(43)の3人の主演作が同時に放送されている。...
こじらぶ 2025-07-26 11:45 エンタメ
「あんぱん」のぶの“嵩の二倍好き”に見える負けず嫌いっぷり…。ノロケを聞く八木、いい人すぎるよ!
 のぶ(今田美桜)は嵩(北村匠海)にひどいことを言ってしまったと、八木(妻夫木聡)に愚痴をこぼしていた。一方、元気のない...
桧山珠美 2025-07-26 11:23 エンタメ
「ダブルインパクト」は“成功”だったのか? 現役芸人が感じる優れた点と3つの不満
 漫才とコントの両方で競う新たな賞レース『ダブルインパクト〜漫才&コント 二刀流No.1決定戦〜』(日本テレビ系)が7月...
帽子田 2025-07-25 11:45 エンタメ
「あんぱん」八木(妻夫木聡)の“言葉”に心が動かされた…。トンデモ演出にちょっとだけ不安
 地震から2日後。未だ高知と連絡がつかず、居ても立っても居られないのぶ(今田美桜)。そんなのぶに、八木(妻夫木聡)はあい...
桧山珠美 2025-07-24 16:39 エンタメ