勝ち組ママ友が放った屈辱的な一言。私を「一般人」と一緒にしないで!

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2024-08-19 11:57
投稿日:2024-08-19 06:00

【四ツ谷の女・大宮由香31歳 #2】

 四ツ谷・番町エリアに暮らす医師の妻である大宮由香は、娘・葵を名門お嬢様学校に通わせている。小学校に入った葵から友人ができたと聞くが、その子は赤羽に暮らす「キラキラネーム」の女の子だと由香は知る。警戒心を抱きながら、家に招待したところ…。【前回はこちら

 ◇  ◇  ◇

 数日後、愛舞(らぶ)ちゃんも了承し、母親と共に我が自宅マンションに来訪することとなった。

 そして、休日。ついにその日がやってくる。

「おはようございます、山田です」

「お待ちしておりました、どうぞお入りください」

 約束の時間ちょうどに、インターフォンが鳴った。ドアフォンを通じてセキュリティを開けると、1分もしないうちにその母娘は現れた。

「初めまして、山田愛舞の母です」

「わざわざありがとうございます、わたくし…え?」

 由香は、玄関の扉を開けるなり固まってしまった。

 懸念が、予想通りのことであったから。

名門校の保護者とは思えない

 娘の友人・山田愛舞ちゃんの母親はよくわからない海外のバンドTシャツにジーンズを合わせたラフな服装だった。それは、地元のやんちゃな友人を思わせる懐かしい普段着である。

 由香は戸惑いの表情を隠せなかった。そんな心の内をつゆ知らず、彼女はにこやかに自らの自己紹介をはじめる。

「娘がお世話になっております。山田愛舞の母、来良(らいら)です。今日は楽しみにしてきましたー」

「どうも…おあがりください」

 目を合わせずに、とりあえず家の中へ迎え入れることにした。

 年齢は由香と同じくらいだろうか。ショートカットの来良はベースの色こそ黒であるが、ところどころブラウンのハイライトを入れており快活な印象だ。

 娘同様、ハキハキとした明るい第一印象ではあるが…どこか相容れないものを感じる。彼女は最低限の礼儀としての手土産さえ持ってきている気配もなかった。

「お邪魔します」

 愛舞と来良は、座って靴を並べ、スリッパに履き替えた。その行動にひとまずの安心感をえた由香だったが、親子の足元を見て愕然とした。

 靴下も履いていない素足であったのだ。

 ――しかも、愛舞さんが着ているTシャツって…。

アニメなんて見せないのに

 呆然とする由香をよそに、葵は愛舞と手をつなぎ、リビングへ誘導していく。

「愛舞ちゃんの服、可愛いね」

「ポケモンだよー。知らないの?」

 葵にはニュースとNHK以外は見せていない。同じ学校に通わせていれば同様の教育方針だからと甘く見ていたが、どうもそうはいかないようだった。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

ライフスタイル 新着一覧


美部屋を死守してぇ ずぼら40女が実践する掃除術3選 2023.5.16(火)
 GWにキッチンの大掃除とリビングの模様替えをしました。9連休だというのにどこにも行かず、夫と2人てんやわんやの大仕事。...
アプリもう不要!? 映えるエモい写真をiPhoneだけでクリエイトしてみた
「今」という貴重な一瞬をとらえてくれる写真。記憶に残すだけじゃなく、写真にして大切にしておきたい! と思う瞬間ってたくさ...
2023-05-16 06:00 ライフスタイル
二人暮らしで生活費月10万円は可能? とっておきの節約術4つ
 恋人と二人暮らしをはじめて実感するのが、「なかなか貯金が貯まらない」ということ。これから結婚や出産など、大きな出費に備...
お触りしたい!陽だまりで手入れ中の“たまたま”にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
コロナ禍で対応分かれた子どもの「付き添い入院」、骨身に沁みたのは…
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
見上げたら、ガラスの谷間の底にいて… 2023.5.15(月)
 深くて暗い地下からやっと地上に上がった頃には、じんわり汗をかいていた。 「ずいぶん来たな」と思って空を見上げたら...
テレビの音量は8、トイレ掃除は素手…理解不能な夫の実家の謎ルール!
 どんな家庭にも「我が家独自のルール」があるものですよね! 中には、他人には理解できない謎ルールもあるでしょう。でも、嫁...
すいかばかのレシピ~'23年<1>生産量ワーストの地で昆虫性のすいか作り
 4月の山梨県北杜市白州町。この地でひとり、こだわりのすいかを作る男がいる。通称「すいかばか」こと寿風土(ことぶきふうど...
心の中に「気が強い美女」を飼う効果 2023.5.14(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
自分を「幸せじゃない」と思う人に62歳の童貞が伝えたいこと
 キミは「プロ童貞」を知っているか──。コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん...
62歳の童貞・山口明が語る二刀流時代「大谷君より早かった」
 キミは「プロ童貞」を知っているか──。コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん...
ひとり旅のメリットとデメリット 正しく天秤にかけて楽しい時を!
 家族や友人、恋人など誰かと一緒に旅行をするというのは、経験したことがありますよね。でも、ひとり旅って経験したことありま...
子アリ夫婦のつかの間デートに“夜パフェ” 2023.5.13(土)
 GWはみなさん、どこかにお出かけしましたか? 我が家は遠方から義母が飛行機に乗って遊びに来てくれたんですが、連休前日に...
親切の押し売り問題どう乗り切る? しても・されても凹む人への処方箋
 相手の親切心を受け取らないって、すごく苦しいですよね。たとえそれが自分にとってありがたくないものだとしても、受け取らな...
誰も歩かない小道、誰もいない海 2023.5.12(金)
 誰も歩かない小道を進んで、誰もいない海を眺める。  プライベートビーチっていうとちょっと違う気もするけど、このひ...
千葉で震度5強 3.11から12年「まだ終わっていない地震」と専門家指摘
 東京近郊の人は11日早朝の「緊急地震速報」にヒヤリとしただろう。同日午前4時16分、千葉県南部を震源とした最大震度5強...