作家・鈴木涼美氏と考える 現代女性の不倫リスク「不倫って気づいたら巻き込まれているもの」

ミクニシオリ フリーライター
更新日:2024-10-05 06:00
投稿日:2024-10-05 06:00

言葉とともにカジュアル化する不倫「向いていない女性像」も

 加えて昨今、ネットを賑わせたYouTuberの発言によって「女性もセカンドパートナーを持ってもいい」という思考も急激に広まっており、今後は「既婚女性側の不倫」がカジュアル化していくのではないか…とも考えられる。

「日本語って便利ですよね。売春という言葉を、援助交際とかパパ活とか言い換えれば、なぜかカジュアルに聞こえてしまう。浮気や不倫が他の言葉に言い換えられてこなかったのは、世の中にそこまで悪いことという認識がなかったからかもしれません。

 結婚制度は私が思っていたほど廃れませんでしたが、女性の生殖リミットが驚くほど伸びたわけではない。もっとも、平均寿命は順調に伸び、結婚50周年の金婚式、60周年のダイヤモンド婚式、70周年のプラチナ婚式なんて言葉も生まれたぐらいです。

 60歳を待たずに寿命を迎えていた時代と比べたら、離婚がカジュアルになるのか、不倫がカジュアルになるのか、どっちかしかない…そう考えると、ある意味自然な流れではありますよね」

 鈴木氏が話すように、日本の婚姻率は世間が心配していたほど下がっていない。コロナ中も婚姻数はほぼほぼ横ばいで、コロナが明けてからは結婚式を行うカップルも増えてきている。「子を持つ」という未来を見据える以上、女性にとっても未だ結婚は「せざるを得ないもの」と認識され続けている。

「共働き世帯も増えていて、女性も社会に出続けるし、出会いがありますよね。昔ほど、夫との関係も固定化しづらくなってきている。女性にとっての不倫は、今後も今以上に身近なものになっていくと思いますよ」

泥沼化しやすい不倫とは?

『不倫論』では、文学作品や映画の中で過去様々に描かれてきた「不倫のありよう」についても語られている。不倫は、作品によって儚く美しい純愛として描かれることもあるし、現実問題としても隣の芝は青く見えるという言葉の通り、他人のものだからこそ美しく見える場合もある。しかし、鈴木氏は「不倫に向いていない女性もいる」と注意喚起をする。

「未婚女性から見た場合の不倫の残酷さは、自分で終止符を打たないと終わりづらい。既婚男性は余暇の遊びとして不倫をしているわけで、別れる必要性も感じない。ホストの色恋営業にも似ているかなと思います。

 相手からしたらメリットだらけの関係は、別れを切り出しても簡単に終わらない場合があります。辞め時のタイミングで存在を消せるくらいの決断力がない女性にとっては、不倫は純愛の搾取となってしまう場合がありますね」

未婚女性×男性の不倫の方が泥沼化

 鈴木氏によれば、既婚女性×男性の不倫よりも、未婚女性×男性の不倫の方が泥沼化しやすいという。未婚女性から漏れ聞く不倫が悲恋ばかりなのは、既婚男性との立場のアンバランスさも大きいのかもしれない。関係を続けることにメリットしかないなら、口説き文句もいくらでも出るというものなのだろう。

 インタビューの後編では鈴木氏自身の結婚観についても伺っていく。30代を「選択的未婚」として過ごしてきた鈴木氏の現在の心境を聞いてみると、意外な本心も見えてきた。

後編へつづく:「日本のセックスレス」は文化の問題。不倫は悪なのか?】

ミクニシオリ
記事一覧
フリーライター
フリーランスの取材ライター・コラムニスト。ファッション誌や週刊誌、WEBSITEメディアなどで幅広く活動。女性向けのインタビュー取材や、等身大なコラム執筆を積極的に行う。いくつになってもキュンとしたい、恋愛ドラマと恋バナ大好き人間。
XInstagram

関連キーワード

ラブ 新着一覧


イケメンの上手な褒め方とは?好感度爆上がりなコツを指南!
 誰だって褒められたら嬉しいもの。モテる女性は、男性を上手に褒める達人であることが多いのです。けれど多くの人が「イケメン...
内藤みか 2022-09-15 06:00 ラブ
原因別セックスレス解決法!男性との熱い夜を取り戻しましょ
「最近、全然していない……」と、夜の営みがレスになってしまったことに不満を覚える女性は多いようです。特に多いのが、結婚を...
恋バナ調査隊 2022-09-15 06:00 ラブ
何歳になっても「初恋が忘れられない」理由5つと乗り越え方
 初恋は誰にとっても大切なものですが、一般的には年齢を重ね、恋愛経験が増える事に忘れてしまうものです。しかし、いくつにな...
恋バナ調査隊 2022-09-14 06:00 ラブ
クズ男ばかり選ぶ女子に警告!いい恋愛ができない本当の理由
 好きな人から大切にされなかったり、本命になれなかったり……大人になるにつれていい恋愛ができなくなってしまったと悩む方が...
若林杏樹 2022-09-14 06:00 ラブ
「男ウケ悪いよ」発言にイラッ 自分を守るとっておきの一言
「もっと普通にしてたらモテると思うけどな」と、勝手な“普通論”を男性に押し付けられて、イライラすることがあります。もっと...
ミクニシオリ 2022-09-13 06:00 ラブ
「レンタル彼氏」ってどうなん? 注意するべき6つのポイント
 高級ブランド品や腕時計など、購入しなくてもレンタルできるサービスが増加傾向になるなか、女性たちから密かに注目されている...
恋バナ調査隊 2022-09-13 06:00 ラブ
“マウント彼氏”の対処法 心が休まるどころかめんどくさい!
 彼氏がいるからといって、必ずしも関係がうまくいっているとは限りません。中には、彼氏のマウントにうんざりしている人もいる...
恋バナ調査隊 2022-09-13 06:00 ラブ
別れは最後の手段! 彼氏との温度差を感じたら3つの対処法を
 付き合った当初は仲が良かったカップルでも「なんだか最近、彼氏と温度差を感じる」「別れたいと思ってるのかな?」と不安にな...
恋バナ調査隊 2022-09-12 06:00 ラブ
「新聞に毎朝アイロンがけ」いい嫁アピールが激しすぎるLINE
 SNSを覗いてみると、「私はいい嫁アピール」が激しい投稿をよく見かけます。毎朝グリーンスムージーで彼の体調を管理したり...
“貯金なし彼氏”の上手な操縦方法 将来を考えてるからこそ!
 付き合っている彼氏と将来を見据えたお付き合いをしているなら、気になるのが「貯金」。とはいえ、どんなに親しい間柄になって...
恋バナ調査隊 2022-09-11 06:00 ラブ
交際費たんまり? 友達いない彼氏が最高の彼氏になる可能性
 友達がいない男性を、あなたは「彼氏にしたい」と思いますか? 躊躇してしまう人は少なくないように思いますが、ちょっと待っ...
恋バナ調査隊 2022-09-11 06:00 ラブ
「他人に抱かれた方がマシ」大学院で豹変した夫に嫌悪する妻
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2022-09-10 06:00 ラブ
「連れ子も育ててるのに」感謝しないバツ1妻と離婚したい夫
「冷酷と激情のあいだvol.107〜女性編〜」では、モラハラ夫に変貌してしまったナオキさん(仮名)に対して不満を抱く妻・...
並木まき 2022-09-10 06:00 ラブ
「忙しい」の3文字? 彼からの冷めた“サインLINE”に涙腺崩壊
 カップルになる直前は、終わりが見えないくらいに盛り上がるLINE。しかし、カップルになると安心感を得るため、徐々に好き...
恋バナ調査隊 2022-09-10 06:00 ラブ
真面目夫の浮気バレ~背広のポケットから出てきた意外な証拠
 男女問題研究家の山崎世美子(せみこ)です。夫や彼の浮気を知ってしまった時のダメージは計り知れません。サレ妻さんたちは口...
山崎世美子 2022-09-10 06:00 ラブ
好みは千差万別!“イケメンが苦手”な女性の心理vs男性の本音
 あなたはイケメンをどう思いますか? 「イケメンと付き合いたい」「イケメンに出会いたい」と思う女性が大半でしょう。  ...
恋バナ調査隊 2022-09-09 06:00 ラブ