下世話な仕事がバレた? 夫や息子の「意外な反応」で主婦が気づいたこと

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2024-10-12 06:00
投稿日:2024-10-12 06:00

「女優の恥ずかしいアノ姿!」私は何を書いてるんだろう…

 帰宅後は何もする気が起きず、すぐにテレビをつけた。

 10年前の高視聴率ドラマの再放送がやっている。今をときめく実力派女性俳優・藤木優菜が出演していた。

 あどけない横顔。演技もぎこちなく、だがそれもどこか初々しい。

 Wikipediaで調べるとこのドラマは彼女のデビュー作なのだという。明日以降も、1週間ほど出演は続くようだった。

 いつもの癖で、SNSを検索すると、誰もその件について反応していなかった。とっさに編集長の礼香に連絡し、そのまま1000文字程度の記事に起こした。

 <<再放送でひっそり解禁!? 月9で注目有名女性俳優の恥ずかしいアノ姿>>

 1時間程度で執筆すると、夕方には総合ニュースサイトにアップされた。

 ――何やっているんだろう。私。

 再び問う。答えは出なかった。

チェーン店でも十分おいしい焼肉店へ

 その夜は大輔が早く帰ってこられるというので、夕飯は息子たちの塾の帰りに合わせて五反田のチェーン焼肉店に行くことになった。

 気分の落ちる出来事があったこと、それを忘れるように仕事をこなしていたため、家事をする気が起きなかったので渡りに船である。

 大食漢の大輔と、育ち盛りの息子たち。嵐のような夕食の光景を眺めながら、ありふれた光景をかみしめた。

 食べ放題コースにしたので、値段は気にしなくてもいい。

 薄くて固い肉だけど、この男たちの腹が膨らむのであれば、味や高級感は関係ない。当然ながら、彼らは何枚も重ねられた皿を前に、満足げな表情をしている。

 なんだかんだで普通においしくて、私も知らぬ間に満腹になっていた。

 すると、大輔がなにげなくつぶやいた。

私の記事が家族に気づかれた?

「…あ、そうだママさ、明日の夕方のテレビ録画しといてもらっていい? その番組、Tverで上がらないらしくてさ」

「別にいいけど――」

「…え、まさか藤木優菜?」

 私と大輔の会話に、デザートのシャーベットを食べていた小4の長男・大和が割り込んできた。

「ねぇ、パパ、ファンなの? さっきスマホのニュースで見たよ。再放送がやっているみたいだね」

「いやいや、お仕事でちょっと絡むだけ。ネットニュースで知って、見ておいた方がいいかなって思ってさぁ」

 とっさにスマホでwebを開くと、自分の記事はYahoo!やLINEニュースに転載されていた。SNSにも引用で反響が多数あり、軽くバズっている。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


ダークヒーロー参上! 木の上から睨みを利かせるアウトロー“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
息抜きは絶対必要!忙しいワーママが自分時間を確保する4つのアイディア
 世の中のワーママは、仕事や家事、育児と朝から夜まで大忙し! 自分の時間なんてほとんどありませんよね。しかし、人には息抜...
「糟糠の妻」の意味は? 出世しても〇〇してはいけないんだゾ
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
ほっこり癒し漫画/第85回「食べる! 食べるでござるーッ!」
【連載第85回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
酔っ払い同士の胸熱&ちょっと恥ずいLINE3選。きのこたけのこ戦争の和解にもおすすめ?
 人はお酒を飲むと日頃心に秘めている本音が出てきますよね。酔っ払い同士のLINEをのぞいてみると、本音同士の面白い会話が...
お互いの「子どもの共通点」に愕然。平凡になったのは元彼と私、どっち?
 新川崎の大規模マンションに暮らす真央。「量産型主婦」を自覚しているが、かつての真央はバリバリの個性派女子だった。そこで...
言われたくない! ただのオジサンになった「元彼からの一言」に怒りが…
 新川崎の大規模マンションに暮らす真央。量産型主婦を自覚しているが、かつての真央はバリバリの個性派女子だった。20年前の...
「浜崎あゆみみたい」って褒め言葉? サブカル女からママ友への小さな抵抗
 かつて京浜工業地帯を支えた巨大な貨物列車ターミナルだった新川崎は、今や「品川から3駅に住まう」などというまやかしのよう...
「奢る代わりに…」急に見せた“男”にドン引き! 仲良かった友達が苦手になった瞬間【LINE編】
 仲良くしていた友達と、LINEがきっかけで疎遠になった経験はないでしょうか? 「こんな人だったの?」という違和感から、...
「センスが悪い」ってモラハラじゃないの? かつての「センスがいい人」はどこに…
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
これは盲点…!カラオケ苦手な人が乗り切る必勝法。カギは「地元」にあり
 気づけばもう2024年も残すところあと少し…。なんか今年早くないですか?? こうやって時間は過ぎていくのかと思うと、本...
総額いくらなの!? 美的の「スキンケア大充実セット版」は韓国コスメの現物も入ってお得感100点満点でしょ
 毎回、付録違いのVer.を発売している美的。12月号は「スキンケア大充実セット版」を購入してみました。  話題の...
40代、職場で地雷女に?「ソフト老害」流行語大賞候補入り、“10のこじらせ言動”に要注意
 職場に一人でも老害と思われる人がいると、雰囲気が悪くなってしまいますよね。2024年の「新語・流行語大賞」の候補には「...
「嫌われる話し方」5選。無意識にやらかしがちだけど、みーんなイライラしているかもよ?
「この人と話を聞くとなんかストレス溜まるんだよな」「会話していてなぜかイライラするの何で?」こんな風に、話していてモヤモ...
チャールズ・ブロンソンみたい! 草原の激シブ“たまたま”にキュン♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
やっべー、既読スルーしてしまった後のLINE3選。返信忘れて気まずさMAXからの挽回方法は?
 もはや日常生活に欠かせない連絡ツールになっているLINE。でも、時にはつい既読スルーしてしまい、大切な人との関係が気ま...