「リンドウ(竜胆)は仏花」と決めつけるのはもったいない! “花が咲くリンドウ”を楽しんで

斑目茂美 開運花師
更新日:2024-10-09 06:00
投稿日:2024-10-09 06:00
 日中は冷房、夜は毛布をかけて寝る不思議な時期です。これを秋と呼んでいいのかは迷いますが、季節の移ろいを感じる今日この頃。世間よりも一足早く季節を感じるお花屋では、「咲く」リンドウの大量入荷は、夏前から始まり秋が深まるまで続きます。まさにいま、真っ只中。今回はそんな「咲く」リンドウのお話、「秋の花の代名詞、苦いけど体にも嬉しいリンドウ」の解説でございます。

「リンドウ=仏花の定番」だけじゃないわよ!

 リンドウといえば「青」のイメージが強いせいか、夏のお盆、秋のお彼岸と続く仏事イベントの仏花制作には欠かせないお花ではあります。それがゆえに、仏花以外の用途で使おうものなら、手に取った途端、お客様から「他のにして」なんて言われてしまうことも多々…。

 ですが、青いお花のアイテムとしてはリンドウは大変貴重。とりわけ、秋のお彼岸が終わるとドバーッと流通量が増える「咲く」タイプのリンドウは、正直、仏花だけではもったいない(仏様には失礼な言い方ですけど)のでござんすよ。

 リンドウは長い一本の茎にたくさんの花がお行儀よく並んでいるものが主流ですが、野生種のリンドウは、高山植物のミヤマリンドウを代表とし、メチャメチャ短いものがほとんどです。

 野山を散策していると、足元に一輪、ポチャッと可愛らしく咲く短い花丈のそれは、あたり一面に広がり、まさに「天空のお花畑」を連想させます。大正時代に市場に出回っていたものは、この野生種の丈の短いタイプのリンドウだったと言われています。

 ところが、昭和初期に栽培品種として背丈の長いものが出回ると、仏花の商材として使用され一気に量産体勢に拍車がかかります。この頃流通していたのは、ミヤマリンドウに比べて背丈のある「エゾリンドウ」をルーツにするものが多く、これがリンドウにとってチョイと不都合な誤解と先入観を招いているのでございます…。


【こちらもどうぞ】球根をお得に買うなら秋! でも植えるのは“待ち”が正解。「秋植え」のベストタイミングはいつ?

「咲かないからいらない」なんて言わないで

「リンドウは咲かない」。リンドウに対する一般的な固定概念は簡単には覆らず、「咲かなくても綺麗だからいいね」もいらっしゃれば、「咲かないからいらない」の方も決して少なくはございません。えぇ、お気持ちよくわかります。

 エゾリンドウがルーツのリンドウは、開くことなく花の命を終えます。流通しているリンドウのほとんどがこのタイプで、正確には「咲かない」ではなく、しぼんでいるように咲く品種です。つまり、もう咲いてます状態よ、全く見えないかもしれないけど。というタイプが仏花によく使われています。

 ワタクシのような花業界の人間が「リンドウ」と呼ぶのは、奥ゆかしく咲く(しぼんで咲く)タイプのもの。可愛らしく花びらをポチャッと咲かせるタイプは、「ミヤマリンドウ」や「ササリンドウ」などと呼び分けております。

 特にポチャッと咲く可愛いにもほどがあるミヤマリンドウが市場に出始めるとテンション爆上がり! 「まもなくリンドウも終わりです~」の合図でもあるので、季節の移ろいを惜しむようにバンバン仕入れてバンバン売りまくるのでございますよ。

ミヤマリンドウを長持ちさせるには

 ミヤマリンドウの大きな特徴はお日様を感じると咲き、日暮れとともにしぼんで「また明日~」なところ。何度も咲いたり閉じたりを繰り返し、やがてお日様が照っても咲くことなく朽ち果てていきます。

 リンドウ全般にいえることですが、朽ち果てる前に一輪でも劣化したお花は摘んで除去です。花びらだけを摘んで引っ張れば簡単に取れます。劣化した花びらはやがて水気を帯びながら腐り、それがカビると茎や花びらに伝染していくので、劣化した花は早めのお手当でございます。

 前述の通り、本来ならば、一輪で成立するお花。除去に除去を重ねて、たとえ一輪しか残らなくても、小さなグラスなどに生ければ、最後の最後まで楽しめるお得な花でございます。

 そして、茎はハサミで切るのもいいですが、ワタクシは手でへし折ります。水の吸水面が広がり水揚げが良くなります。簡単に折れますので試してみてくださいませ。

「竜胆」の由来は?

 リンドウは「竜胆」と書き、お客様に「なんで?」とよく聞かれます。リンドウの根や根茎などは昔から生薬として使われておりました。効能は多岐に渡りますが、難点は恐ろしく苦いこと。その苦さが「竜の肝ぐらい」ということで、中国では名付けられたそう。そんなお話をさせていただくと「中国にはやっぱり竜っているの?」いたら怖いですわ(苦笑)。

 花言葉は「正義」。可愛らしい花の中にも凛とした佇まいを感じます。まっすぐな力強さを感じるリンドウがアナタのそばで励ましてくれますことを…遠いお空の向こうからお祈りしておりますよ~。

斑目茂美
記事一覧
開運花師
半導体エンジニアを経て花業界に転身。イベント・ホテルなどの装飾も手がける生花店を営む傍ら、コンテストで優勝・入賞を重ね、雑誌・新聞等に作品を発表する。神奈川各所にて花教室を開催。障害者支援も花で実践。悩ましくも素敵なお客様を「花」で幸せへと導く道先案内人。ブサかわ猫店長「さぶ」ともに奮闘中。Facebookやってます。

ライフスタイル 新着一覧


【スナック超入門編】どんな場所?若葉印のホステスが実感する5大特徴
 みなさんは、そもそも「スナック」がどんなところかご存知でしょうか?  キャバクラやガールズバーとは何が違うの?...
高級クラブのホステス→ギャラ飲み嬢に 面識なしで突然10万円ギフトが…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
「正しくないこと」が「美しくない」とは限らないと知った
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
松田聖子まさかの中大法学部を卒業! 通信制の学び直しで成功する人は?
 先日、歌手の松田聖子さん(62)が中央大学法学部の通信教育過程を卒業したことが話題になりました。近頃、通信制大学で学び...
瞬き厳禁! 春到来の歓びを表現する黒“たまたま”を見逃すな
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
スタレビの名曲が聞きたい!仏教と深い関係のある「木蓮」とその仲間たち
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、ただいま卒業式や送別など春特有のイベント仕事で、いつにも増して花まみれの毎日...
“炎上常連”麻生さん級の「ルッキズム失言」していませんか?
 最近、よく耳にするのが「ルッキズム」という言葉です。政治家や芸能人が、何気なく言った一言で「ルッキズム発言だ」と叩かれ...
女の敵は女だから?忘れた頃にぼっ発する「専業主婦論争」をガチで考える
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  X(旧Twi...
職場の同僚ランチが苦痛すぎる…一人の時間を確保する4つの冴えた処世術
 業務内容へのストレスより、職場でのランチタイムが苦痛という人は多いですよね。正直、仕事で疲れているのに、休憩時間まで同...
離婚→シンママになり、心底よかったこと4つ 我慢は美徳っていつの話?
 世間では、離婚してシンママになった女性に対して「かわいそう」「大変そう」といったイメージがあるかもしれません。  で...
春まであと少し?
 残雪の甲斐駒ヶ岳を背にすっかり葉も落ちた葡萄畑  春まであと少しが意外と長い
春のお花と記念撮影にゃ! ウサギみたいなしっぽの“たまたま”
 きょうは、ウサギ君みたい! しっぽの短いにゃんたま君に出逢いました。  しっぽが短い猫は長い猫と比べると、臆病で...
ほっこり癒し漫画/第70回「すぷりんぐファミリー」
【連載第70回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
男と女の物語、だからこそ「娚」の当て字が使われた
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
「場所代は200円いただくわ」堅実というかケチ!名目別に徴収するママ友
 ママ友と仲が良いといっても、子どもありきの関係。価値観や金銭感覚など、すべてが合うとは限りませんよね。  中には、マ...
家庭の派閥争い…夫の“ポカリ甘すぎ、アクエリアス!”に猛反対する妻
 混沌とした世の中。世界で起こっている戦争や紛争だけでなく、会社やネット上のコミュニティーでもあらゆる「派閥争い」が繰り...