更年期、私はこれで対処しています②賛否両論のプラセンタ、筋肉注射で痛みもこの上ないが…

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-11-13 06:00
投稿日:2024-11-13 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。
 第5話は「更年期、私はこれで対処しています②」。

かかりつけ医の存在こそ更年期治療

 個人的に更年期対策として一番有効だと思っているのが、かかりつけ婦人科医を持つことだ。この連載にもたびたび登場しているけれど、私には15年以上、通っている婦人科医の医師がいる。

 60~70代の個人医院の男性医師で、不妊治療外来が専門。診療予約は取っておらず、診察希望者は医院に出向いて、順番を待つのみだ。

 出会いのきっかけは…って、結婚披露宴のスピーチではない。通い始めた理由は当時住んでいた家の近くだったこと。

 30代になったので婦人科のかかりつけ医を探そうと、いくつか病院は回っていた。生理の重さ、遺伝性から何となく婦人病に関する予兆があったからだ。が、なかなか話の合う医師はおらず、1~2回の処置、処方だけを繰り返していた記憶がある。

 現在のかかりつけ医となった医師は、生理不順を訴える私に、初診で良性の子宮内膜症の疑いがあると言った。

「まずはひとつずつ、体の疑いを晴らしていきましょう。漢方薬は飲んだことがありますか?」

 そう言うと、彼は漢方薬に関する説明を始めた。ここに長く通院しているのは『加味逍遙散(かみしょうようさん)』という女性ホルモンを整える漢方薬と、低容量ピルを処方してもらっているという理由もある。そのほか不正出血も含めて、体調に不具合があった時はすぐに足を運んでいる。

【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった【日日更年期好日 #1】

専門家から得る、正しい情報

 医師は毎回、淡々と体内の状況を説明してくれる。時には手描きの図解説も登場。診察というよりは、もうカウンセリングのように患者が納得するまで話をして、こちらの訴えに耳を傾ける。そのせいなのか、彼の手元にある私のカルテは、昔の電話帳のような厚みだ。

「えーと、前にダイエットしたのは…3年前の4月ですよね。彼氏と別れた悔しさで、駒沢公園でランニングを始めたとか」

「先生、そこまでカルテにメモしてあるんですか? それ、私が死んだらすぐ焼いてくださいね!」

 冷静沈着で穏やかな性格の医師と、すぐに熱くなるせっかちな私とはウマが合った。

 長く婦人科に通って、医師から正しい情報を聞いていると感じるが、女性の体とは本当にデリケート。大げさではなく、毎月違うような気がする。私は経験がないけれど、ここに出産も加われば、もっと変化は激しいだろう。

 そんな時にかかりつけ医の出番だ。自分の体のデータを把握していて、なおかつ性格も簡単な家庭環境、職業も知っている専門医がいると、心強い。

 治療だけではなく、話を聞いてもらうだけで救われるシーンが何度もあった。ここは病院なのか、よろず相談窓口なのかとも思うが、先生は私にとってのDr.コトーである。

「先生、なぜか生まれて初めての頭痛が続いていまして…最近、本当に珍しく食欲もなくて、もう、ダメかもしれません。がんでしょうか、いや更年期かなあ」

「いつも言っていますけど、小林さんはがんと縁遠い人ですからね。私は医者ですから、患者さんをパッと見たら(病気かどうか)分かります。もう一度言いますね。がんではありません。仕事が忙しかったみたいですから…、数年前にもあった燃え尽き症候群でしょうね。今日は時間がありますか? 疲労回復に効く点滴を打ちましょうか」

 では読者の皆さまがどうしたら、こういった医師に出会えるのかといえば、もう狙いを定めて何人も医師を回る。いつか自分に合う医師は見つかるし、紹介してもらってもいい。ちなみに自分のかかりつけ医を、文章でさんざん褒めたけれど、この医師があなたに合うとも限らない。

 あまり言葉は良くないが、私は“医者ガチャ”で運が良かっただけかもしれないと思う。もし医師と会えていなかったことを想像すると、今頃も毎度、付け焼き刃の治療ばかりを続けて、婦人科ジプシーになっていた気がする。ああ、怖い。

 思い出そう、恋人や就職のためにはあんなに、さまざまな手段を用いて、各所を駆け巡ったでしょう。それらと同じことを、自分の体のためにしたっていいじゃありませんか。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


30代40代からでも「褒め上手」になれる?円滑な人間関係を構築するコツ
 あなたは人を褒めることが得意ですか? 「すごい!」と思っていても、どう伝えたらよいのか分からず、スルーしてしまう人もい...
【セリア&ダイソー】人気定番3品でイライラ激減! 2023.8.27(土)
 引っ越しをして生活環境が変わり、顔を洗うだけでも無駄に時間がかかり、とにかく鈍くさい。なぜかって? 洗顔フォームの定位...
「ひとつ前の季節」を懐かしく思う不思議 2023.8.26(土)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
ほっこりする動物漫画/第56回「散歩道 ワンが心とアキノソラ」
【連載第56回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、...
あ~すっきり! 子供の習い事でマウントをとるママ友を一撃する言葉
 子供が小さい時は、保育園や幼稚園のママ友との付き合いを避けられません。特にやっかいなのが、自分の子供とほかの子供を比較...
「もしかして妊娠してる?」勘が鋭い人から届いたドキドキLINE3選
 世の中には、勘の鋭い人がいます。ほんの小さなことでも見透かされたように言い当てられるので、恐怖すら感じる時もありますよ...
路地裏にスタジアムの歓声が響く 2023.8.25(金)
 スポーツに夢中になる誰かの汗と涙に励まされる。  彼らの姿に僕らは何を見ているんだろう?  ちょっと凹んで...
人間関係は日々修業!「アシスト上手な大人」はやっぱり超かっこいい
 みなさんの周りには、「この人は目立たないけれど、いい仕事してるんだよな」と思える人はいますか?  もしいるなら、そ...
モデルになるニャ!おやつに釣られて“たまたま”たちが大集合
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「スノーピーク豊田鞍ヶ池」に行ってきた! 2023.8.24(木)
 この夏休みは帰省ついでに愛知県・豊田市の鞍ヶ池公園内にある「豊田鞍ヶ池パークフィールド」を訪れました。広大な敷地の公園...
慶応V、色白美少年の勇姿!なぜ私たちは甲子園球児の純潔感に萌えるのか
 酷暑のなか、甲子園球場で行われた第105回全国高校野球選手権記念大会。今大会は真っ黒に日焼けした野球少年に混じって、色...
わんこ溺愛で365日冷暖房フル稼働の貧生活!ペット中心な人のLINE3選
 ペットを飼うと、本当の家族と同じように愛情が生まれますよね。でも中には、ペットを溺愛しすぎて「ペット中心」に生活をして...
居間や仏壇の花がすぐしおれる理由に納得!今すぐできる「短命回避術」
 ある暑い夏の深夜の出来事でございます。連日の繁忙期で、わずかに仮眠してすぐに職場へ戻らなければならなかったこの日、やっ...
おしっこをぶちまけるけど純粋さにメロメロ…男の子ママあるある7つ
 子供は天下の授かり物といいますが、男の子でも女の子でも子どもって本当に可愛いですよね! でも、可愛さに違いがあると言い...
お互いに気配りしつつ…フェロモンの上書きをする“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
街の片隅で咲く 2023.8.21(月)
 褒めてくれる人がいなくても、ただ自分のために咲く。そういう人って強いよね。  暑さが落ち着いたらまた出かけよう。...