「オレ忙しいアピール」って何様よ? 昭和オヤジの怠慢さに怒りの沸点越え

フィッシュバーン真也子 コラムニスト
更新日:2024-11-13 06:00
投稿日:2024-11-13 06:00
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女一匹の“ほぼリアタイ”ドタバタルポです。
 商店会は末端社会の縮図。次から次へと巻き起こるトラブルや人間関係は、どこぞの職場や家庭で見たような光景ばかり…。

財政破綻を逃れた途端、怠慢オヤジに変身の2人

 入会してくださった新規会員の方々、近隣商店街の会長さん方や区議さんなど、皆様のおかげで財政破綻はギリギリ免れた我がポンコツ商店会です。

 やれやれとほっと一息ついたものの、お金を集めたということは、きちんと商店会を運営していかなければならないわけで「街路灯をLED化しておしまい」という話ではない。

 過去には餅つきイベントや子供のための行事など、それなりのイベントを行っていたらしいが、

「いやー、昔のイベントとか覚えてないっすねー」と床屋の角さん。

「ずっと昔にやってたけど、今は人がいないからねー」と元酒屋の助さん。

 2人とも、お金が集まったら危機感がなくなり、てんでやる気なし。

【コトの発端は▶▶】“幽霊商店会”から「相談がある」と突然言われ、会合に出てみると…何!ナニ!!なにー!!!

ご老公一行、解散の危機? もしくは喧嘩上等か?

「ま、ゆっくりでいいじゃないですか。別にやらなきゃいけないわけじゃないし、もうすぐ祭の準備も始まるんで、オレ忙しいんですよ」と角さん。

 かっちーん。

 忙しいのは皆同じだし、「ポンコツ商店会がんばれ!」と応援してくれて、入会してくれた人たちの気持ちに応えたいと思わないんかー! アンタは金もらったら終わりなわけ?

「会費だけ集めて何にもやらないのはダメでしょ。詐欺じゃん。そういう態度じゃ、さんざん悪口言ってる昔の商店会の会長さんたちと同じだよね」と腹立ち紛れに切り込む私。

「はぁ? なんすかそれ?」

 私に突っ込まれ、不愉快そうに答える角さん。助さんは沈黙。ピリピリとした、一触即発な緊迫シーン@床屋の店先。あぁ、ご老公一行もこれで解散か…。

喧嘩回避のため、勢いで人材発掘宣言を叫ぶ

「会費っていうのは寄付じゃないんで、それなりの対価が求められるんですよ。だから、商店会として会員の人の事業に役立つことを考えないといけないんです。昔とは違うんで、ちゃんと運営しないとだめなんですよ」

 沈黙を破ったのは私。正論で沈黙を撃破。しかし、角さんはまだ沈黙。

 そして、助さんが口をひらく。

「皆さんのためにやらないといけないけど、現実的にオレら3人しかいないから、色々やるっていってもできないよね。人がいないからー」

 もー、助さんは、人がいないって話しかしない。

「わかりました、皆さんがそうなら、私、会員の中から運営に参加してくれる人を探します!」と、新たな人材発掘宣言。角さんへの腹立ちから、勢いで言ったものの、今後のために商店会運営者を増やさないと実際やっていけない。

「いいねいいね、そうそう、誰かぜひやって欲しい!」と喜ぶ助さん。

 角さんは相変わらずふてくされて沈黙。あー、めんどくさー。

揉めてもほっておく…地元民の独特なお付き合いの仕方

 帰る道々、助さんに、「はっきり言うとふてくされるし、ネガティブなことばっかり言うし、床屋さんてやりにくくないですか?」と今まで思っていたことをぶちまける。すると、

「みんな子供の頃から知ってるからねー、どっか許しちゃうんだよね。彼は不器用な男だからあんな態度するけど、ああいう時はしばらくほっとけばいいんだよ」

「ほっといたら、話が進まないじゃないですかー、気まずいし」

「いや、時間置いたらまた戻るし、文句言いながらも結局やる人だから、ほっとけば大丈夫。一巡して頭冷やして戻ってくるから」と助さん談。

 どうやら超地元民な彼らは、喧嘩したり揉めたりしても、その時は解決せず怒ったまま解散。そのままどちらも謝らずに時を過ごし、一巡してなんとなく元に戻ることを何十年も繰り返している様子。

「もし秋の祭で揉めても、次の祭のときは戻ってるからね、そんなもんよ」

 え、助さん、一巡って1年なの? それって一度喧嘩すると終了するまで1年かかるってこと?

 どちらも謝らず、時に身を委ねる作戦なのかー。この商店会、ポンコツな理由がわかる。

「ダメなら解消、はい次!」という私にとって、商店会は修行の場

 気の長いというか、頑なというか、彼らの流派は、生き急いでいる私には理解不能。とはいえ、なかなかに興味深く、この流派、結構学んでみたいかも。もはや商店会は昭和おばさまの修行の場。

「地元の方って気長ですね。私なんて、夫ともさっさと別れてしまって、喧嘩して一巡するまで待つなんて無理ですよー。それもお互い謝らないなんて」と私。

「あ、おれはね、腹立つことあっても一巡どころか数分で忘れちゃうからね! それに、すぐ謝っちゃう」

 あー、それはまた違う意味で問題だと思うけど、まぁ、助さんと角さんはいいコンビなのだろう。

 とりあえず、次回角さんと会うまでは冷戦状態だが、今回の角さんのぷんぷんは、助さんの予測では次のミーティングまでには直ってるだろうとのこと。

 ご機嫌が直ることを祈りつつ…(拝)。

 次回(#7)へ続く。

フィッシュバーン真也子
記事一覧
コラムニスト
養生茶カフェ店主。とある都心商店会会長。ちょこっと大家業。

出版社でインテリア誌やファッション誌の編集者として長らく勤務したのち、フリーランスのエディター、インテリアスタイリスト、デコレーターとして活動。現在はメディカルハーブのスペシャリスト、ハーバルプラクティショナーの資格を活かし、養生茶と手作りおやつのカフェ『だんで茶屋』を経営。その他、著述業、不動産賃貸業などを少々営む。

外国人との結婚と離婚、シングルマザーでの子育てなど、タフな経験を栄養にして生きる50代。いい『気』を求めて神社脇に移住。住まいや暮らしを自分流にカスタマイズしながら「空間から得る幸福感」を実践研究している。54歳から建築系大学に再入学、現在大学院にて空間によるコミュニケーションデザインを研究中。

著書に食と旅のエッセイ『笑顔になれる美味しいプロヴァンス』(スタンダードマガジン)、住まいのエッセイ『女ひとり・借金アリ・貯金ゼロからのトーキョー大家さんLIFE』(主婦の友社)

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


今年の日焼けはヤケドレベル? “常備薬”アロエの美肌効能でクールダウン
 ワタクシが幼少期に大きく影響を受けたのは、同居していた父方の祖母でございます。お花屋さんになったワタクシですが、実家は...
好きな作家と同じ時代を生きる心強さ 2023.8.2(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
すいかばかのレシピ~'23年<4>すいかが死ぬほど好きな男の一日に密着
 すいか生産量全国47位、ごくごくレアな山梨県ですいか作りに情熱を注ぐ「寿風土(こどぶきふうど)ファーム」代表の小林栄一...
【45歳からの歯科矯正】4カ月、目に見えて効果が…! 2023.8.1(火)
 総費用160万円かけてワイヤー矯正(表側)に踏み切った“40代半ば婦人”のほぼほぼリアタイ体験談。ワイヤー装着から4カ...
飛機場はペチャパイって…中国語のスラングが直接的すぎて涙が出てくる!
 全世界で約14億人の人々が話すという中国語。日本人である私たちの言語も「漢字」を使用することから、英語などのアルファベ...
2024-02-26 19:03 ライフスタイル
都会の真ん中の運河、聞こえてきたのは… 2023.7.31(月)
 都会の真ん中の運河、力強い生命力を振りまく。 「つつましやかになんてな、こっちの世界じゃ通用しないんだよ」 ...
ガラステーブル買っちゃう?  “たまたま”の夏を満喫できるよ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
落ち込んでる人への「ひと言」に悩んだら…心に染みたLINE3選を参考に
 目の前に落ち込んでる人がいると、どんな言葉をかけていいか迷ってしまう時がありますよね。もしも迷ったら、自分が過去にかけ...
「いま一番欲しいもの」を即答できる? 2023.7.30(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
動物&飼い主のほっこり癒し漫画/第54回「真夏のシンジツ」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
「売れ残り」って心が折れた…思春期の甥&姪からの切ないLINE3選
 甥や姪が可愛くて仕方ない人は多いでしょう。兄弟姉妹の子供って、特別ですよね。小さい時から見ている人も多く、中にはかなり...
「偽善者か?」歌舞伎町の野良猫に2年間、毎日ご飯をあげ続けた男性の話
「かわいくないんですよ~(笑)。『なんだよ』って文句しか言っていない。好き嫌いは多いし、忙しいときに限って、ご飯を食べて...
小汚いサンダルをやめた女性の成功話!メイクや髪形より「キレイな靴」
 みなさんは“人の足元”って気にして見るほうですか? 私は靴が好きなのもあって、よく見ているほうだと思います。ただし、自...
真夏を彩る花 2023.7.28(金)
 こうも暑いとゲンナリするけど、むしろ過酷な状況を楽しむかのように咲く。  逆境でがんばる花のたくましさに驚く。 ...
皆が皆、社交的ではないよね…懇親会が苦手な人が“極力疲れない”対処法
 会社員だと避けて通れないものの一つが「懇親会」。参加人数が多かったり、他部署と交流をしないといけなかったりと、「正直疲...
対応ミスると悲惨! お盆の義実家トラブル5つの地雷&回避術
 お盆も間近! 義実家への帰省が憂うつという奥様は、あなただけではありません。気を使っているつもりでも、義両親を怒らせて...