更年期障害と付き合うおばさんの心得。私は「ツヤ髪」で自信を取り戻す

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2024-12-18 06:00
投稿日:2024-12-18 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第10話は「おばさんだって“女の自信”が欲しいわけで」。

女としての自信とは

 ラジオを聴いていたら50代の女性パーソナリティーがこんなことを言っていた。

「女性の50代は更年期や仕事、家庭と何かと大変。それでも全身のどこかに誇れるパーツがあると、女として自信が持てる。肌や髪の毛、まつ毛、爪、フェイスライン…何でも構わないけれど、どこか1カ所だけは丁寧に手入れをしたほうがいい。ぜんぶのケアは無理だから」

 ちなみにこちらのパーソナリティーも、絶賛更年期中だそう。でも自分を鼓舞するためにツヤ髪ケアだけは欠かしていないとのことだった。ラジオを聴きながら「そうか」とうなずく。

 この連載のテーマは更年期。みなさまと情報共有をするべく、あんな症状もあった、こんな症状もあったと記憶を掘り起こしたり、新しいことを考えたりしながら文章にしている。

 事象を並べて見直してみると、毎日ちょっとずつ不調だ。そして体調不良というものは、精神的な部分も蝕んでいく。

 夏にこんなことがあった。ショッピングモールで襟周りに特徴のあるトップスが目に入り、買おうかどうしようか迷っていた。が、のぼせで首筋に汗をかきまくっている自分を思い出して、購入を思いとどまる。

 これが精神へのダメージだ。代わりにガンガン洗濯をしても良さそうな、コットンのTシャツを買った。こうして自信はすり減っていく。


【こちらもどうぞ】更年期、私はこれで対処しています①漢方薬服用歴15年超、「意味あるのか?」と医師に尋ねた

先祖に感謝する髪質を活かす

 荒んだ気持ちは良くない。私も自信を取り戻すべく、自分に何かないかと見た目を振り返る。体型は…史上最重量をマークしているので、アレとして…と。

 そこで思いついたのがパーソナリティーと同じく、髪の毛だった。直毛で大きなトラブルもなく、馴染みの美容院でも「合格!」と、いつも褒められる髪質だ。真っ黒でもなく、適度に茶色。これは完全に遺伝によるもので、先祖に感謝を申し上げる以外、他はない。

 ただ最近、白髪が見えてくるようになり、だんだん手入れも面倒になっていた。最近、毛量も増えて、ドライヤーでも乾きにくい。

 いかん。つい落ち込む方向に考えるのが更年期の悪い癖だわ。

 50代を控えているけれど、昔のような状態にして自信を戻そう。やってみよう。以前のツヤ髪になることが、私のメルクマールだ。

 そう意気込んでまず見直したのが、日々のシャンプーである。実は以前、前出の美容院のスタイリストとヘアケアに関する『髪の明るさは女性の一生を照らす』(扶桑社)という書籍を作ったことがある。

 その時の打ち合わせでさんざん、効果のあるシャンプー方法を聞いておきながら、最近はサクッとシャンプーを終わらせていた。なんと情けない編集担当者だろうか…。まずは当時の記憶を掘り起こそう。

おかえりなさい、髪ツヤ

 自信を取り戻すために行ったシャンプー方法を紹介したい。重視するのは「梳(と)かす、流す、乾かす」。

 まずはシャンプー前によーく髪の毛を梳かして、汚れを落ちやすくする。ブラシはなんでも構わない。ちなみに私は『ラブクロム』のコームを使っている。高価ではあるけれど、一生モノだと清水買いをした。

 そしてよーくお湯で流す。これで汚れのほとんどは落ちるそうだ。顔まわり、うなじ、首の裏。見落としがちな部分を1分間(!)ほどかけて、流す。

 で、いよいよシャンプー。洗うというよりはシャンプーの泡を髪の毛に絡ませるという感覚がいいそうだ。ゴシゴシ洗うのはNG。ここで『ツーシャン』と呼ばれる、洗髪方法の登場だ。

 1回目は全体に泡をさらっとつけて、ざっくり流す。2回目はたっぷり泡をつけて、しっかりと流す。洗髪前のお湯で流すような感覚で流す。ちなみに泡立ては専用のネットを使っている。手で泡が作れる専門性の高い技術は、私にはない。

 トリートメントも塗布したあとは、コームで馴染ませる。そしてまたよーく流して、ドライ。濡れたままは傷みの原因なので、きっちりと乾かす。

 読んでいるとジリジリしてきそうな工程かもしれないが、この丁寧な洗髪方法を実践してから、汚れが落ちているのか髪の毛がとても軽くなった。美容院帰りの感覚である。その後どこかに消えていたツヤが全速力で戻ってきたのだ。

胸を張って歩くのは気持ちが良い

 戻ってくるペースは人によると思うけれど、私の場合は1カ月程度で実感。このおかげで最近、外出前のスタイリング(オイルを塗る程度だけど)が楽しくなった。仕事先で「どこのトリートメントなのか」と聞かれることもある。

 これらが加齢や更年期によって失いかけた、完全自信修復になるとは言い難い。もしくはおばさんの抗いに見えるかもしれないけれど、胸を張って歩くのは気持ちが良いのだ。

 何かひとつ、無理(高額美容治療etc)をしない範囲で、自信をつけてみること、お勧めします。

 次回(#11)へ続く。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


母親は夢を諦めなきゃダメですか?夫を「支えてあげて」の言葉が悔しい
 かつて漫画家を目指していた夫婦の絵里奈と拓郎。双子の子供ができたことを機に、夢を諦め堅気の生活をしている。  夜...
浮気より酷い夫の裏切り SNSには私の知らない「もう1人の彼」がいた
 かつて漫画家を目指していた夫婦の絵里奈と拓郎。双子の子供ができたことを機に、夢を諦め堅気の生活を暮らしている。 ...
妊娠妻の電話に出ない…いまだ夢見る漫画家志望の夫とワンオペ妻の軋轢
 初夏の印象が霞むほどの汗ばむ陽気の午前中。  林絵里奈は井の頭公園の池のほとりのベンチに腰を掛け、在りし日のデー...
「晩ごはん何?」焼肉、すき焼き却下でもやし炒め! 家族間攻防LINE3戦
 仕事で疲れて帰宅した時、一番楽しみなのは晩ごはんですよね! とはいえ、主婦としては毎日の晩ごはんのメニューを考えるのも...
【ファミマ】コンビニ衣類正直レビュー、ショーパンゆる履きはOKだけど
 ファミリーマートとファセッタズム(FACETASM)のデザイナー落合宏理氏が共同開発した衣類「コンビニエンスウェア」。...
【独自】すいかばか初の“夕方専用すいか”、気になる出来栄えは?
 すいか生産量全国47位、ごくごくレアな山梨県ですいか作りに情熱を注ぐ「寿風土(こどぶきふうど)ファーム」代表の小林栄一...
インフルエンサー退職願望のアラフォー、“発信=スキル”なる大きな勘違い
 普通の会社員を続けることに不安を感じる女性が増えています。周囲に自分の才能を活かして稼いでいるがいると、「自分も何か発...
職場やママ友“ケチな人”との付き合い方5選 1円単位で文句ブーブーは勘弁
「この飲み会、私はあまり飲んでないから、あなたたちが多めに払ってくれるよね?」「ここの料理、5,000円もするの? え〜...
背徳感がたまらにゃい♡ ガラステーブルの下から見る涼し気“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
夏場の観葉植物、様子が変!間違った育て方、救済法、最新便利グッズまで
 危険な暑さが続く夏。猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は古い平屋の建屋のため、エアコンをフル活用しても、毎日が熱中...
きっと、夫も気付いていた…40女が長年の“腐れ縁”にケリをつける日
 実は筆者には、結婚前から長く続いている“腐れ縁”があります。その相手を仮にP氏とします。
くねくねコロンは信頼の証♡ 無防備な“たまたま”をガン見しちゃおう
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
目的地は決めてない 見知らぬ町を深夜にふらつく解放感
 終電が終わって、深夜の踏切はしばしの休憩。また朝から大忙しだからね。  こちらは明日は予定もないから、見知らぬ町...
【難解女ことば】「婆」の部首はさんずいではない。正解は?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
母と夫がまさか…流行りの性格診断で腰抜かす『16Personalities』が怖い
 SNSのプロフィールに診断結果のアルファベットを入れたり、それぞれの性格をコンテンツにまとめたりと、若者を中心に流行し...
2024-07-06 06:00 ライフスタイル
玄関でモワ~ン、子供の足が臭い! 家庭で簡単にできる3つのニオイ対策
 子供が成長するにつれて気になってくるのが「子供の足の臭い」です。特にスポーツをやっている子供や、汗をかきやすい夏などは...