まさか痴漢に遭うとは…更年期真っ最中のおばさんの身に降りかかった「性的な危険」

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-01-29 06:00
投稿日:2025-01-29 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第15話は「おばさんも危険」。

痴漢被害は若い女性だけ?

 年齢を重ねるのは面白みも増すけれど、大変であることは確か。同年代との会話は更年期、病院、健康、親の介護に自分の老後の話しがメインになった。

「最近、乾燥すごくない? なんかプツプツと湿疹も出てきちゃって…。たまの休みも自分の病院巡りで終わるよ」

「人間ドック、いいところ知っているんだけど!」

 まあいい。これも諸先輩方が辿ってきた道で、我々に順番が回ってきただけだ。

 ひとつ利点を挙げるとしたら、おばさんになったおかげで「痴漢を気にしなくていい」。だった。深夜の一人歩きも満員電車も酒場も、とうが立った女を対象者として見ることはない。危険な視線を気にしなくていいのは、年齢を重ねた利点だと思っていた。

 が。その考えを自省することになるのが、本日のテーマ「おばさんも性的な意味で危険な目に遭うことがある」。最近、実際に運悪く変なおっさんに絡まれることになってしまった。


【こちらもどうぞ】「更年期じゃね?」「おばさん、更年期(笑)」適当な情報を鵜呑みした女子大生たちが悪いのか?

まさかのナンパか、性被害か

 20〜30代を振り返ると痴漢被害によく遭遇した。東京在住なので被害シーンのメインは電車内。自分の性器を当ててくる、お尻を触られる。横断歩道で前から歩いてくる男性にいきなり胸を触られたこともあった。今もし被害に遭ったら、大騒ぎをして警察に突き出すだろう。

 無罪を主張しようものなら、自分のありとあらゆる知識とブレーンを使って、完膚なきまでに叩き潰す…けれど、20代の私は逃げることしかできなかった。

 そして若いと言われる年齢を過ぎ、痴漢はもう遭遇するものではなく、こちらが救助するものだとばかり思っていた。まさかアラフィフとなって被害にも遭うなんて、思いもよらず…。

 とある夜のことだ。飲み会を終えて23時ごろに最寄りの駅から歩いていると、自宅まであと少しというところで、サラリーマン風のおっさんから「飲みに行こうよ」と、声をかけられた。

(は? ナンパ? マスクをしているからわからないと思うけど、私、年齢を聞いたらびっくりの相当なおばさんよ? は?)

 心の叫びを消して「結構です」と言い、スタスタと歩き出した。が、ニヤニヤしているおっさんに手首を掴まれる。これが男の力というものを発揮していて、簡単に振り払えず、恐怖でドキッとする。これは痴漢という言葉だけでは収まらない、立派な性加害だ。

「いいじゃないですか、一杯だけ」

 我が地元の駅は住宅街なので夜になるとコンビニくらいしか、店は開いていない。そういう静かさを選んで気に入って住んでいるのに、それが仇になるとは思いもよらなかった。

小林久乃
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コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

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