ゲッ…まだ「mixi」見てるの? 独身女2人の即レスに“意地悪な幸せ”を感じる上から目線の主婦

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-03-08 06:00
投稿日:2025-03-08 06:00

芸人を志す若者が集まる街だった

 西大井は、正直言うと何もない。駅もあるのに、なぜか「陸の孤島」という呼称があるほどだ。

 最近でこそ夫の勤務する大手企業が移転してきて、社屋が名物のようにはなっているけど、住宅と必要最低限のチェーン店が並んでいるだけの街である。電車好きの息子は新幹線が毎日見えるから楽しいとは言っているが…。

 この何もないこの街に、何者かになろうとした若者たちがかつては夢を追いかけて集まっていたなんて、今となっては信じられない。

「みんな、ご飯できたからおいで」

 準備しておいた夕食をテーブルに並べながら、ゲームの結果に一喜一憂する家族に呼びかける。今日のメニューは野菜たっぷりの味噌汁に、カボチャの煮つけ、子どもが大好きな白身魚のフライとメンチカツだ。

「いただきまーす」

 おいしそうに頬張る家族の横で、私はリビングのソファに身体を預け、スマホを手にした。夕食は残り物で十分。これは決して母親の自己犠牲ではない。3食摂取しているだけで肉がついてしまう年頃だから。

<SMILE♡すみれ>と名のついたすみれのページを開くと、記憶と変わらない彼女の笑顔がそこにあった。プロフィールも当時のまま。コミュニティ一覧によると、彼女は当時ダウンタウンに心酔していたらしい。はたして今もそうなのだろうか? ログインは1時間以内との表記があった。

<midorikko>こと翠は、プロフィール画像がワインボトルと赤ワインが注がれたグラスに変わっていた。あの頃は確か、空を見上げる横顔の写真だったはず。最終ログインは3時間以内。そのプロフィール欄の充実ぶりから、今もこの地を頻繁に訪れていることがうかがえる。

 ――さみしいんだな、みんな。

 家族のにぎやかさの中で、彼女たちに感情を寄せる。2人とも年賀状のやりとりはあるが、今も私の知っている苗字のまま。おそらく独身だろう。

すぐに決まる予定。2人とも暇なの?

『コメント嬉しい! 会いたいね。近々集まろうよ? 同窓会しよ』

 何の気なしにコミュニティに投げかけると、30分ほどで2人のコメントがついた。

『いいね~』と、すみれ。

『来月の土日であればいつでもいいよ。後半は仕事の出張日程が見えないから前半が嬉しい。8日とかどう?』と翠。

 そして、『さっそく(笑) 私は大丈夫よ』と、すみれ。

 思いのほか、すんなり調整ができた。

 2人とも、そんな暇なのだろうか。

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


大バズり流行語5選、理解してる?40代でも話についていけるように解説
 2024年も半分が過ぎ、振り返ると今年の上半期もさまざまな流行語が登場しました。40代の皆さんが聞き馴染みのない言葉も...
330円って本気? 職人が作る高見えグッズ、ダイソー姉妹店で見つけた!
 ダイソーが提案する新しいブランド「スタンダードプロダクツ」で、日本が誇る職人技の商品をコスパ良くゲットしてきました。 ...
現金より危険な面も…「電子マネートラブル」よくある事例と3つの対策法
 近年、現金を持ち歩かず、電子マネーを利用する人が増えていますが、それに伴って急増しているのが、電子マネートラブルです。...
親子でしっぽシマシマ隊! チビ“たまたま”がすくすく育ちますように
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
命がけで庭の雑草駆除、今年もやるの?ローメンテを叶える夏の雑草対策
 雑草が気になる季節になりました。「雑草」という植物なんて無いねえ~と言われちゃえばそれまでですが、道端はまぁいいとして...
トレンド入り「猫ミーム」インフルエンサーの投稿じゃないのになぜバズる
 2024年春、突如日本のSNSシーンで流行し始めた「猫ミーム」というカルチャー。日本だけでなく、今世界で流行し、そして...
え、ハブられてる? ママ友に嫌われる言動ランキング&上手に付き合う術
 子育て中の女性が必ず直面する「ママ友との付き合い」。気の合う人に出会えれば、情報交換や悩みごとを共有できる仲間として心...
カスハラとクレームの違い 料理が30分経っても出ないから文句言ったら?
 パワハラ、セクハラ、モラハラ…。最近何かと「ハラスメント」という言葉を耳にしますよね。その中でもここ数年でよく見聞きす...
「風呂キャンセル界隈」失敗談 足の臭いでバレ!自分を奮い立たせる方法
 ネットスラングで「風呂キャンセル界隈」というワードが話題になっています。読者の皆さんの中にも、その日の入浴をキャンセル...
丸見え族、参上! うさぎシッポの“たまたま”君にロックオン
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
何をそんなに怒っているのだ?
 何をそんなに怒っているのだ?  東京都庁近くにて。
ほっこり癒し漫画/第75回「ヘルプみーこ」(後編)
【連載第75回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【難解女ことば】「小女子」ってなんて読む? ヒントはご飯が進むもの。
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
最新「グダグダなLINEやり取りの終わらせ方」知らないのは無防備すぎる
 仕事からプライベートまで、コミュニケーションツールとして使えるLINE。便利かつ気軽ではありますが、それゆえにダラダラ...
スマホを持たないサブカル老人の願い「本屋に行く楽しみを奪わないで~」
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
クレクレママの実態 買い換えるなら「車くれない?」っておねだりする!?
 人のものをすぐに欲しがるクレクレママ、あなたの周りにはいませんか? おさがりなどをもらってくれて助かることもあるけれど...