おばさん特有の顔のたるみ対策。松たか子を目指し「ウ・イ・ス・キー」を唱えてみようじゃないか

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-03-26 06:00
投稿日:2025-03-26 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第23話は「フェイスライン戦争」。

糸リフトは不自然に見える?

 編集者たちとの飲み会で、女性のフェイスラインの話題になった。最近の整形ブームも相まって、中年女性たちのフェイスライン対策が過激になっているという。

「芸能人や美容家もみんな、フェイスラインを糸で引っ張っているんだって」

 糸で引っ張る…? そう、糸リフトとも呼ばれる手法で、頬のあたりから糸を入れて、中年のたるんだフェイスラインを修繕しているとか。聞くだけで腰の辺りがザワザワしてくるような話題に、身の毛がよだつ。その場で話題に上がった著名人たちを思い出すと、皆、私と同じような「中年」と括られる年齢だ。各媒体では見かけるけれど、写真修正だけでは表現できない異様な雰囲気を感じていた。あれはやはり整形によるものだと、元女性ファッション雑誌の編集者としては睨んでいたが、正解だったらしい。

「やりすぎなんですよね。おかげで化粧品メーカーのタイアップも続々と消えていると聞きました。たるみは化粧品だけではどうにもならないですからね」

 帰宅後に酔っ払いながら自分の顔を見つめ直すと、あら大変。下を向くといかにもおばさんらしい、たるみが浮上していた。(緊迫するほうの)ヤバい。単身というのはこういう時に怖いと思う。毎日洗面台で見ている顔というのは“慣れ”が生じて、たるんでいようが、太っていようが、その姿をつい寛容してしまう。家族でもいたら「お母さん、太ったね」と、容赦なく指摘してもらえるのだろうけど、自分でじぶんを律するしかない。ではこの伸び率の良い顔まわりの脂肪をどうするべきか。かくして私のフェイスライン戦争の幕が開けた。

【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった

メスを入れない切実な理由

 整形はポピュラーなものになったし、全面否定をするつもりはない。是々非々についてはややこしいこともあるので、また別の機会に書こう。ただ自分が整形をするかどうかと問われると、自ら着手する予定はない。美容医療、マッサージ、鍼といった類のものは、生活におけるエッセンス。けしてインフラではないので、必要に応じてお世話になっているけれど、メスを入れるのは話題が変わる。きれいになるということは女性にとって、こと中毒性が高い。一度手を出したらやめられなくなる自分が安易に想像できるし、何より後期高齢者となったときに、現在ほどの収入を保持できて、支払いもできるのかと問われると自信がない。そんな理由で美容医療とは距離を置いている。

 ただフェイスラインであれば、まだ自分でもどうにか救出できる術がある。著名人らのような魔法がかったたるみ消しはできないけれど、自力でカバーしてみたい。まずは目標を決めようと、同年代のフェイスラインチェックをしてみた。

 とりあえず理想として「美容医療で手を加えていない、たるみすぎない、自然なフェイスライン」が挙がる。なんだかやっすい広告のキャッチコピーのようだが、私にとっての最適解。美容体重としての維持も求められるらしいが、これも同時進行の課題としておく。そしてリフトアップのために自宅でできる美容法をいくつか思い出す。何度も取材で識者から指導を受けてきた、顔の筋トレ、顔ヨガ、『リファ』のフェイスローラーケアに、ヘッドマッサージ。どれも一時期は日課にしていたけれど最近行った日にちを思い出せない。よし、これからは鏡の前でやるとするか。

目指すは松たか子

 人物像としては俳優の松たか子だ。あれだけ高明な俳優でありながら、フェイスラインには自然なたるみがあり、それが演じる人物像にリアリティーをもたらしている。もちろん彼女の存在感あってこそ、世間が認めるフェイスライン。そんなことは百も承知だがまずは、松たか子。何を言われても松たか子。いざ、二重顎脱出。

 ちなみに顔に筋肉をつける動きは大きな口で「ウ・イ・ス・キー」と10回ほど顔まわりを動かすのがいいらしい。それまで「あ・い・う・え・お」と口を動かしていたが、顎に余分な負担がかかると聞いて顎関節症を危惧してすぐにやめた。街中で歩きながら「ウ・イ・ス・キー」と口を動かしているおばさんがいたら、それは私。何も言わずにそっと見守っていてほしい。必ずやフェイスライン戦争に勝利をして、ここに報告をしたいのだ。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


令和の嫁は泣き寝入りしない! 姑への仕返し経験談4つ「私への暴言を録音して流しました」
 息子を奪われた気になって、嫁に嫌がらせをしたり嫌味を言ったりする姑は令和にもいるものです。  しかし嫁たちだって...
SNSの誹謗中傷、なぜするの? こじらせアンチ勢の心理8つ。冗談のつもりが攻撃に…
 SNSには匿名であることを利用して、批判や否定、誹謗中傷のコメントなどを繰り返す人がは一定数いるものです。そんな“アン...
ちょ…「パチンコ通ってそう」ってどういう意味!? 身近な女のイラつくLINE6選
 口調や仕草で可愛らしさをアピールする「痛い女」に、気遣いができない「自称サバサバ女」。女の敵はやっぱり女? あなたもこ...
にゃんたま総長、おやつをどうぞ! 猫族の頂点に君臨する風格はさすがです
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第102回「夏のバカンスだワン!」
【連載第102回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽの...
【漢字探し】「妍(ケン)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
夫の「相手」と直接対決した結果…妻が抱いた不思議な感情。ベッドでありえない“未来”を夢想する夜
 亜理紗は夫・慶士の不自然な泊り大阪出張の真相を探るべく、浮気相手である女のインスタを見て、大磯のプールリゾートへやって...
“清純系”女の視線にゾッ…地獄を見せるはずだったのに。29歳の妻が企んだ稚拙な復讐
 亜理紗は夫・慶士の不自然な泊り出張の真相を探るべく、浮気相手である女のインスタを見て、大磯のプールリゾートへやってくる...
「なめられてたまるか」出産直前、夫は女と沖縄へ…密会場所に乗り込む“元ギャル妻”の計画
「明日の本社への出張さ、やっぱ早朝に出て新幹線で行くわ」  1カ月前から予定されていた夫・慶士の大阪出張。 ...
「ウチは犬派だ」で険悪に…義両親との会話がハードモードすぎ! 帰省時のテッパン会話5つ
 お盆の帰省で、頭を悩ませるのが義実家との付き合いです。義実家とは年に数回、長い休みの時しかにしか会わないという方も多い...
65歳の男が「完璧な人間=幸せ」じゃないと気づいた瞬間。やっぱり人間は好きなことでしか頑張れない
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(65)。多忙な現役時代を経て、56歳...
スナックで見た! 実際にあった“ホステス同士”の陰湿なバトル「京都の女、嫌いなんだよねー」にヒヤッ…
 夜の世界を描いたドラマや漫画、きっとみなさんも一度は見たことありますよね。  その中に出てくる女同士のケンカって...
“毒親”に我慢しないで。酒で暴力、友人と肉体関係…絶縁を決意した5人のエピソード
 実の親子であっても分かり合えなかったり、親に苦しめられたりする人もいるもの。場合によっては、縁を切る選択がふさわしいケ...
賃貸の壁、将来の不安…独女が「ひとりで生きていく」ってどうすれば? これからの“住まい”を考える
「アラフィフ独女、51歳、フリーランス」この3点セットで生きていると、ふとした瞬間に「このまま、ひとりで歳を重ねていくの...
41.8度だってよ! 暑すぎて働けない…夏のやる気ゼロ→私がモチベUPできた対処法4つ
 夏本番。朝から照りつける日差し、ムワッとした湿気、汗が止まらない毎日…。そんな中で「今日も仕事か…無理かも」と思ってし...
ゴクリ…日本最大級“にゃんたま”様に出会ってしまった。撮影困難な生きる伝説にひれ伏す!
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...