グレイヘアは腰が引けるよね…。それでも中年女性の白髪はチャンスだと思えた“素敵な一言”

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-04-02 06:00
投稿日:2025-04-02 06:00
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第24話は「白髪チャンス」。

グレイヘアにはまだ早い

 年齢を重ねていくと向き合わなくてはいけないのが、白髪問題。私は抜く・切る問題はすでに通過していて、見せるか、隠すかというタームへ突入している。もともとメラニン色素が少ない体質なので、幼い頃から金髪なのか白髪なのかわからないような薄い色の髪の毛はポツポツとあった。それが40代に突入してから頭部の前方(前髪の部分)にごそっと、束状に生えるようになっていた。以来、数本の細かな白髪がまばらに生えている状態が続く。今は隠すことに重きを置いているけれど、少し気を抜けば白髪の印象が強くなるだろう。

 では見せる、とは。とあるタレントの発言によって、2018年ごろ「グレイヘア」というワードが話題になった。私のように白髪を隠すのではなく、染めずに堂々と白髪を見せる。当時、私も白髪に悩みはじめていたので「これも白髪対策の一環だ」と潔さを称賛していた。それから数年経過して、改めてグレイヘアをやるかどうかと考えると腰が引けてしまう。理由は威圧感にある。友人がこんな話しをしてきた。

「グレイヘアは著名人だから通用するよね。ほら、私も会社で中間管理職だし、中年だし、グレイヘアだと社内外の人と話す時に妙な威圧感を与えちゃうのよね…」

 一理ある。下請けの身分の私がグレイヘアで登場したら…仕事相手が運悪く年下だったら…私のキャラや実年齢も伴って、仕事相手に威圧感を与えてしまうことになるだろう。後期高齢者になったら堂々と見せていけるだろうけど、やはり今は隠すことに徹するしかない。

【こちらもどうぞ】更年期、それはある日突然に…45歳女の体が『倦怠感で満タン』になった

私の白髪隠し習慣

 白髪を隠すことに関して、具体的にどうしているかといえばまずは染める。長年青山の美容室に通っているけれど白髪の伸び率が増し、毎月通うことが難しくなってきた。そこで近所で見つけたカラー専門店へ行き、青山の美容室へ行くまでの繋ぎとして白髪を染めていた。入店して料金を支払い、カラー材を塗布して時間を置き、オートシャンプーで終了。最後に自分で髪の毛をドライして終わる。スタッフとの会話も色気も素っ気もなく、まるで作業のように白髪を染める。たった1時間のことだけど、虚無を感じてしまう。

(…なんだか時間の無駄では?)

 カラー専門店に通って数年。行きたくて行っているわけではない自分に気づいてしまった。同じような金額をかけるのなら、別のことに投資をしない。そんな理由から最近は市販の白髪染めトリートメントを自宅で行なっている。手間もかからないし、気分が楽だ。それでも伸びてきてしまう1~2ミリの白髪は、ドラッグストアで売っているマスカラタイプの白髪隠しでカバー。それも無理が出てくると帽子をかぶって、ハイ終了。イタチごっこだと言われてしまえばそれまでだけど、もうしばらくはこのターンを繰り返すつもりだ。

 いろいろな老化現象を体験しながら、年を取るというのは、習慣が増えていくことに気づく。もちろん閉経などで習慣が減っていくこともあるけれど、俯瞰で見れば飲む薬や塗る薬や疲労、気苦労も増える。なるべく新しく自分に習慣を取り入れることは控えているけれど、白髪問題ばかりは仕方がない。

白髪こそ楽しむ

 ただ白髪は悪いことばかりでもない。数年前に20年来の友人でもある美容師と、私が編集者となり白髪対策の本を作った。本の主旨は「白髪をちまちま染めているくらいなら、ブリーチをして楽しんだほうがいい!」。確かにその通りだ。本の打ち合わせ中、美容師が印象的だった白髪のご婦人とのエピソードを話してくれた。今まで一度もカラーの経験もなく、完全に白髪のみのヘアスタイルになって来店した婦人を見て、美容師はこう言ったそうだ。

「これだけきれいな白髪なら、いろいろなカラーを楽しめますね」

 そのアドバイスに婦人は背中を押されたのか、以来、毎月好きなカラーを楽しんでいるという。ああ、私もそのときがきたら白髪をとことん楽しみたい。ブリーチをしなくても好きな色に染められるなんて、時間もかからないし、おしゃれのしがいがある。シルバー、ミルクティー、レッド系とトライしてみたいカラーはいくらでもある。楽しめるようになるその日まで白髪とつきあおう。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


40代は“知人の訃報”がくる年齢だ。憎んだ男の「死亡通知書」で20年ぶりに集う同級生、独身の私はどう映る?
 板チョコのような重い扉を百恵が開けると、真っ赤な口紅を施したママさんがいつものように明るく出迎えてくれた。 「い...
「20年モノのフライパン」がかっこいい? 貧乏戦線に異状あり!
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
お酒の席の“あのルール”に物申したい! グラスに注ぐベストタイミングは…
 働く側としても、お客さんとしても大好きなスナック。今後も良いところをどんどん書いていければと思っているのですが、今回は...
若者が『めおと日和』の“昭和な恋愛”に胸キュンするのは何故? タイパ重視じゃないもどかしさ
 アラフィフ独女ライターのmirae.です。前回のコラムでは、「50代の恋愛にときめきは必要なのか?」というテーマについ...
婚活に介護…もう頑張れない。アラフォー女性が抱えがちな問題、6つのケースを聞いた
 今回ご紹介するのは、アラフォー女性の悲鳴。「もう頑張れない」と思っていることを教えてもらいました。同じ悩みを抱えている...
怒った中年の顔は「ブス」だと知った。更年期世代がイラついた時にするべき大事なアレ
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
ゴロンする一瞬♡ 奇跡のモフモフ“にゃんたま”とプニプニ頬っぺが尊すぎる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「現金がよかった」ってそりゃないよ~!『母の日』のガッカリエピソード
 日頃の感謝を伝えるために贈った母の日のプレゼント。なのに微妙〜な反応をされたら悲しいですよね。今回はそんな“母の日のガ...
女性の「理想の顔」ランキングが発表。石原さとみや新垣結衣を抜いた第1位は、上品なイメージのあの女優!
 もしも憧れの芸能人の顔に近づけるとしたら……あなたは誰を「理想」だと感じますか?
好きならやってよ…って、それ「やりがい搾取」されてない? 職場で警戒したい言葉5つ
 ここ数年でよく見聞きするようになった「やりがい搾取」。仕事や日常生活で相手のやる気を利用して低賃金で働かせるような言動...
ぷにぷに肉球が愛おしい♡ 青空に映える癒しの“にゃんたま”爆弾
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
【動物&飼い主ほっこり漫画】第98回「先日のお礼です!パワー!」
【連載第98回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【11万いいね】横澤夏子の“ママチャリ”写真がリアルすぎ!「うちの保育園にいそう」「ママ友になりたい」と共感の嵐
 こんな人、いるいる〜!と共感せずにはいられない「ちょっとイラっとくる女」ネタでブレイクして以来、テレビで大活躍のお笑い...
上半期“ママ友界隈”のびっくりエピソード。パンツ見えそうなミニスカにヒヤヒヤ…!【お花見編】
 今年も早いものでもう6月。この半年で、あなたにはどんな思い出ができたでしょうか?  今回は上半期を振り返り、春の...
【女偏の漢字探し】「鮱(ボラ)」の中に隠れた一文字は?(難易度★★★★☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
大人の学び直し=リスキリングで価値ある人材になる。忙しい毎日でも続けられる5つのコツ
 人生100年時代の現代では、キャリアを築く上でリスキリングが重要だといわれています。今回は、リスキリングを続けるコツを...