笠松将、柳楽優弥を超えなければと思っていた。俳優業の“わからなさ”は「自分自身にビビッている感覚」『ガンニバル』シーズン2インタビュー

望月ふみ
更新日:2025-04-15 06:00
投稿日:2025-04-15 06:00

「自分はまだ俳優を始めてないくらいの感覚」

――6年ほど前に取材させていただいた際に、いい意味でとても野心的な方だなと感じました。

 そうですね。その通りです。

――ドラマ『君と世界が終わる日に』、連続テレビ小説『らんまん』、ドラマ『TOKYO VICE』、そして『ガンニバル』と、その後の活躍にも納得していました。

 いやいや、全然まだまだです。なんなら自分としてはまだ俳優を始めてないくらいの感じですよ。もっともっとやりたいです。今回の『ガンニバル』で感じたのは、求められて全力で返したら、全力で受け取ってくれるということでした。ただ、そういうチームとできることって、どれくらいあるの? ということも正直、思っちゃうんです。この先、こうした場所がまだたくさんあるのか。それともみんな、そういう場所を求めて戦っているのか。

 そのために全力でやったほうがいいのか。もしくは、いい感じに扱いやすい俳優になったほうがいいのか。挨拶がうまくなればいいのか、芝居がうまくなればいいのか。

――なるほど。

 でも柳楽さんや片山慎三監督を見ていると、芝居なんだろうなと思うんです。現場と向き合って、台本と向き合って。でもやっぱわからなくなりますね。誰に対してじゃなくて、自分自身に怯えてビビっている感じです。

――芝居以外の活動の話もそうですが、いわゆる「売れる」ことも必要だし、と。

 そうです。僕が『ガンニバル』に出るということで、ディズニープラスがパンクするくらいにならないと。で、やっぱり「わからなく」なる(苦笑)。

柳楽優弥には、圧倒的リスペクトを持っている

――あらためて柳楽さんの印象と、エピソードをひとつ教えてもらえますか?

 現場で、誰よりもすごい殺気を放って集中している方です。最初にも触れましたが、「柳楽さんを超えてやる!」とみんなに思わせてくれる。さらに、柳楽さんがそれを「ボケカスが!」(※)と片手ひとつで頭を押さえつけてくる感じ。その攻防の繰り返しでした。圧倒的リスペクトがありますね。

 エピソードで言うと、ほかの作品では分かりませんけど、今回の撮影では、大変なシーンであればあるほど、そのあと「ご飯に行きましょう」とみんなを誘ったり焼肉会を開いてくれました。もちろん強制ではなく。みんなでカラオケに行って柳楽さんと2人で一緒に歌いました。
※シーズン1に登場して話題になった柳楽さん演じる大悟が放ったセリフ

――そうなんですね! 何を歌ったんですか?

 それはちょっと柳楽さんにも聞かないとあれなんで言えませんけど。柳楽さんと肩を組んで歌って、それをみんなが囲んで盛り上げてくれて、嬉しかったし「いい作品になりそうだ」と思いました。

――いい空気が伝わってきます。ちなみに笠松さんはプライベートでは何を歌うんですか?

 カラオケはあんまり。僕、歌はあまりうまくないんで。歌だけうまくないんですよ。それ以外の全ては完ぺきなんですけど、歌だけはね、うまくないんで、人に回しちゃうんです。

望月ふみ
記事一覧
70年代生まれのライター(ときどき撮影)。映画やドラマ、タレント本などのエンタメ関連記事を執筆。現在はインタビューが中心で、月に20本ほど取材。ねこ検定上級、2級愛玩動物飼養管理士取得と愛猫家街道をばく進中。

X

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


元モー娘。加護亜依様の“セクシー女優匂わせ”が冗談に聞こえないワケ
 モーニング娘。黄金期の人気メンバーだったものの、現在はお騒がせタレント化してしまっている加護亜依。昨年も週刊誌やネット...
堺屋大地 2024-01-20 11:16 エンタメ
シン・スズ子誕生!タナケンに「面白いね」と言わしめたヒロインの魅力
 喜劇「舞台よ! 踊れ!」の幕が上がる。タナケン(生瀬勝久)に稽古ですべてを受け止めると言われたとおり、スズ子(趣里)は...
桧山珠美 2024-01-19 14:45 エンタメ
タナケン(生瀬勝久)の決め言葉、「どうだろうね」に込められた真意
 スズ子(趣里)は、不安を抱えたまま喜劇王・タナケン(生瀬勝久)との舞台稽古を続けていた。  なんとかしようと、ス...
桧山珠美 2024-01-22 15:16 エンタメ
ブギウギ新章、タナケン役生瀬勝久の“顔芸”と「3枚の張り紙」が見もの
 小夜(富田望生)が付き人をやめると言って姿を消してから3カ月、愛助(水上恒司)は大学を卒業し、村山興業で働き始める。 ...
桧山珠美 2024-01-17 15:49 エンタメ
5年ぶり「おっさんずラブ」にコレジャナイ感?それでもいいと思うところ
 あの「おっさんずラブ」が5年ぶりに帰ってきました。2018年4月期にスタートした同作は、ピュア過ぎるおっさんたちの恋愛...
小夜(富田望生)の食い意地は国境を越えた!愛か、餌付けされただけか
 復学した愛助(水上恒司)は、スズ子の公演に触発され、いっそう勉学に励んでいた。  そして、公演が再開して以来、ス...
桧山珠美 2024-01-12 16:05 エンタメ
任侠ドラマ出演の高岡蒼佑様…小栗旬&芸能界批判に“かわいいチワワ”か!
 アウトローな役柄などで人気を博していた元俳優の高岡蒼佑。役者引退宣言をしていたものの、今年2月にリリースされる任侠ドラ...
堺屋大地 2024-01-11 06:00 エンタメ
朝ドラ名物の闇市、小夜の食い意地はタダモノじゃねえ!
 戦争が終わって3カ月、世の中の混乱は続き、スズ子(趣里)たちは未だ公演ができずにいた。  愛助(水上恒司)の病状...
桧山珠美 2024-01-09 14:50 エンタメ
歯に衣着せぬ小夜のキャラを生かしたブギウギ流「玉音放送」シーン
 終戦の日。スズ子(趣里)たちは巡業先の富山で玉音放送を聞く。りつ子(菊地凛子)は慰問先の鹿児島で敗戦を知る。  ...
桧山珠美 2024-01-08 15:50 エンタメ
原作は4コマ漫画! 名作“ぎぼむす”のイケメントリオを味わい尽くそう
 新年あけましておめでとうございます。  例年であれば、大晦日は「ジャニーズカウントダウンライブ」で年越しするので...
特攻隊の前で「別れのブルース」、過去の“淡谷のり子物語”と異なる描き方
 1945年、日本の戦況はますます悪くなっていた。富山に慰問に来ているスズ子(趣里)は、女中の静枝(曽我廼家いろは)の話...
桧山珠美 2024-01-05 14:00 エンタメ
制作費の都合?「夜来香ラプソディ」音楽会シーンなしは残念すぎる
 上海の羽鳥善一(草彅剛)は、音楽会の準備を進めていた。羽鳥は、黎錦光(浩歌)が作曲した「夜来香」にブギを取り入れた音楽...
桧山珠美 2024-01-04 17:50 エンタメ
【2023年人気記事】マッチ様は逃げ上手と無責任のプロだった
【「残念プロフェッショナル」の流儀】  2023年も「コクハク」をご覧いただき、誠にありがとうございました。反響の大き...
堺屋大地 2024-01-02 11:44 エンタメ
辻希美&杉浦太陽はニベアのCM…仲良しラブラブ芸能人夫婦はお金を生む
 元モーニング娘。のなかで1番の勝ち組は、やっぱり辻ちゃん(辻希美)でしょう。  先日も元モー娘。の中澤裕子、保田...
スズ子と愛助の無償の愛、平和ボケの今とは違って生きるも愛するも命がけ
 東京に戻ったスズ子(趣里)は、空襲で一面ががれきになっている惨状を目の当たりにする。  スズ子が三鷹の家に戻ると...
桧山珠美 2023-12-28 14:10 エンタメ