「女は求められてなんぼよね」還暦女とも男女の仲に…若旦那を共有するセレブ妻らの同盟 #3

蒼井凜花 官能作家・コラムニスト
更新日:2025-04-18 06:00
投稿日:2025-04-18 06:00

女は求められてなんぼよね

 静香さんは伏し目がちに続けた。

「ある日、店内でお琴の師匠・久恵さんと遭遇したんです。還暦とは思えないほど肌ツヤもよく、結い上げた髪と黒の着物が相まって、エレガントな魅力を感じさせる美魔女系の女性です。

 ――まあ、静香さん、ごきげんよう。

 ――久恵先生、お久しぶりです。

 私は航平さんと関係を持っていると噂された彼女を前に、頬を引きつらせました。そんな私に久恵さんは歩み寄り、耳もとで囁いてきたんです。

 ――ねえ、静香さんも奥の小部屋に行ったそうね。

 ――えっ、なぜそれを?

 ――ふふっ…あの袋帯、私も狙ってたんだけど、若旦那が『静香さんが気に入ってくれたのでご購入頂いた』って教えてくれたのよ。まったく、若旦那ったらいじわるよね。

 ――あ、あの…奥の部屋には久恵先生も…?

 一瞬の間がありました。

グループLINEに招待され

 ――涼子さんと私だけだったのに、まさか、静香さんまでとはね。本当に罪作りな男だこと。

 ――……。

 私が何を言うべきか迷っていると、

 ――でも、お陰で肌はツヤツヤ。やっぱり女って求められてなんぼよね。どんな高価な着物や美容液よりも、若さを保つには効果的。そうそう、静香さんのLINEのIDを教えてほしいわ。

 私が呆気に取られながらもスマホを差し出すと、すぐに『友だち』に追加され、あろうことか涼子さんと3人のグループLINEを作成されてしまったんです」

 後日、グループLINEでは久恵先生と涼子先生が若旦那との赤裸々な行為を綴るチャットがアップされた。同時に、購入した着物や帯、小物類の画像もアップされる。最初こそ、息を詰めて読んでいた静香さんも、少しずつチャットに加わったという。

女っぷりを高めてもらう同盟

「いつの間にか、3人での『若旦那ブログ』が作られました。火曜日の午後イチだとスタッフは出払っていることが多いとか、閉店間際に行って試着を頼むと小部屋に通される確率が高いなど。他にも、行為後の若旦那の着付けの速さは神業! など。

 その頃には、ショックや嫉妬など消え去っていました。皆、若旦那のお陰で若さを保っている。家庭や仕事での悩みがあっても、彼と触れ合うとチャラにできる。仕事でいっぱい稼いで、呉服屋Aに金を落として若旦那に『女っぷり』も高めてもらいましょうと同盟ができました(笑)」

 ショックを受けていた静香さんだったが、「もう吹っ切れました。いい男はシェアする時代ですね」と笑う。そんな彼女がいちだんと美しく見えた。

(了)

蒼井凜花
記事一覧
官能作家・コラムニスト
CA、モデル、六本木のクラブママの経歴を持つ異色の官能作家。近著に「CA、モデル、六本木の高級クラブママを経た女流官能作家が教える、いつまでも魅力ある女性の秘密」(WAVE出版)、「女唇の伝言」(講談社文庫)。
オフィシャルサイトYouTube

関連キーワード

ラブ 新着一覧


「昔の僕は若かったなって感じですよ」愛のない結婚生活6年目、浮気相手との未来を語る34歳男性
「冷酷と激情のあいだvol.232〜女性編〜」では、自ら懇願して結婚した夫の浮気に気付きつつ、自分が捨てられることに強い...
並木まき 2025-02-08 06:00 ラブ
「一か八か。避妊なしの一夜で授かり婚したのですが…」結婚生活の終焉を恐れるゆるキャリ38歳女性
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-02-08 06:00 ラブ
休日にLINEを送って失敗した3人の女。職場の男性へ“攻め”のお誘いしたのに盛大に誤爆…!
 職場の男性に片思いしている場合、休日にLINEを送って距離を縮めたいと思う人は多いはず。  でも、いざLINEを...
恋バナ調査隊 2025-02-08 06:00 ラブ
夫との子作り卒業。30代で性生活が無くなるのが不安です(38歳パート、2児のママ)
 38歳2児(10歳と8歳)のママです。週3回パートにでています。41歳の夫は会社員時代の職場の上司部下で、10年前に結...
植草美幸 2025-02-07 06:00 ラブ
アラフォー・アラフィフ世代のマチアプ恋愛。彼との関係が長続きする女性がやっている“単純”なこと
 せっかくマッチングアプリで知り合ったのに、実際に会ったら何を話したらいいのかわからなくて沈黙ばかりだった…。そんな経験...
内藤みか 2025-02-06 06:00 ラブ
“女の可愛い”に騙された男たち。「女性の可愛いは信じられない」発言につながる3つの原因は?
 男性と女性では、考え方や重要視しているポイントが違うことがあります。とくに男たちが声を揃えるのが「女の可愛いは当てにな...
恋バナ調査隊 2025-02-06 06:00 ラブ
不倫発覚で人生詰んだ女たちのドロドロLINE6選。え、わざと? 些細な匂わせでピンと来た!
 不倫をしている女性って「絶対にバレない」という謎の自信がある人が多いようですが、匂わせ発言や些細やりとりで不倫の事実が...
恋バナ調査隊 2025-02-05 06:00 ラブ
義実家嫌い界隈で注目される「死後離婚」のリアル。知っておきたいメリット&デメリットは?
 皆さんは「死後離婚」という言葉を聞いたことがありますか? 実は今、死後離婚を考える人が増えているというのです。今回は、...
恋バナ調査隊 2025-02-04 06:00 ラブ
墓場まで持っていく!「私だけの秘密」こそ夫婦円満の秘訣かもしれない
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。
豆木メイ 2025-02-04 06:00 ラブ
「大人バレンタインのグルマン系香り術」【調香師が解説】貴女の脳を満たす甘い香りはどれ?
 女子にとって2月のイベントといえばバレンタインデー! 本命がいてもいなくても、チョコレートのような甘~い香りで気持ちを...
太田奈月 2025-02-04 06:00 ラブ
「女子会」なのに彼氏を連れてくる人の目的と心理。ねえねえ、一体なにがしたいの?
 その名の通り、女子だけが集う女子会。なのに彼氏を連れてくる人がいると、正直テンションが下がりますよね。「え⁉ なんで連...
恋バナ調査隊 2025-02-04 06:00 ラブ
“ダメ男製造機”女性の特徴7つ。どんな原因が? 男運の悪さを嘆く前にチェックしたい
「私は男運が悪い…」と嘆く女性の中には、男をダメにする“ダメ男製造機”が存在している場合も…。そんな女性は、自分の行動や...
恋バナ調査隊 2025-02-03 06:00 ラブ
パパ友がちらつかせる「好意」のサイン8つ。“ほぼ確”で女性としてロックオンされている質問は?
 子ども同士の繋がりで広がるママ友パパ友の世界。ですが、単なる友達ではなく“異性”として気になったり好きになったりするケ...
恋バナ調査隊 2025-02-03 06:00 ラブ
「被害者ヅラ? どうぞ一人で生きていって」実父の妻へのセクハラ疑惑をスルーする47歳男の事情
「冷酷と激情のあいだvol.231〜女性編〜」では、夫の父親、つまり義父からセクハラまがいの行動を繰り返されている真里さ...
並木まき 2025-02-01 06:00 ラブ
「義父の私を見る目が妙なんです…」セクハラめいた言動に離婚を考える42歳バリキャリ女性
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2025-02-01 06:00 ラブ
寂しくないの? 長続きする不倫カップルのLINEをチラ見してみた。暗号、トーク非表示、ルール徹底…
「彼とずっと一緒にいたい」と思いながら、既婚男性と関係を持っている女性は必見! 今回は、長続きしている不倫カップルのLI...
恋バナ調査隊 2025-02-01 06:00 ラブ