「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-04-23 17:51
投稿日:2025-04-23 17:51

第4週「なにをして生きるのか」#18

 けんかした嵩(北村匠海)と千尋(中沢元紀)に、寛(竹野内豊)は改めて後継ぎはいらないと告げる。そして、何をしながら生きるのか、見つかるまで必死でもがけと言い聞かせる。なりたいものがまだわからない嵩は、高知第一高等学校の受験を決意。のぶ(今田美桜)と嵩はそれぞれ勉強に励む。

 そして迎えた受験の日。のぶが家族に見送られていると、突然登美子(松嶋菜々子)が現れる。状況を把握したのぶは意を決して走り出す!

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【本日のツボ】

「気合いじゃ、気合じゃ、気合いじゃ~」

 ※※以下、ネタバレあります※※

 千尋はほんとうにいい子に育ちました。しかも、くらばあ(浅田美代子)曰く、「あの子、スッとしちょってカッコええもんね~。きっと5年も経ったら、御免与町のゲイリー・クーパーや~」というほどのイケメンですから、そりゃあ嵩がコンプレックスを持ってしまうのも無理はないでしょう。そんな千尋が、優しくて、カッコいい、ドキンちゃんの憧れの人・しょくぱんまんに見えてきました。

 しかも、史実どおりだとすれば、この先、つらい展開もあり、そのことを思うと、千尋の笑顔をまともに見ることができません。本日もがつらくなりそうで、今からもう千尋ロス。くらばあ曰く “ゲイリー・クーパー”この先のことを考えるともう胸が痛くなります。

お助け“のぶ”、中身はアンパンマンか?

 嵩はというと、まだ夢をみつけることができないまま。「ひとまず、高知第一高等学校に受かることを目標にしようかと」と寛に打ち明けます。「どうして、高知第一高等学校ながや?」と訊かれ、「あのひとが、喜ぶ顔が見たくて…昔はよく笑ってたんですけど」と、母・登美子を喜ばせるために受験すると言います。

 そこに、団子屋の店先で、あん団子を無表情で頬張る登美子が映ります。食いしん坊で、わがままな登美子がドキンちゃんで、そんなドキンちゃんのいいなりになる嵩はばいきんまん!? 

 だとすると、受験票を忘れ、困っている嵩の元へ、全力で走って受験票を届けてくれたのぶは、アンパンマンになるのでしょうか。困ったひとを助けるのがアンパンマンの使命ですから。見た目はドキンちゃんで、中身はアンパンマン、それがのぶでしょうか。

 あんなに受験に反対していたのに、「気合いじゃ気合じゃ気合いじゃ~」とアニマル濱口が憑依したかのような釜じい(吉田鋼太郎)も、この日のためだけに、“合格”の焼印を押した合格アンパンを作ってくれたヤムおんちゃん(阿部サダヲ)も、優しさが溢れていました。

桧山珠美
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TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

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