共亜事件は「虎に翼」のオマージュか。あんぱん、ブギウギの3人が同時代を生きている

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2025-04-28 18:40
投稿日:2025-04-28 18:40

第5週「人生は喜ばせごっこ」#21

 昭和11年、家族や嵩(北村匠海)に見送られ、のぶ(今田美桜)は女子師範学校の寮に入る。軍国主義の担任・黒井雪子(瀧内公美)や、先輩たちの厳しさにたじろぐのぶとうさ子(志田彩良)。こうして、のぶたちの生活は一変した。

 一方、浪人生の嵩は、千尋(中沢元紀)から将来についての熱い思いを聞く。すると突然、自分の心の内を叫ぶ嵩。千尋に触発されて、嵩はようやく自分がどうしたいのか、本当の思いを吐き出す。

【こちらもどうぞ】「あんぱん」千尋(中沢元紀)は本当に良い子…史実どおりの展開なのか。しょくぱんまんのようなイケメンだ

【本日のツボ】

共亜事件で「虎に翼」をオマージュ

 ※※以下、ネタバレあります※※

 女子師範学校に入学したのぶ。入試の時に門番をし、さらに面接も担当。寮の廊下で「消灯」と叫んでいたあの人、黒井雪子がのぶの担任のようです。ほかに先生はいないのか、と少し気になりました。

 厳しい寮生活の始まりです。のぶとうさ子は同室。そして、室長ともうひとり2年の先輩の4人部屋です。廊下での死語は禁止。先輩に会ったら一礼し、道を譲る。そして、夜中に室長が御不浄に行く時は、洗面器に水を入れて待機するのも1年生の務めという、厳しい規律。宝塚音楽学校かと思ってしまいました。

 この時代はそれに疑問をもつ人はいなかったのでしょうが、“宝塚音楽学校”はつい1、2年前まで似たような規律があったということですから、ほんとうに信じられません。

寄宿舎に「花子とアン」を思い出す

 寄宿舎の規律が厳しいということで思い出したのは、同じ脚本家・中園ミホが手掛けた朝ドラ「花子とアン」でした。

 あちらのドラマでおっかなかったのが、ともさかりえ演じる英語教師の富山タキ、そして、寄宿舎で同室の先輩・ハリセンボン近藤春菜演じる白鳥かをる子でした。もうひとり、厳しくも優しい愛情を注いでくれた寮母を演じていたのが、今回、くらばあを演じている浅田美代子でした。

 あの時は、学校にも寮にも人が溢れていたように思うのですが、今回は少数精鋭。教師と生徒の少なさに、制作費縮小のあおり!? かもしれません。

 一方の嵩はというと、「本当は絵が描きたいんだ。絵を描いて生きていきたいんだ」と自分の心の内を弟の千尋にぶつけました。それを叔父夫婦(竹野内豊&戸田菜穂)に聞かれてしまったところで、明日につづくとなりました。

 そうそう。新聞を手に嵩のところへやってきた千尋の口から「共亜事件」という言葉が出てきました。あの「虎に翼」でヒロイン・寅子(伊藤沙莉)の父・直言(岡部たかし)が逮捕された事件でした。

 そういえば、その「虎に翼」に「ブギウギ」の茨田りつ子(菊地凛子)が登場しましたっけ。

「ブギウギ」「虎に翼」そして「あんぱん」。3作品のヒロインたちが同じ時代を生きているのかと思うと感慨深いものがあります。ここでも仲間はずれの「おむすび」……。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。読売新聞「アンテナ」、放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


【写真特集】若っ!金髪姿の岡田将生。浴衣、くるんくるんパーマヘアも…
【この写真の本文に戻る⇒】岡田将生「ラストマイル」沼にハマる人続出!「虎に翼」との共通項も考察
朝ドラ史上、いやテレビ史上に残る名判決シーン。「政治の貧困」の言葉が胸に突き刺さる
 昭和38年6月、桂場(松山ケンイチ)は最高裁判事のひとりに任命される。  竹もとで修業に励む梅子(平岩紙)、そし...
桧山珠美 2024-09-07 06:00 エンタメ
夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ