期待以下だったガッカリドラマ「人事の人見」
次に、期待以下だった“ガッカリドラマ”を挙げるとするなら、松田さん主演の「人事の人見」になります。地上波ゴールデン帯初主演となる松田さんに当て書きされた脚本ですが、「主人公・人見廉=松田さん」と思われては可哀想なくらい、荒唐無稽すぎるストーリーです。
大手文房具メーカー人事部において、実務の知識は皆無に等しい“おバカでピュア過ぎる男”である人見。バラエティ番組などでイメージされる松田さんに、ぱっと見の人物造形は近いですが、毎回起こる人事部の問題事に対する人見の解決策が、現実離れしすぎて共感が持てません。
女性社員の隠れ残業をテーマにした回では、人見の画策で女性社員と他の社員が倉庫に閉じ込められます。人見は倉庫からのリアル“脱出ゲーム”を協力して行うことで、何事も一人で抱え込んでしまう女性社員に、人に頼ることを解こうとしました。ところが人見が倉庫の鍵を失くし、全員閉じ込められるアクシデントに見舞われます。
なんやかんやあって、鍵を見つけるプロセスの中で女性社員は部下に頼ることが出来るようになって万事解決。ただ、突如始まった“脱出ゲーム”そのものも理解出来ませんし、鍵が見つかる前提での解決策にご都合主義を感じてしまいます。
正直、松田さんの印象が下がらないか心配…
他にも新卒採用がテーマの回では、落とされた学生に対し、人見が個人的に肩入れ。廃棄を命じられていた不採用の学生達の履歴書を勝手に持ち出し、秘密裏に交流を持つなど、人見をカッコよく見せるための「非常識で型破り」な行動が、視聴者をイライラさせる要素にしかなっていません。
松田さんのキャラは“おバカでピュア過ぎる男”に違いありませんが、バラエティ番組などではきちんとその場の空気を読んで笑いを生み出しており、人の気持ちを害すような行動は取りません。
人見が松田さんを体現した人物だと思われることで、視聴者からの松田さんの印象が下がってしまうのではないかと心配になります。
昨年の春ドラマ「東京タワー」(テレ朝系)では、色気ダダ漏れの肉食系大学生役を好演しており、俳優・松田元太は“おバカキャラ”に留まらず、振れ幅のある役柄がこなせるはずです。今後松田さんには、また良い意味で我々視聴者を驚かせてくれる名作、名キャラクターにめぐりあって欲しいものです。
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