子供の粗相は許して当然? 鼻につく母親の口ぶり…私は「子連れの女」に同情することにした

ミドリマチ 作家・ライター
更新日:2025-07-12 11:45
投稿日:2025-07-12 11:45

鼻につく口ぶり。ワンオペってやつ、大変…

「すみません、この子が…ほら、謝りなさい」

 どうやら、彼女の子供が私のパラソルに備え付けてあるペアのサンベッドの片割れに勝手に座っていたという。彼が来ていたら寝転がるはずだったそれに。

 言われなければ気が付かなかったが、子供のしたことだから許されるのが当然という彼女の口ぶりがなんだか鼻についた。

「ごめんなさーい、お姉さん」

「ちょっとお、カンタ!!!」

 水中眼鏡をつけた少年は、適当に謝った後、逃げるように流れるプールに去っていった。女性は赤ちゃんを抱きながら、少年を追いかけていった。

 ――ワンオペってやつ。大変……。

私は彼女に同情することにした

 その場には小さな女の子が残された。私はその子に話しかけられぬよう、顔にタオルをかぶせて、再びサンベッドに寝転がった。

 しばらくすると、耳の奥から、ふたたび隣人の絶叫が聞こえてきた。おにぎりを早く食べろと叫んでいた。

 郊外のリゾート、解放的なオーシャンビュー。有休の平日。

 イライラとモヤモヤを消化しきれないまま、どうしても落ちることができず、目を閉じた状態のままで雑音に揺れた。

 ここは私にとってはリラックスのための非日常だけど、隣の彼女にとっては、日常の一部なんだろう。

 棘立つ心をどうにか平常に保つため、私は彼女に同情することにした。

#2へつづく:仕事や恋に謳歌する私と、髪を振り乱して子育てする彼女。本当に「幸せ」なのはどっち?】

ミドリマチ
記事一覧
作家・ライター
静岡県生まれ。大手損害保険会社勤務を経て作家業に転身。女子SPA!、文春オンライン、東京カレンダーwebなどに小説や記事を寄稿する。
好きな作家は林真理子、西村賢太、花村萬月など。休日は中央線沿線を徘徊している。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


冷え性つらいし試してみる?カフェイン断ちメリット5つ&成功させる方法
 朝起きたらコーヒーを淹れることがルーティンになっていたり、仕事中にコーヒーブレイクするも多いでしょう。眠たい時や疲れた...
身体のSOS見逃さないで!「鉄分不足」で生じる不調サイン5つと改善策
 毎日忙しく過ごしていると、ついつい自分の身体のサインを見逃しがち。「これくらい大丈夫」と高を括っている人も多いでしょう...
モテ男協議に「異議あり!」白ソックス“たまたま”が立候補するの巻
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
キンプリ見分けムリ! 40女の老化あるある2023.6.22(木)
 45歳です。もうじき46歳になります。誰ですか「40にして迷わず」なんて言った人は。40代も後半になってもなお、迷走し...
ジムのあちこちで出没する迷惑おじさん! イラッと回避の対処法は?
 夏、目前! 健康維持やダイエットのために、スポーツジムに通う人が増えるシーズンですね。思い切り身体を動かすと、リフレッ...
マジで嬉しい観葉植物ブーム!「バイオフィリア」から学ぶ新しい生活
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべき花屋のわりとご近所に大型ショッピングモールが出現し、何かと相談にのってくれる花屋の男友...
自ら「幸せな状態」に寄せていける人は強い 2023.6.21(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
面倒くさい、お金もない!行きたくない結婚式の“カドが立たない”断り方
 愛し合っている二人の晴れ舞台、結婚式。仲の良い友人や同僚、親戚などの結婚式は出席して直接お祝いしたいと思う女性がほとん...
すいかばかのレシピ~'23年<2>月夜の畑ですいかの苗を愛でる
 すいかの生産量は全国ワーストの山梨県で、こだわりのすいかを作る男がいる。ひとは彼のことを「すいかばか」と呼ぶ――。
自宅で収穫したジューンベリーでジャム作り 2023.6.20(火)
 昨年の夏、新居に引っ越した際に家のシンボルツリーとして植えたジューンベリーの木が実をつけました。赤い小さな可愛い実はそ...
キャベツ枕に洗体しない育児…うっわぁー自然派ママのドン引きエピ5選
 健康志向が高まる中、世間では自然派のママが増えているようです。マクロビ、ヴィーガンにはじまり、病気になっても薬を一切使...
我が家のカレーが食べたくなった瞬間 2023.6.19(月)
 旅先で急に我が家のカレーが食べたくなった瞬間。  郷愁をそそる、紅白ののぼり旗。  そして、そそられる、ち...
いずれやって来る去勢手術、尊い“たまたま”を今のうちに激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
仏では「不倫された側」が責められる?2023.6.18(日)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
癒しの漫画/第51回「恋の落とし穴」
 ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 生きものたち、その生きものたちをこよな...
男性との性交もうダメ?子宮と卵巣を失ったがんサバイバーの限界突破記
 42歳未婚で突然、ステージ1B1期の子宮頸がん宣告。悪性度が高いとされる「子宮頸部腺がん」の疑いで、5年前に「広汎子宮...
2023-06-17 06:00 ライフスタイル