クッソ頑固な父親の「ひとりごと」が増えた謎。これは老化か、特性か?

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-07-23 11:45
投稿日:2025-07-23 11:45

単身生活で染みついた独り言

「ええっ? ウソでしょう? え、絶対無理なんだけど」

 これは我が家のリビングでテレビを見ている私の一コマ。独語癖のある父親を持った私、実は独り言は日常茶飯事である。単身生活を言い訳に言いたい、歌いたい放題。20代の電話応対、最近ラジオ出演のためのコソ練は別モノとして、独り言は概して日常だ。ではどんなシーンで言うかといえば、一番多いのはテレビを見ているとき。一人暮らしにとってテレビとは家族。「え、ちょっとやめてよ(笑)」と、割とふつうに話す、突っ込む。絶対にないと思うが『リビングでテレビ鑑賞リアクション選手権』があったら、上位に食い込む自信はある。

 続いて風呂。我が親父様もよく風呂で独語癖を爆破させている。

「あ〜、どうしたもんかな。分からんな。でも次の案は…そうすればいいのか」

 入浴タイムや歩きながらの独り言は、心の声が漏れているパターンである。あくまで私の場合だが脳内でいつも何かを考えている。企画、今夜のメニュー、憎たらしい相手、ドラマの内容、やるべき家事に将来設計に…。噴泉のごとく脳内に浮かんでくる事項を独り言のように脳内で考えていて、油断するとふっと発声している。その辺を散歩していても心の声の漏れが多々なので、すれ違う人に「ん?」と冷ややかな視線を浴びる。コロナ禍でマスクが日常化しているときは何度助かったことか。どんなに口を動かしていようと、独り言は雑音に紛れ、マスクに隠れて、私が発しているとはバレない。ありがたいことに最近はワイヤレスイヤホンで電話をしていると思われるのか、余分な視線を受けなくなった。

 帰宅すれば誰もいなくても「ただいま」と言い、料理しながら失敗すれば「何やってんだ、私」と落ち込みながら言い、上手にできれば「うんま、天才か!」と一人賞賛。泊まりに来た友人やパートナーは割と驚いている。でもこれが私にとっての通常運転。独り言を言っている女は寂しい? そりゃ更年期の身なのだから、心が寂しいときはあるけれど、独り言とは別。特に気にしてやめる予定はないけれど、これは遺伝なのか老化なのか、はたまた違う病気なのか? は気になるところ。読者の皆さまの意見を伺いたい。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「鏡も見たくなかった」対人恐怖症の筋肉マッチョが自分を好きになるまで
 日本で唯一のコンテスト主催団体による“生涯現役で魅力ある存在を目指す”ミスターコンテスト「Mr. Phoenix(ミス...
出費額は100万円!? なぜ筋肉マッチョは「ミスターコンテスト」に挑むのか
 女性の外見や内面の美を競うミスコンテスト(以下、ミスコン)。ルッキズムの議論が広がる昨今、ミスコンの意義を問う議論が絶...
記憶鮮明な阪神・淡路大震災発生前夜の“異変”。冬眠モードのカメが突然大騒ぎして…
 8月8日16時42分ごろ、日向灘を震源とする最大震度6弱の地震が発生。その後、気象庁が初めて「南海トラフ地震臨時情報(...
“たまたま”チェックに余念のない茶トラ君♡ 写真集の表紙になれるかな?
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「妊娠アウティング」経験者たちのエピソード 悲劇はどうすれば防げたのか
 皆さんは、「妊娠アウティング」という言葉を知っていますか? もしかしたら、実際に被害を受けたことがある人もいるかもしれ...
あの人気観葉植物が地震を予知!? 植物の異変から事前兆候を察知する話
 テレビ画面に映し出される南海トラフの「巨大地震注意」の文字…。不安で心が押しつぶされそうになりますな。ワタクシが生...
アプローチ中のおんにゃの子は塩対応? “たまたま”の恋の行方にドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
盆地を見下ろす丘で
 盆地を見下ろす丘で。  くるくると回る風に吹かれ、空に風の交差点を観た。
ほっこり癒し漫画/第79回「来るかな? ニャー」
【連載第79回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「女郎花と男郎花」読める? ヒント:ジョロウは間違い。初秋に愛でたい
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ミルクに難色、昭和育児の「母乳信仰」って何なん? 押しつけがましい上から目線LINEにイラッ
 初めての育児や、何人もの育児をしているお母さんは、とりわけ、毎日大変! そんなお母さんを追い詰める身内、どうにかならな...
セレブ妻が赤羽のサイゼリヤに落ちるまで 上流階級との「品格の差」に絶望
 悠々自適なセレブ生活を送っている医師の妻・大宮由香。ある日、お嬢様学校に通う娘のクラスメイト・愛舞(らぶ)とその母親・...
勝ち組ママ友が放った屈辱的な一言。私を「一般人」と一緒にしないで!
 四ツ谷・番町エリアに暮らす医師の妻である大宮由香は、娘・葵を名門お嬢様学校に通わせている。小学校に入った葵から友人がで...
嘘でしょ…娘の友達が「キラキラネーム」? 玉の輿セレブの大きな誤算
 都会の中心でありながらも、ハイグレードな住宅街として知られる四ツ谷・番町エリア。  大宮由香は、小学校に入ったば...
スメハラ? 90年代の出版社は“異臭”がプ~ン…男と香水と時代の変化
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...