介護はやっぱり家族が? 貧困家庭はどう切り抜ければいい

東城ゆず ライター・エディター
更新日:2019-09-04 06:27
投稿日:2019-09-04 06:00

介護保険で賄うこともできる

 介護が必要になった時、廊下に手すりをつける必要があります。また浴槽も足腰が弱い高齢者は転倒の恐れがあり、浴室の固い床で頭を強打してしまう事故もありがちです。

 こんな問題を解消してくれる、もしくは事故軽減に一役買ってくれるのが「福祉用具」です。でも「浴槽に福祉用具をつけたいと思う」と思っても、経済的に余裕がなければ決断することが難しいですよね。

 それならば介護保険を使いましょう。

 本人の自立支援目的の住宅の改修工事なら、介護保険から18万円を上限に補助金が出ます。1割の自己負担で済むのでこれを利用しない手はありません。手すりや玄関のバリアフリーなどは、多額の出費になってしまいますよね。20万円がかかったとしても、18万円を国が補助してくれるのです。

 領収書などで改修工事があった有無を国に知らせる必要がありますが、例えば「100万円しか貯金がない」というご家庭であれば、これは有効的に使えます。まずは20万円の自己負担で手すりをつけてしまいます。すると、後日18万円の補助金が戻ってきます。

 介護保険で賄うことができるのは、他にも車椅子や杖など多く存在します。親の介護状態に合わせて、しっかりと使える補助金は申請しましょう。

「多くの補助金を覚えられない」といった場合は、お住まいの地域包括支援センターでも相談に乗ってくれるはずです。その都度、介護の出費については相談をしましょう。相談自体は無料です。

融資制度や生活保護も選択肢に

所属自治体の融資制度

 資本となるお金がない場合、還付があるといえど「まず20万円で手すりをつける」ということも叶わなくなってしまいます。家族が困るのが、親の貯金が数百万円もない場合です。

 その場合は、お住まいの所属自治体で融資制度を利用しましょう。低金利で融資を受けることが可能になります。自治体相手にお金を借りるので、民間企業よりよっぽど安全です。

 まずは借りておいて、手すりをつけたり車椅子を購入します。あとで還付が戻ってきたタイミングで早めに返してしまえば、持ち出しが少なく家族の負担も減るのです。

生活保護を受ける

 24時間、誰かの見守りが必要で、自宅での介護が困難な場合は、施設入所を検討したい家族もいるでしょう。しかし、親の預貯金がない場合は、その多額の施設入所費用に悩みます。親の介護が必要な時は、子どもである私たちも育児や子供の学資の工面に追われていることがほとんど。そのため、捻出するのが難しいこともありますよね。そんな時は、生活保護に頼ってみるのもいいでしょう。

 何かと制約がありますが、そもそも介護が必要な状態で、車を持ったり生命保険をかけたりすることは難しいはず。生活保護でも、受け入れてくれる介護施設は多くあります。まずは住民票がある役所に出向き、現状をありのまま伝えましょう。

介護費用の工面は方法を知らないと損する!

 介護費用の工面に頭を悩ませている人の相談を多く聞きます。そのたびに「国がもっと周知させるべき」と、筆者は憤りを覚えます。税金を取ることはしっかりしているのに、補助金や使える制度の周知には後ろ向きな姿勢が垣間見えるからです。自分で意欲的に調べるということを意識しないと、知らず知らずのうちに損することも。

「面倒だ」と思っても、足を運んで役所の人や地域包括センターの人にサポートしてもらえる制度や補助金のことを踏み込んで聞きましょう。その際は「手すりをつけたいと思っている」と具体的に話すことを意識し、「補助金など使えるものはないか」と“してほしいこと”を明確にして聞き出すことをオススメします。

 税金や必要な介護保険料を納めているのに、泣き寝入りするのは、とても“もったいないこと”です。恥ずかしがる必要もないですから、きちんと権利を主張してくださいね。

東城ゆず
記事一覧
ライター・エディター
1994年生まれ。11歳の頃からブログを運営。ライターやエディターとして、女性誌メディアや地元新聞のコラム枠まで幅広く活躍中。恋愛やママ友問題、介護士であった経験からリアルな介護問題まで幅広い知見がある。年子兄弟を連れ離婚の経験があり、現在は再婚に至る。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


お正月にしめ縄って必要かぃ?「しめ縄」と「しめ縄飾り」の違いも解説
 今年もあと2週間を切りました。年末だというのにあまりの暖冬、ここ数日は少しは寒くなったものの更年期のワタクシは、本職の...
「女は見た目がすべて」の思い出に悶々…容姿いじりのトラウマの克服法
「女は見た目がすべて」なんて言葉が昔からあるように、男性よりも女性の方が外見を厳しく見られる傾向です。そして残酷なことに...
落ち込んだらシーラカンスのことを考えるといいかもしれない
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
人生初のぎっくり腰なぜ発症? 40女の激痛を救った意外なコスメは…
 齢46、人生初のぎっくり腰になりました。腰が砕け、身動きがまったく取れない状態に陥るって本当にあるんですね。  デス...
韓国は「ひとり飯」ほぼタブー! おひとり様=みじめな人認定で苦労した
 ちまたでは『孤独のグルメ』(テレビ東京系)や『ひねくれ女のボッチ飯』(テレビ東京系)、『めんつゆひとり飯』(BS松竹東...
2023-12-19 06:00 ライフスタイル
“たまたま”とももうすぐお別れ…去勢前のおやつシーンを激写
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
自然の石を積んだ石垣でできた江戸時代から続く「棚田の村」
 見知らぬ土地で、山道を越えて現れた見事な石垣に圧倒される。ここまで積み上げる労力を想像すると途方に暮れるし、これが自然...
妙齢って何歳? 三省堂 現代新国語辞典のいまっぽい凡例に注目
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
#3 結婚で“輪”から去る友人への寂しさ。心地よい独身生活で失ったもの
【#2のあらすじ】  ミュージシャンの沙恵は高円寺に暮らし、毎晩芸人の卵や音楽仲間と飲み歩いている。高円寺はうんざ...
#2 友達の結婚、喜べないのはなぜ? 勝ち組を裏切りだと感じてしまう記憶
【#1のあらすじ】  ミュージシャンの沙恵は高円寺に暮らし、芸人の卵や音楽仲間と毎日飲み歩いている。高円寺はうんざ...
「最終的には学歴!」すごいですねー(棒)高学歴義母のマウントLINE3選
 義母が高学歴だとなんとなく上品でスマートな人柄が連想されますが、現実では学歴の高さと人格は比例しないようです。実際には...
2023-12-16 06:00 ライフスタイル
#1 夢を諦めきれない32歳の女。高円寺で燻る芸人らと酒に溺れる日々
 この街は、まるでネバーランドだ。  いつもの店に行くと、いつもの仲間がいて、相変わらずのバカな話で盛り上がれる。...
母親が施設から帰ってくる夢…認知症の予兆を「ボケたな」で済ませない
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(63)。多忙な現役時代を経て、56歳...
おひとり様全盛時代でも? 老後こそ“コミュ力”がものを言う
 ぶっちゃけ、私はあまり人づきあいが得意なほうではありません。一人のほうが気を遣わなくていいし、楽だから。  これから...
ムーミン好き必見!ESSEの時短レシピ&開運グッズ付録など使いこなす術
 今回ご紹介する雑誌付録は、「ムーミントラベルポーチ3点セット」と「別冊付録:保存版!ESSEのBest時短ベストおかず...
同僚のボールペン“カチカチ”に敏感反応!繊細すぎる人へのLINEどう返す
 世の中には、人一倍豊かな観察力や感受性を持つ人も存在します。そうした人は「優しい」「気遣いができる」などの長所をたくさ...