中年の“集中力”はどこに消えた? 若い頃と「同じ脳じゃない」と気づいた私の小さな工夫

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-09-24 11:45
投稿日:2025-09-24 11:45
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第46話は「消えた集中力」。

途切れる集中力。気づいた時にはすでに遅し

「この間のドラマ、あれ面白かったよね」
「あれ、なんだっけ?」
「ほら、フジの木10のさ」
「あ、そうだ、フジって言えば最近、FODに入ったんだけどね、これが良くてさあ」
「FODっていくらするの?」
「……いくらだったっけ? 旦那がやっちゃったからさあ」
「Netflix月額1590円くらいだけど」
「あ、ねえ、Netflixって言えばさあ」

 40〜50代の女性3人が集まって繰り広げた会話の一部だ。ドラマタイトルを思い出そうと始まった会話がいつの間にか、動画配信サービスの話へ転換されている。おばさんの会話とは全く脈絡がなく、ネタを深掘りはしない。それはなぜか。単純に集中力が減るからだ。45歳を超えると更年期とともに、集中力の途切れが確実に迫ってくる。単純に脳も老化しているので、ワーキングメモリの減少による影響が、生活の随所へ顕著に現れてくる。

【こちらもどうぞ】なぜおばさんは“早朝ウォーキング”するのか? 運動音痴の私が中年になって実感した朝

 最初に「あれ? 要領が悪くなったんだろうか」と疑問を感じたのは、家事の手筈。単身なので毎日、大量の洗濯物や料理には追われていないけれど、自分なりの長年のルーティーンがある。起床して今日は家事をしようと決めているなら、まずは洗濯をして、片付けをして…とタスクを消化していく。その最中で気づいたのが、家事のやりかけだ。例えば下着は手洗いをしようとつけ置き洗いをしたのに、忘れている。ついさっきまで片付けをしていたのに、視界に入ってきた汚れを落とそうと手に雑巾を持っている。あれ?

 二日酔いのせいだろうと流していたけれど、そうでもないらしい。最近では心の中で「集中!」とつぶやいてから、家事をするようになった。

 それから読書。出版社勤務経験を経て、現在こんなエッセイを書いているゴリゴリの出版業界人間なので、ふつうの人に比べたら読書量は多い。取材資料として読まなければいけない本、興味がある本。常に私の周りには本が溢れていた。が、読んでいるとどうにも眠くなったり、「あ、そうだ、お湯を沸かさなくちゃ」と気が散ってしまう。30代まで当たり前のように自分に備わっていた、読書に没頭しすぎていつの間にか朝を迎える集中力=スペックが薄らいでいる。気づいて焦りを感じたので、最近は毎日わずかな時間でも良いので「読む」癖を戻そうと、必死だ。

 会話が飛ぶ、家事がなかなか完遂できない、本が読めなくなってきた。似たような経験、ないだろうか。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


「男友達が欲しい」40代女性はどうすればいい? 理想のオトコと夫の理解を得る方法
 40代既婚女性が「男友達が欲しい」と思うことに抵抗を感じる人もいるでしょう。でも、若い時から異性の友達が多かった人の場...
猫の楽園からお届け♪ 陽だまりでキラキラ輝く“たまたま”たち
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
節分にベストな「厄払い花」4種と“今っぽ”なスワッグ。2025年無病息災で生き抜くためのおまじない
 今回のテーマは今年1年無病息災で生き抜くためのおまじない、「植物の力を借りて邪気退散! 節分にオススメのお花」の解説で...
ポンコツ商店会「結束力・帰属意識の低さを痛感する」の巻。氏神様の参拝を企画しても参加者は2割以下…
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
年上が払う、おごる文化はご勘弁! 割り勘会計で気持ちよくいきませんか
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...
わが職場にも「承認欲求が強い女」ご降臨。偉い人ホイホイ? 痛すぎる6つの特徴
 職場にウジャウジャと潜んでいる、承認欲求モンスター女。あのモンスターたちがやることはみんな似通っているのが摩訶不思議。...
花粉飛散してるってよ!花粉症自覚歴3年の40代婦人が健康管理に投入する“三種の神器”で症状軽減なるか
 東京都は先週17日、8日からスギ花粉の飛散が始まっていた(!)と発表しました。例年が2月上旬~中旬のなか、1カ月ほど早...
「夫に近づきたくない!」年末年始9連休で痛感した“一人になれる空間”の大切さ。自室ナシ主婦が実践すること
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。
“たまたま”の戦いごっこを特等席で観戦中! カッコよすぎて目が離せない
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「港区の遊びはやり切った!」アレン様を待ち受けにするギャラ飲み女子、私生活で各界有名人を総ナメ
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
あなたのものは私のもの!? 「友達を奪う女」の心理と対処法…略奪対象は彼氏だけじゃない
 自分の仲が良い友達を奪う女に悩んでいる方、必見! 今回は友達を奪おうとする女の心理と対処法を解説します。  人の男を...
聞こえてくる音は…
 長いトンネルの中を歩く。  かすかな音も振動となって耳に入り込み、心を震わせた。
【女偏漢字探し】「妹」の中に紛れ込んだ漢字は?(難易度★★☆☆☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
LINE界隈の地味な嫌がらせ、どう撲滅する? 先輩部下からの休日鬼電、八方美人なママ友、嫉妬する女友達…
 地味〜に嫌がらせをしてくる相手、どう対処するのが正解なのでしょうか? 今回はLINEで受けている“地味な嫌がらせ”を3...
FILAの冬物ウエアが1点1500円って…!ゴルフ用品店で掘り出し物ゲット、親孝行が叶った♡【福袋衣類編】
 お正月は実家近くのゴルフショップへ福袋を買いに行くのが毎年恒例となっています。父はそこで毎年福袋を購入しその1年間着倒...
グループLINEで嫌われる人には特徴があるらしい。職場、ママ友、同窓会…やらかしていませんか?
 グループLINEが苦手で、気を遣いながら適度な距離感で参加している人は多いようです。でもなかには、空気が読めなさすぎて...