可愛いのは“実の娘”の子どもだけ…義母からの孫差別に苦悩する妻。なぜ「うちの孫」と言われない?

おがわん ライター
更新日:2025-10-27 11:45
投稿日:2025-10-27 11:45

「悪気がない」が一番厄介

 里美がその違和感を夫に打ち明けたところ、彼は苦笑しながら「母さん、悪気ないよ。たぶん無意識」と言ったという。

 悪気がない――その言葉がいちばん厄介だ。悪意があれば距離を取れる。でも、無意識の差別はどこにでも染み込むように存在し、気づいた側だけが傷つく。

「義母に悪気はないってわかってる。でも“うちの孫”って言葉を娘の子にしか使わないのを見ると、やっぱりもやっとします。私たちの子も同じように生まれて、同じように成長してるのに」

 そんなある日、家族で義母の家を訪れた際、リビングに飾られた写真立てが目に入った。

 義姉の子どもたちが笑って写る写真が5枚ほど。その隣の棚に、小さな額に入った息子(=里美の子)の写真が一枚だけ。

「お義母さん、うちの子の写真も増やしてくださいね」と言うと、義母は「もちろんよ〜、この額がちょうど空いてたの」とにこやかに答えた。

自然な距離だと納得

 その瞬間、里美は「ああ、これが“距離”なんだ」と悟ったという。悪意ではなく、自然な距離。義母にとっては、娘の孫が“日常の中の子ども”で、息子の孫は“時々遊びに来る子”という認識なのだ。

「もう期待するのはやめました。私たちは“○○ちゃんのところの子”でいい。それでも夫の実家に行ったときは笑顔でいようと思ってます。義母の中では、それが自然な序列なんだと思うから」

 そう話す里美は、少し肩の力が抜けたように見えた。孫差別――それはきっと、意地悪や好き嫌いではなく、「どのくらい生活の中に存在しているか」で決まるのだろう。

 けれど、言葉の端々に滲む“温度差”は、確かに存在している。「うちの孫」と呼ばれる子と、「○○ちゃんのところの子」と呼ばれる子。

 その小さな違いの裏には、家族の距離という見えない線が引かれている。そして、その線を最初に感じ取るのは、いつも“嫁”なのだ。

おがわん
記事一覧
ライター
かつてちょっとだけ芸能の世界に所属。現在は縁あって、雑誌やWebメディアなどでライターとして活動中。エンタメ系から日常ネタまで、気になるあれこれを取材。楽しく読んでもらえる文章を目指して、日々ゆるっと執筆中です。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


雪解けの水とハミングと。
 雪解けの水がすごい勢いで山からくだってくる。  流れの音に耳をすませば春の訪れを知る。  澄んだ空気を感じ...
「立ちんぼ女子」は売春行為や街娼を指すことばではなかった
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
朝立ち、オマン湖、チンチン!普通の会話なのに下ネタかました的なLINE
 普通に会話しているだけなのに、相手からしたらどう考えても下ネタにしか聞こえない言葉ってありますよね。引きつった相手の表...
高級クラブのホステス→ギャラ飲み嬢に 面識なしで突然10万円ギフトが…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
「正しくないこと」が「美しくない」とは限らないと知った
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
【スナック超入門編】どんな場所?若葉印のホステスが実感する5大特徴
 みなさんは、そもそも「スナック」がどんなところかご存知でしょうか?  キャバクラやガールズバーとは何が違うの?...
大谷の“一平ちゃん騒動”で不安 友人との金銭トラブルQ&A~弁護士解説
 ドジャースの大谷翔平(29)の専属通訳を務めていた水原一平氏(39)が、違法賭博に関与したとして球団から今月20日、電...
瞬き厳禁! 春到来の歓びを表現する黒“たまたま”を見逃すな
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
松田聖子まさかの中大法学部を卒業! 通信制の学び直しで成功する人は?
 先日、歌手の松田聖子さん(62)が中央大学法学部の通信教育過程を卒業したことが話題になりました。近頃、通信制大学で学び...
スタレビの名曲が聞きたい!仏教と深い関係のある「木蓮」とその仲間たち
 猫店長「さぶ」率いる我が愛すべきお花屋は、ただいま卒業式や送別など春特有のイベント仕事で、いつにも増して花まみれの毎日...
女の敵は女だから?忘れた頃にぼっ発する「専業主婦論争」をガチで考える
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  X(旧Twi...
“炎上常連”麻生さん級の「ルッキズム失言」していませんか?
 最近、よく耳にするのが「ルッキズム」という言葉です。政治家や芸能人が、何気なく言った一言で「ルッキズム発言だ」と叩かれ...
春のお花と記念撮影にゃ! ウサギみたいなしっぽの“たまたま”
 きょうは、ウサギ君みたい! しっぽの短いにゃんたま君に出逢いました。  しっぽが短い猫は長い猫と比べると、臆病で...
春まであと少し?
 残雪の甲斐駒ヶ岳を背にすっかり葉も落ちた葡萄畑  春まであと少しが意外と長い
離婚→シンママになり、心底よかったこと4つ 我慢は美徳っていつの話?
 世間では、離婚してシンママになった女性に対して「かわいそう」「大変そう」といったイメージがあるかもしれません。  で...
職場の同僚ランチが苦痛すぎる…一人の時間を確保する4つの冴えた処世術
 業務内容へのストレスより、職場でのランチタイムが苦痛という人は多いですよね。正直、仕事で疲れているのに、休憩時間まで同...