あれ、蚊が寄ってこない? 虫も避ける“中年おばさん”の血…私の身体はそんなに「不味い」のか

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-10-29 11:45
投稿日:2025-10-29 11:45
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まった老化現象についてありのままに綴ります。第51話は「蚊に刺されなくなった」。

蚊とは若さの象徴だ

「最近、蚊にすっごい刺されるんです! もう10月なのに!」
「寝てるとプ〜ンと来ますー」

 テレビのニュース番組でどう見ても20代と思しき男女が、蚊について街頭インタビューに答えていた。毎年「今年は異常気象」と言われ続けている気がするが、2025年の夏も暑かった。暑すぎて夏の出番を失った蚊が、秋と呼ばれる季節になって出没しているらしい。

【こちらもどうぞ】効いてくれよ、スタバ1杯分! 更年期女がすがる心のお守り。すべてはプラシーボ効果と気づいても

(はて…? これは日本のニュースだよね…?? 蚊なんていたっけ???)

 疑問符が頭の中に飛び交うふりをしている私は、更年期真っ只中のおばさんである。40歳になったあたりから薄々気づいてはいたが、蚊に刺されなくなっている。

(ふーん、私は東京住まいだもんね。都会に蚊なんていないんだもん)

 20代まで住んでいた、出身地の静岡県では信じられないくらい蚊に刺されていた。自然も多く、エアコンも不要だった今から数十年前。網戸にして就寝しても、アイツら(蚊)は網の目をくぐり抜けて、民家に侵入してきた。まぶた周辺を刺されて、鏡を見ると『お岩さん』のように目が腫れていた朝。蚊に刺されると痒くて、膨らんだ箇所に爪で碁盤の目の跡をつけたものだ。プ〜ン、と耳元をアイツらが通過する音に反応して、飛び起きたり。小学生の頃、祖父母の家にいると私ばかりが蚊に刺されて不満を漏らしていた。ああ、懐かしい。

 そんな蚊に好かれまくった時期を経て、今は蚊に見向きもされなくなった。理由は分かっている。年を取ったのだ。若いうちは新陳代謝も活発で、血液もサラサラ。例えるのなら切りたての刺身で握った大トロ。でも年を重ねるに連れて、衰える体調とドロドロになっていく血液。最近ではあまり見なくなったけれど、回転寿司で誰にも食べられず、レーンを何周もして色が変わった大トロのものだろう。そんな寿司を並べられたら、迷わず前者を食べる。刺されまくっていた時期は嫌悪感しかなかったけれど、蚊に刺されるとは「あんた、若いよ!」という正直な意見の象徴だった。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


商店会勧誘で実感。この町は「超ヤカラ的おじーおばー」の⽣息地だった!
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
ま、まじか…。価格最重視で選んだ大バズり中の「解凍プレート」で牛肉切り落としの運命が変わった!
 話題のコスメや、広告でよく見かける化粧品や日用品。「webでよく見るあの商品、本当にイイの?」「買ってみたいけれど、口...
【45歳からの歯科矯正】ワイヤー矯正終わったのにマウスピースを装着。毎日キッチン泡ハイターが手放せない
 ワイヤー矯正が終了し、1年半装着していた矯正器具を外しました。食後の歯磨きのしやすさに感動するのもつかの間、今度は「マ...
子育ては「完璧主義」だと詰む! SNSの“キラキラママ”に振り回されないためには?
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方をテーマにブログやコラムを執筆している豆木メイです。
小馬鹿にする人って実は…。隠された心理とメンタルを死守するための3つの対処法
 会話の節々で「私のことを小馬鹿にしてる…?」と感じるような言動をとってくる人、いますよね。今回は、他人を小馬鹿にする人...
「寝香水」って知ってる?【10月前半】調香師が睡眠の質を高めるアロマをタイプ別に解説
 少しずつ寒くなる季節の変わり目は、しっかり睡眠をとって自律神経を整えましょう。今回は、調香師ならではの裏ワザ【幸福感に...
秋の祭りを共に過ごす時間
 このひと時が宝物だなって気が付くのは、  まだまだ先の話。
老化、苦労、ボトックスとも無縁な御年50のハローキティちゃん
 踊り子として舞台に立ち、エッセイも書く新井見枝香さんの月イチ連載です。アラフォーいろいろあるけど、楽しいよ…!
見せ場もばっちりにゃん! プロレスごっこの“たまたま”が可愛すぎる~
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ほっこり癒し漫画/第82回「ウシオの大変身」
【連載第82回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「破瓜」って何歳? バージン喪失の意味もある!?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
昭和レトロぎゃふん!「ほの字のカレのため、がんばりマッスル」あえての昭和言葉がエモいLINE3選
 令和の今、昭和は遥か昔の時代に感じますよね。40代女性の皆さんは、必死に「昭和感」が出ないよう、細心の注意を払ってきた...
令和のコメ不足、その手があった!価格高騰の秋も使える我が家の対策6選
 新米シーズンに突入し、少し落ち着きを見せているものの、この夏みんなが気になって仕方なかったニュースといえば、令和の米騒...
刺さるわあ…親の“結婚しろ圧”LINE3選。OVER30が涙した「いつまでも元気でいられないから」
 30代半ばを超えると、親からの結婚に対する圧もより一層強くなってきますよね。  LINEに忍ばせた小さなプレッシャー...
自己顕示欲バンザイ! スナックママが教える「自分らしく生きる」ヒント
 みなさん、SNSとかで目立つ人は好きですか? 私はついこの間まで、正直めちゃくちゃ苦手でした。  でも先日、スナ...
東京のごちゃごちゃに疲れる…貸切コンパクトボートで“泡飲み”東京湾クルージングが当たりだった
 都会とは、長年いると何をしていいのか分からなくなる場所である。おいしいご飯もお酒も、どの街にいても味わえる。新しいスポ...