ぶっとんだ役に驚愕!『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』
オダギリさんと言えば、監督や脚本家としての才能もピカイチなことで知られています。その魅力が大爆発している作品は、やはり『オリバーな犬、(GOSH!!)このヤロウ』でしょう。本作は、オダギリさんが監督・脚本・演出・編集・出演の一人5役を務める、まさに‘‘オダギリジョー劇場''。
鑑識課警察犬係に所属する青葉一平(池松壮亮)とその相棒・オリバー(オダギリジョー)の姿をコミカルに描いた脱力系警察ドラマです。正直、ここまでぶっ飛んだ作品をNHKは放送してくれるのかと驚いたことを憶えています。
それが2022年にはシーズン2が放送され、さらに2025年には映画版となって劇場公開されるという大ヒットを記録。オダギリさんは、ハンドラーにだけおっさんに見える警察犬のオリバー役として、水を得た魚のようなコメディ演技を披露。
やる気を感じさせない絶妙なセリフ回しだけでなく、着ぐるみを着て軽快に動き回る姿や警察犬の感情を体現した表情も大きな見どころとなっており、これこそまさにオダギリさんが俳優としてやりたかった境地なのだろうなと思わされる次第。
『時効警察』時代に培ったであろう、面白いものを面白く見せようとする演出も冴えており、オダギリさんのキャリア史上もっとも個性が爆発した作品になっています。
長編映画監督デビュー作『ある船頭の話』(2019)
オダギリジョー監督作品の中には、オダギリさん自身が俳優として出演していない作品も存在します。とりわけ特筆すべきは、やはり2019年の『ある船頭の話』でしょう。
本作は、渡し船の船頭であるトイチ(柄本明)と少女の交流をメインに映し出しており、『オリバーな犬』とは正反対の人間ドラマなのです。
とある山間の村に流れる川の景色を切り取り、そこで繰り広げられる人間ドラマを静かに描き切る。日本映画というよりもヨーロッパのミニシアター系の映画を彷彿させる雰囲気を醸し出します。
語り部となる年老いた船頭の行動を通して、観客に「人間とは何か?」と問いかけてくる様には、オダギリさんが敬愛するアメリカの映画監督ジム・ジャームッシュからの影響が強いように感じます。
名優・柄本明の哀愁漂う名演を引き出したオダギリさんの演出力も光り、もはや本作が監督デビュー作であるということを忘れてしまうほど。
もともと映画監督を夢見て、アメリカへと渡り、願書の記載ミスからいつしか俳優を志すようになったオダギリさん。幼き日から憧れ続けてきた映画監督としての感性にも素晴らしいものがありますね。
独特な存在感を放ち続ける
俳優としても、監督としても独特な存在感を放ち続ける、オダギリジョーさん。約25年前のデビューから一貫して独自のルートを歩み続けている印象があり、このまま歩み続けたら、一体どんな場所に行きつくのか楽しみは尽きません。
俳優と監督の二刀流で、これからもその才能を爆発させてほしいものです。
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