それ“和牛”違いですよ! コントのような「おばさん」二人の会話に更年期の私が救われたわけ

小林久乃 コラムニスト・編集者
更新日:2025-11-19 11:45
投稿日:2025-11-19 11:45

おばさんの会話は切り返しも早い

A「あ、そうそう。昨日、渋谷のフードショーに行ったんですけどね」

 Aさんは“和牛”違いの会話なんぞ、気にする素振りを見せず、次の会話へとコマを進めていた。その様子を見て笑いが止まらなくなってしまった。ここはスタバ。大笑いをするわけにもいかず、必死に声を殺して笑った。涙が出てしまった。この二人の会話から察してほしいのだが、おばさんの会話とは本当に自分たちに都合がいいようにしか話さない。多少の齟齬が生まれようと無視をして、どんどん会話を進めていく。このバーリトゥード方式こそ、おばさん像。

 最近、トイプードルで換算すると8歳くらいになった。人生の折り返し地点だ。更年期も収まらず日々、さまざまな症状を体に投げつけてくる。今年はどれほど医療費を使っただろうか。医療だけではなく、鍼などのリラクゼーションも入れると、メンテナンスにかかる費用を数えるのも恐ろしい。まあ70年式の自動車なんて言ったらもう中古車どころか、マニアか歴史博物館に飾られているような古さだから、それなりに金はかかって当然か。ただ錆びていく自分の体を考えると不安がよぎる。

 そんな時は2年前の明治通りで出会った、ご婦人二人の会話を思い出すようにしている。そのうち私も何もかも都合良く考えて、辻褄の合わない会話を友人と楽しめるようなランクに到達してやるぞ、と思っている。たまに当時のスタバに行くと「あの二人いないかな」と探すが、あれ以来遭遇していない。どうかお元気でいてほしい。そして言いたい「元・和牛の2人は元気ですよ」と。

小林久乃
記事一覧
コラムニスト・編集者
出版社勤務後、独立。2019年「結婚してもしなくてもうるわしきかな人生」にてデビュー。最新刊はドラマオタクの知識を活かした「ベスト・オブ・平成ドラマ!」(青春出版社刊)。現在はエッセイ、コラムの執筆、各メディアの構成と編集、プロモーション業が主な仕事。正々堂々の独身。最新情報は公式HP

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


恩師「結婚したら幸せになれるものではない」えっ!恩師の名言LINE3選
 お世話になった恩師からの言葉は、深く胸に響くものですよね。人によっては、恩師の元を卒業してからも、いろいろな相談をする...
春=別れの季節と思う大人へ「さみしい」は「めでたい」証拠
 みなさんにとって、春はどんなものでしょうか。アラサーの私にとっての春は、年々“別れの季節”になりつつあり、あまり好きで...
指原莉乃が後輩へのスキンシップで炎上!今時のセクハラ・パワハラ境界線
 元HKT48でタレントの指原莉乃(31)が、10年前の番組内で後輩メンバーに行ったスキンシップがSNSで拡散され、炎上...
思いもつかない理由で「常識」は簡単にひっくり返るから…
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
【ダイソー】スギ花粉に負けるな! 40女のお守りアイテム3選
 ついこの間「あけましておめでとう」なんて言ってたのに、いつの間にやら2月も終わりですよ。  まだまだ北風が冷たい...
お日様最高にゃ! 春が来た喜びを全身で表現する“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
「桃」は最強の魔除けアイテム!食べてよし、飾ってよし。
 まもなく上巳の節句(桃の節句)。女の子のお節句でございますわよ。ひな祭りシーズンになるとお花だけでなくスイーツやグッズ...
「なんで風は吹く?」子どもの質問に知識以外で答えてみたい
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
子育てをしたくない若者が急増!複雑に絡むネガティブな原因
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  先日、「子ど...
雪平莉左さんとリオの日常「人間の彼氏もお眼鏡にかなわないと絶対ダメ」
 私が24歳で上京したとき、一緒に東京にやってきてずっと同棲しているのがマンチカンの男のコ、リオです。  リオは高...
茜色に心和むひと時、だからこの時間が好きなんだ
 忙しない街にも訪れる特別な時間。  足早に歩く人々は顔を上げ、しばし空を仰ぎ見てから、また現実へと戻っていく。 ...
連れて帰りたい! 人懐っこすぎる“たまたま”の激レアショット
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
ほっこり癒し漫画/第68回「コウメばあちゃんはどこ?」
【連載第68回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
女+家=嫁…「嫁ぐ」と「結婚」の違いはある?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
電マの営業からラブホの清掃員へ…羞恥心とも戦うストリッパーが思うこと
『電マの営業・新井です!』(略して「電マの新井」)という新作が大変好評だ。  書店員にとっての新作といえば「新しく...
貸したお金を催促するのにこんな手が…! モヤモヤを解消するLINE3選
 人にお金を貸した後、なかなか返してくれなかったら、とても嫌な気持ちになりますよね。  とはいえ、お金の話は、言い...