桜井和寿が書き下ろした「Sign」を聴けば仲間たちの顔が浮かぶ

更新日:2025-11-19 17:03
投稿日:2025-11-19 17:00

【あの頃、テレビドラマは熱かった】#15

 「オレンジデイズ」
 (2004年/TBS系)

  ◇  ◇  ◇

 平成ど真ん中、21世紀の空気にもすっかり慣れた2004年。ネットの速度もケータイの機能も飛躍的に向上していく中で、テレビもデジタル化の過渡期にあった。ちょっと奮発して“液晶の薄型横長テレビ”(この言い方が古い!)を買っても、4:3と16:9のコンテンツが混在していて、画面が落ち着かなかったのを覚えている。

 そんな04年の連ドラの視聴率トップ3は、木村拓哉主演の「プライド」(フジテレビ系月9)、草彅剛主演の「僕と彼女と彼女の生きる道」(カンテレ・フジ系火10)、中居正広主演の「砂の器」(TBS系日曜劇場)だった。はい、SMAPが表彰台独占。しかもこれが全部1月クール! さすがSMAP!!

 ……なんてことを書きたかったわけではなく、本題は「砂の器」の次、4月クールに放送された「オレンジデイズ」について。主演は妻夫木聡と柴咲コウ。これに成宮寛貴、白石美帆、瑛太(現・永山瑛太)を加えた5人の大学4年生を描いた青春ドラマだ。

 脚本の北川悦吏子は、《山田太一脚本の「ふぞろいの林檎たち」が好きで、青春群像劇を書きたかった》とどこかで語っていた。「愛していると言ってくれ」(1995年TBS系)、「ロングバケーション」(96年フジ系)、「ビューティフルライフ」(00年TBS系)で“恋愛の神様”の称号を授かった彼女が、サスペンス「空から降る一億の星」(02年フジ系)の次に書いたドラマ。

 当時見ていた人にはそれぞれツボがあると思うけど、やはりこのドラマは聴覚障害があるヒロインを演じた柴咲がバツグンに可愛かった。ちょっと傲慢で口(手話です)が悪いんだけど、実は臆病で繊細というキャラ。そしてその障害を、ハンディキャップではなく“特徴のひとつ”として仲間と対等に描いた世界は、とても新鮮だった。象徴的なのが、5人でキャンプに向かう車の中でみんなで手話込みで歌うORANGE RANGEの「上海ハニー」。

 愛で地球を救いたがる夏の長時間テレビ内でのドラマのような“泣かせるための素材”としての扱いでは、ない。だからこそ、今でも多くの人の“平成のキラキラした王道の青春もの”として記憶に残るのだろう。

「♪そんなことを考えている」──桜井和寿が台本を読んで書き下ろしたという主題歌「Sign」を聴けば、瞬時にあの“オレンジの会”の仲間たちの顔が浮かぶ。でもあの曲を書いた時は二日酔いだったらしいけど。

(テレビコラムニスト・亀井徳明)

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