三谷幸喜脚本「もしがく」(フジテレビ系)ズッコケの決定的理由…映画だったら大ヒットしてた?

更新日:2025-11-23 17:03
投稿日:2025-11-23 17:00

 三谷幸喜が25年ぶりに民放ゴールデン帯に連続ドラマを書き下ろしと、鳴り物入りで始まった「もしもこの世が舞台なら、楽屋はどこにあるのだろう」(フジテレビ系)が、世帯視聴率3%台と無残なズッコケ! 理由はなにか。

「間延びです。群像劇なので、菅田将暉、二階堂ふみ、神木隆之介、浜辺美波らが演じる登場人物が多く、その一人一人を描き込むのはいいのですが、ちょっと丁寧すぎる。それぞれのキャラは個性豊かで魅力的でも、同じような演出に見えて退屈します。また、40年前の渋谷を舞台に、ストリップ小屋でシェークスピアの『夏の夜の夢』をかけるストーリーですが、女性視聴者はストリップ小屋をのぞいたことはないし、多くの人はシェークスピアを読んだことはないでしょう。なじみがないうえに、タイトルが意味不明で、ドラマのイメージがわきません」(制作会社プロデューサー)

 しかし、三谷は「古畑任三郎」「王様のレストラン」などヒットを連発し、民放の連ドラは得意なはずである。どこを間違ったのか。古畑は1話完結、王様は毎回違う客が来て違う料理を食べた。飽きさせず、だんだん面白くなるのが三谷のドラマなのだが、「もしがく」は話に入り込めず、面白がれないまま脱落してしまう。

本人も覚悟の上

 三谷もそれは覚悟していたようで、<あまり最近のドラマにはない設定だし展開なので、もちろん好き嫌いはあるだろうけれど、ハマってくれる人はいるはず>(朝日新聞10月30日付)と書いている。

 そのハマっている人が2%(第8話の個人視聴率)と、あまりに少ない。

「これが2時間半ぐらいの映画なら、大好評だったでしょうね。『THE 有頂天ホテル』のように、大勢の人物を巧みに絡ませ、早いストーリー展開で大団円。三谷喜劇はそういうものだとみんな思っているから、『もしがく』は“あれ、なんか違うなあ”となってしまったんでしょう」(前出のプロデューサー)

 では、「もしがく」にはどんな結末が用意されているのだろう。久部三成(菅田)が演出したシェークスピアの「夏の夜の夢」や「冬物語」は、めでたしめでたしで終わる。「もしがく」も、テレビ界に転身したお笑い芸人、ストリップ好きのオヤジたち、不気味なオババなど、みんな見に来て客席は満員御礼。にぎやかな千秋楽を迎えるんじゃないかな。 

(コラムニスト・海原かみな)

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