松任谷由実が矢沢永吉に学んだ“桁違いの金持ち”哲学…「恋人がサンタクロース」発売前年の出来事

更新日:2025-12-23 17:03
投稿日:2025-12-23 17:00

 11月に40枚目のオリジナルアルバムを発売し、全国ツアー中の松任谷由実(71)。今年も1980年にリリースした「恋人がサンタクロース」が流れる季節がやってきたが、日本の音楽市場を牽引してきたユーミンは18歳の1973年、本名の「荒井由実」でデビュー。「あの日にかえりたい」などのヒットを飛ばし、76年11月、アレンジャーの松任谷正隆と結婚した。当時、毎年発表されていた『高額所得者公示制度』を参考にすると、この年の申告所得額は4143万円で、初めて長者番付に名を連ねた。

「76年はアルバムを2枚出して、ともに大ヒットしましたからね。ただ、当初から作詞、作曲をしていたので、もっと前に公示されてもおかしくなかった。73年のデビューアルバムは20万枚以上売り上げていますし、75年はシングル『あの日にかえりたい』が61万枚、アルバム『コバルト・アワー』が43万枚を超えていますからね」(音楽関係者)

 この年以降、ユーミンは長者番付の常連となった。そして、国税庁の発表が所得額から納税額に変わった83年、松任谷由実は6935万円で歌手部門1位に輝く。2位から5位は五木ひろし、北島三郎、美空ひばり、森進一と大御所が占める中で、初めてトップを獲得した。

■ 音楽出版社設立と松田聖子への楽曲提供

「前年から『呉田軽穂』名義で、松田聖子に楽曲を提供しており、83年はシングル『秘密の花園』『瞳はダイアモンド』の作曲をしています。この辺りの印税も巨額だったと思いますが、それ以上に79年に『雲母音楽出版』を設立したことが大きい。通常、作詞や作曲をしても、著作権は音楽出版社に譲渡する形になります。その音楽出版社の大半はレコード会社、事務所、テレビ局の関連会社です。テレビなどで曲が流れれば、ジャスラックから音楽出版社に使用料が分配されます。作詞家や作曲家は、その中から何%かをもらうだけ。悪く言えば、中抜きされる」(芸能記者)

 当時、歌手個人が音楽出版社を持つことはほとんどなかったが、75年に矢沢永吉がソロデビューする際、著作権管理会社を作って、楽曲の版権を自ら所有した。

「松任谷夫妻は、矢沢さんに倣ったのだと思います。荒井由実時代の『ひこうき雲』『中央フリーウェイ』などの版権はアルファレコードが持っていますが、松任谷由実の曲は雲母音楽出版が保有するようになりました。ドラマの主題歌になると、テレビ局の著作権管理会社と折衷する場合もありますけどね」(前出の音楽関係者=以下同)

 ユーミンが億万長者になったのは、夫・松任谷正隆の力も大きいと考えられる。

「女性への偏見があった時代ですから、音楽出版社の設立に対し、風当たりも強かったでしょう。その点でも、夫が支えになった。当時、正隆さんは一般的には無名でしたけど、由実さんが才能を信じて一緒になった。正隆さんの父親は銀行員でしたから、お金の計算面で血筋を受け継いでいたのかもしれません。あとは、永ちゃんにしてもユーミンにしても、圧倒的な能力があったから、大手レコード会社が自分たちに権利をくれとは言いづらかったのでしょう。移籍されると困りますから」

 結婚で二人三脚の体制をさらに強化し、自らの才能を伸ばしたユーミン。その資産は莫大であろう。
  
  ◇  ◇  ◇

 お金に振り回されることのないユーミンの人生は見事だ。関連記事【もっと読む】松任谷由実「納税額が最高時から8000万円もダウン」のナゾ…今年も「恋人がサンタクロース」の季節到来…では、むしろ稼いだお金をファンに還元する本人の納税術に迫っている。

エンタメ 新着一覧


旧ジャニ会見から1年半、STARTO社の再興成否…CD売上と人権意識から考察、ファンは一体何を望む?
 2023年9月および10月、旧ジャニーズ事務所は創業者問題で2度記者会見を開いた。その後、同社所属タレントのテレビ・C...
こじらぶ 2025-04-12 06:00 エンタメ
「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...
【おむすびにモヤっと】一瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?
 結(橋本環奈)は大腸がんで入院している患者・丸尾(細川岳)を担当し、食欲不振の対応に苦慮する。  一方、歩(仲里...
桧山珠美 2025-03-26 17:20 エンタメ
【おむすびにモヤっと】最終週は最後の顔見世? 糸島移住“言い出しっぺ”の愛子さん台詞を深読みすると…
 福岡・糸島に移住することが決まった聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)。ヘアサロンヨネダを翔也(佐野勇斗)が継ぐこと...
桧山珠美 2025-03-24 17:20 エンタメ