「ばけばけ」おトキとヘブンの世界、巧みな画面構成に唸った。おじゃま虫、錦織がそこにいてよかったなあ

桧山珠美 TVコラムニスト
更新日:2026-01-05 17:07
投稿日:2026-01-05 17:07

おトキのホンモノの涙

「ヘブン先生に会えて…夜な夜な怪談を語り…聞いて貰えてよかった。仲間、できて、本当に、楽しかった」と話しながら、目から涙があふれ、自然とこぼれ落ちるおトキ。それはもう演技を超え、感情から湧き出たホンモノの涙でした。

「ワタシモ」。そう言いながらヘブンは錦織のほうを振り返り、「ニシコリサン」と呼びかけ、英語で、「あなたという友人にも大変お世話になった」と話します。

「友人」という言葉に反応する錦織。「通りすがり」の件以来、ずっと引っ掛かっていたヘブンとの関係に「友人」という名を与えられ、さらに「『滞在記』は、あなたのおかげで充実しました」と感謝を告げられ、ウルっと…。

「『滞在記』が完成したら、松江を離れるのか?」と英語で訊ねようとした錦織に、おトキは「日本語で聞いてくださいませんか?」とおトキ。「せっかくなら、わかる言葉で聞きたいです」と。

「『日本滞在記』が完成したら、帰る ですよね?」「松江 離れる 居なくなる?」となぜかカタコトの日本語で訊ねる錦織に対して、「イテモ イイデスカ?」とヘブン。

 もう一度、「イテモ イイデスカ?」と今度はおトキを見つめて、「マツエ イル イタイ」と話します。その言葉を聞き、「なして?」とおトキ。

 その手を握り、「トナリ ズット トナリ イサセテ クダサイ」とヘブン。「イサセテクダサイ」が言えずに「イサセ イサセラレ」とやるのはご愛敬として、おトキの弾むような声が印象的でした。

 さすがの錦織もこのあたりで自分がおじゃま虫であることを察したよう。2人を交互に見、目のやり場に困り、そっと視線をはずし、所在なさげにお茶を飲んで「熱っ」とする一連の錦織の動きにも目が離せませんでした。

 出雲大社で永遠の愛を誓うヘブンとおトキ。その傍らには錦織。おトキとヘブンが結ばれたのはなによりですが、そこに錦織がいてよかったなあと思いました。

 そして、ここで八重垣神社の恋占いを思い出したおトキ。おトキの紙だけなかなか沈まなかったあげく、遠くのほうに流れてようやく沈んだあの恋占いのことです。

「あれは遠く西洋から来たヘブン先生とのご縁だったんだなあと」としみじみするおトキに、「ソウデス アレ ワタシデス」とヘブン。笑い合う2人を錦織気分で見届けながら、新年早々、幸せのお裾分けをいただきました。

桧山珠美
記事一覧
TVコラムニスト
大阪府大阪市生まれ。出版社、編集プロダクションを経て、フリーライターに。現在はTVコラムニストとして、ラジオ・テレビを中心としたコラムを執筆。放送批評誌「GALAC」、日刊ゲンダイ「あれもこれも言わせて」などで連載中。

エンタメ 新着一覧


「あんぱん」阿部サダヲの配合絶妙な演技。高知つながりで“しょくぱんまん”登場!
 元気のない家族のために力を貸してほしいというのぶ(永瀬ゆずな)の頼みに、草吉(阿部サダヲ)は1回きりの約束であんぱんを...
桧山珠美 2025-04-09 17:20 エンタメ
「R-1」さや香・新山や吉住らベテラン勢はなぜ負けた? 売れっ子は予選で有利、決勝で不利な理由
 最もおもしろいピン芸人を決める「R-1グランプリ2025」(フジテレビ系)が3月8日に開催された。決勝常連組やベテラン...
帽子田 2025-04-09 09:48 エンタメ
『あんぱん』RADWIMPSの主題歌は本当に「合っていない」のか? 正統派・朝ドラOPの真逆を貫いた意味
 2025年3月31日より、NHK連続テレビ小説『あんぱん』の放送が開始された。国民的キャラクター「アンパンマン」生みの...
ヤムおんちゃん草吉はあんぱん代をきっちり集金。ジャムおじさんとは違う“先導”に期待膨らむ
 草吉(阿部サダヲ)のあんぱんを食べて、生きる力をもらった朝田家。羽多子(江口のりこ)は内職の仕事を始め、釜次(吉田鋼太...
桧山珠美 2025-04-07 17:20 エンタメ
“百戦錬磨”香川照之ゆえの提案「全6話、スイッチを仕込んでいます」【主演ドラマ『災』インタビュー】
「連続ドラマW 災」(WOWOW、6日22時スタート)は、湿り気を帯びた陰鬱な雰囲気とぞわりとする劇伴が感情を揺さぶる不...
「あんぱん」ウラの見所~初週からブチかまし!細部に神経が行き届いた作品だと印象付けた中園脚本
 結太郎(加瀬亮)があの世に旅立ち、悲しみに暮れる朝田家。しかし、のぶ(永瀬ゆずな)は一粒の涙も流さなかった。そんなのぶ...
桧山珠美 2025-04-05 06:00 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」の描写に25年前の“名台詞”が…CA役だった松嶋菜々子の変わらぬ美貌はさすが過ぎる
 ある日、のぶ(永瀬ゆずな)は千尋(平山正剛)とシーソーに乗る嵩(木村優来)を見かけるが、千尋が軽くて動かない。そこでの...
桧山珠美 2025-04-02 17:20 エンタメ
「あんぱん」ヒロインの着物がオレンジ色の納得。ドキンちゃんのモデルゆえの演出
 昭和初期、家族の愛情をたっぷり受けて育った少女が高知の町中を勢いよく駆けていく。「ハチキンおのぶ」こと朝田のぶ(永瀬ゆ...
桧山珠美 2025-03-31 17:20 エンタメ
朝ドラ「あんぱん」男性俳優陣がめちゃ豪華! 赤楚衛二路線で大ブレーク必須な最注目の若手は?
 31日(月)から新しい朝ドラが始まります。その名も連続テレビ小説「あんぱん」。あの「アンパンマン」の作者やなせたかしと...
【おむすびにモヤっと】伏線をまき散らして放送終了、そしてモヤモヤが残った。結はとんでもなくヤベ~やつ?
 歩(仲里依紗)から詩(大島美優)を引き取ろうとするのは甘かったかもしれないと聞いた結(橋本環奈)は、仮定の話を気にして...
桧山珠美 2025-03-29 06:00 エンタメ
【写真特集】倖田來未の美し過ぎるバスト♡ギリギリショット5連発
【この写真の本文に戻る⇒】40代の倖田來未が《全盛期と変わってない》と話題に…20年前と同系ファッションでも、なぜ痛くな...
2025年「冬ドラマ」を調査! 独走状態の『ホットスポット』、疲れた大人世代に『御上先生』は難しかったか
 2025年1月よりスタートした冬ドラマ。惜しまれつつ最終回を迎えたドラマがあった一方で、期待されていたものの視聴率が振...
【おむすびにモヤっと】一瞬の表情で孤独をにじませる歩。最後の最後でヒロイン逆転!?
 結(橋本環奈)は大腸がんで入院している患者・丸尾(細川岳)を担当し、食欲不振の対応に苦慮する。  一方、歩(仲里...
桧山珠美 2025-03-26 17:20 エンタメ
【おむすびにモヤっと】最終週は最後の顔見世? 糸島移住“言い出しっぺ”の愛子さん台詞を深読みすると…
 福岡・糸島に移住することが決まった聖人(北村有起哉)と愛子(麻生久美子)。ヘアサロンヨネダを翔也(佐野勇斗)が継ぐこと...
桧山珠美 2025-03-24 17:20 エンタメ
【募集】冬ドラマの感想は?面白かった&ガッカリを教えて!『御上先生』『ホットスポット』『べらぼう』etc
 コクハクでは2025年冬ドラマを対象としたアンケートを実施します。1月よりスタートした冬ドラマ、「面白かった」作品や「...