卵子凍結だけで入院騒ぎに…思い通りにならない採卵への道

西史織 卵子凍結コンシェルジュ
更新日:2023-01-26 20:39
投稿日:2019-10-06 06:00

排卵のしくみをおさらい

 育った卵胞は30個以上。卵子の老化を気にして凍結しようと思ったのに、育てた卵子を見送ってしまったら無駄使いになるのでは!?

 頭が混乱してそんなことを思ったのですが、よくよく考えてみれば毎月約1000個ずつ減少していくといわれる卵子の中から、通常1個排卵するところを他にもホルモン剤で育てただけ――。

 ここで簡単にですが、排卵のしくみについて触れてみたいと思います。

 女性はお母さんのお腹の中にいる時から、すでに一生分の“卵”が卵巣の中にあるのをご存じですか? それは卵子のもととなる「原始卵胞(卵胞)」と呼ばれるもので、私たちが胎児としてお腹の中にいる時から減り続け、毎月約1000個ずつ減っていくといわれています。まだ生理が来ていない頃にも減っていっているのです。

 通常排卵は月に1回、1個というのがみなさんの知っている常識だと思います。その1個というのは最も成熟した妊娠可能性のある卵子であり、それだけが卵胞を突き破って外に出ていくのです。他の卵子はというと、成熟するまで育たず体内に吸収され無くなります。

 つまり、凍結の際はできる限り多くの卵子を採取することが目的なので、普段であれば成熟しないはずの卵子もホルモン剤で育てていきます。無駄に多く減らしてしまったわけではありません。一瞬ヒヤッとしました……。

採卵を見送ることに…

 30分間、とても悩んだ結果、今回は採卵を見送ることにしました。

 卵子凍結は何回でもチャレンジできるけれど、やはり入院するような事態になるのは避けたかったからです。

 診察室に戻り、医師に見送る旨を伝えました。卵胞をしぼませる錠剤の処方と説明を受け、帰宅。2週間程で終わる予定だった卵子凍結は、採卵できなかった現実に直面し、とても悔しい思いをしました。

 中止した高刺激法による卵子凍結全体にかかった費用は4万円弱。内訳は、診察代とお薬代(錠剤+注射)ですが、中止をしたのに高いお金を払わないといけないこの気持ち……なんとも説明し難いですがとても悲しかったです。

 それから毎日錠剤を飲みました。この期間は脱水症状になりやすいらしく、激しい運動とアルコールは控え、水分はこまめに取るようにと言われました(喫煙している方はタバコも控えます)。

 錠剤の効き目や症状の確認の為に2、3日おきにクリニックへ通います。

 採卵を見送ると決めた日から1週間以上経過すると、医師からようやく「もう大丈夫だろう」という判断がおりました。そして、次の生理期間が来たタイミングで再び卵子凍結にチャレンジしたいと伝えたところ、「次は低刺激法でいこう」とのこと。

「低刺激法」にチャレンジすることに

 低刺激法は、注射ではなくホルモン量の少ない錠剤のみで卵子を育てていくので、私のようにホルモン剤に強く反応してしまう体質の人に向いている方法です。注射の痛みもなく錠剤でゆるやかに育てていくのでお腹の張りも少ないそうです。

 クリニックで改めて卵子凍結に関する契約書にサインして、次の生理のタイミングで飲み始めるお薬をもらって帰宅しました。

 生理が来て服用し始めます。そして、また3日おきに通院の繰り返し。注射は打たず、毎回エコーで卵胞の育ち具合をチェックしていきました。前回のことがあったので、医師もより少し慎重に診察してくれたようです。

 そのまま1週間ほどが経ち、今度は数は15~18個育ったものの、大きさが思うように育ちません。成熟直前まで育ってこないと採卵はできないとのこと。思う通りにならないものですね。医師からは注射も少し併用してみようと提案されました。注射は計3回、打ちました。

 生理から14日後ぐらいの日になると、ようやく医師より採卵日程の提示がありました。採卵は2日後。いよいよです。

西史織
記事一覧
卵子凍結コンシェルジュ
金融業界で営業、IT業界で事業開発に従事後、27歳のときに将来のことを考え卵子凍結をする。その経験から、女性のライフステージと仕事の両立についてをライフテーマに活動。妊活をしている方や卵子凍結をしたい方へ向けたクリニック検索サイト「婦人科ラボ
」を運営。Xでの情報発信や、日刊ゲンダイ、日経xWOMANでの執筆も行う。

ライフスタイル 新着一覧


便利家電を使いこなすお婆ちゃんが教えてくれたこと
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
〆ラー卒業のアラフォーに!「かに鍋&水炊き」缶のススメ
 お酒を飲んだ後、人はなぜラーメンが食べたくなるのでしょうか? アルコールに浸った体が脂と塩分を欲しているのか…。  ...
虫歯1本に治療費100000円!? ベラボーな額を請求される米国の高額治療費
「アメリカに住んでます!」 と聞くと、日本にはないキラキラした素敵な生活を思い浮かべる人は多いのではないでしょうか。 ...
2024-02-26 19:02 ライフスタイル
子どもの友達に「ばあば」と間違えられたショック! 高齢出産の後悔4つ
 世間では、高齢出産する人がとても増えていますよね。晩婚化が進んだ背景や、不妊治療が保険診療になった変化も大きいでしょう...
親バカ上等!いうて夫よりマシかも?子どもの可愛すぎるお手伝い失敗談
 子どもはいつだって、ママを助けたい、褒められたい、役に立ちたいと思っていますよね。だから、小さい子どもはママを喜ばせよ...
おんにゃの子の匂いに夢中!“たまたま”君の恋が実るといいな
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
日本海から吹きつける風の中、黙々と歩く少年たちが愛おしい
 早朝にも夕方にも見える空の色、学生服の少年少女、ミラーに映る電車。  どこか非現実的な景色は、まるで中村宏の絵画...
ほっこり癒し漫画/第65回「パカラパカ、春のひとみにタツノオトシゴ」
【連載第65回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
惚れてまうやろー!彼氏より気が利くChatGPTに「好き」について聞いた
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
恐怖の親知らず抜歯!30女が超ビビりながら人生初抜歯した話
 皆さんは親知らずがまだ生えていますか? 筆者は30代になってもすべての親知らずが生えたままです。  歯は大切にしてい...
世帯年収1500万円でも越えられない壁。耐え難い屈辱を喰らった女の選択
 御茶ノ水駅が最寄りの持ち家で2歳年上の夫・孝憲と4歳の娘・香那と3人家族で余裕ある生活を送る彼女は、ママ友と共に充実し...
え…? 優雅な御茶ノ水ママ友会をブチ壊した、地方出身者の悪気ない一言
 御茶ノ水駅が最寄りの持ち家に住む薬剤師の綾乃。2歳年上の夫・孝憲と4歳の娘・香那と3人家族で余裕ある生活を送る彼女は、...
千代田区民は“勝ち”だよね。通勤ラッシュを知らない自分は上流階級層の女
――『東京の中心に暮らす、ということ』…なんてね。  鈴木綾乃の頭の中にマンション販売のコピーのような、そんな言葉...
「自責と他責」バランス上手な大人が口癖にしている神ワード
 ここ数年、自責思考・他責思考みたいな話題をよく見かけませんか? 私はもう見るたびに「うるせぇ~!」となっている反面、し...
たまにはこんな日もあるよね? 終電を見送ってしまった夜
 久しぶりの仲間との時間が楽しくて、「あと1杯だけ」「あと10分だけ」を続けていたら終電を見送ってしまった。  だ...
出張ホスト、ママ活、女風…女性の金目当てに上京する男性が増えている!
 近頃は地方移住が話題となっていますが、その逆に「地方では稼げないから上京する」男性も出てきています。  出張ホストや...