自覚症状はほとんどない
【09_卵子凍結】
多嚢胞性卵巣症候群という疾患を知っていますか? 一見読みづらくてなかなか頭に入ってこない名前ですが、「たのうほうせい」と読みます。これは若い女性の5~10%(「MSDマニュアル 家庭版」より)に見られる、排卵障害のひとつです。過去にはタレントの神戸蘭子さんや女優の大和田美帆さんなどが公表しています。
死に至るような病気ではないのですが、症状としては主に月経不順や無月経が起こります。悪化すると子宮内膜増殖症や子宮体癌のリスク、不妊などの原因になるともいわれています。
「妊娠したい」と思った時にやっかい
多嚢胞性卵巣症候群は、体に急激な異変を感じたり、分かりやすいサインが無いともいわれ、気づかない方も多いのですが、いざ「妊娠したい」と思った時にやっかいなのです。
というのは、卵巣の中で卵胞は育つにもかかわらず、上手く排卵できないため排卵日にいくらタイミングをはかっても妊娠しづらいのです。
妊娠できないことに不安になり、クリニックへ行ってようやく原因が分かった、という方も少なくありません。
多嚢胞性卵巣症候群の診断方法は、エコーで卵巣の状態を確認したり、血液検査でFSH(卵胞刺激ホルモン)やLH(黄体形成ホルモン)の数値を測れば簡単に分かります。
根本的な治療法はない
現在のところ、残念ながら、この病気に対する根本的な治療法はありません。そのため、妊娠を望む場合や卵子凍結をしたい方は注意が必要です。
多嚢胞性卵巣症候群の疑いがある人は、医師の指導や排卵薬の処方が必要になってきます。
医師が凍結前の適性検査で多嚢胞性卵巣症候群かどうかを診断しますが、多嚢胞性卵巣症候群の方は「排卵誘発剤」に強く反応する傾向が見られ、卵胞が育ちすぎて過剰刺激症候群になりやすいのです。基本的には1万人以上に1人の確率といわれていますが、医師が最新の注意を払って誘発剤を投与するため、入院するほど悪化することは万人に1人と言われています。
ですが、若い方ほど強く反応しやすいことから、20代で多嚢胞性卵巣症候群の傾向がみられる方は注意して医師と相談しながら行いましょう。そういう私も、卵子凍結する際に過剰反応し、採卵できなかった経験があります。私の場合は当時、適性検査の際に医師から多嚢胞性卵巣症候群であることを伝えられておらず知りませんでした。
もしこれから卵子凍結や妊活をしようと思っている方は、事前に自分の体に問題がないかどうかをきちんと確認しておくことをおすすめします。
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