“隠れビッチ”佐久間由衣から学ぶ「最狂ヒロイン」の〇と×

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2019-12-05 06:00
投稿日:2019-12-05 06:00

「素直になれない→チヤホヤされたい」願望の何が悪い!

 ひろみが3年間でフッた男性の数は600人。確かにこれだけ多くの異性から「好き」と告白されたら、女性としての自信にはつながるでしょう。

 ですが個人的に筆者は、「好き」という気持ちが伝わり合い、交際が始まってからが本当のスタートだと思っています。たくさんの異性から「好き」という言葉をもらうよりも、自分が愛する唯一の男性から「好き」を毎日もらいたい。何なら、関係に飽きがきてからが本番=勝負! だととらえています。

 ひろみは本番という土俵にも上がらず、逃げ出してしまっている印象を受けたのです。ただし製作者側によれば、ココこそが女性が共感できるポイントとのこと。「自信がない、素直になれない。だから、チヤホヤされたい」という主人公の感情は実は誰もが心の奥に秘めているので、ひろみの生きづらさや不器用さに共鳴する女性が多いのでは、とのことです。

 ほかにも本作は、「あるある!」や「これはしてはダメ!」、「ああ、胸に刺さる……」と、感情移入できるシーンが盛りだくさん。ひろみが“隠れビッチ”を卒業しようと本気で人を好きになった途端、悲しい経験をする場面は、「人に悪行をはたらいてきたツケが回ってきただけ。因果応報」と思う人もいるかもしれません。

上司役・森山未來との恋の行方は…

“隠れビッチ”と知りながらも受け入れた、森山未來さん演じる職場の上司・三沢光昭との関係も見どころのひとつです。三沢はなぜか毎回、牛乳を買い忘れ、ひろみが「あなたには私のすべてを受け入れる義務がある!」とブチ切れるシーンは、人により意見がわかれるところかと思います。

 佐久間さんは別インタビューで、「めちゃくちゃだけど、女性なら誰もが望んでいることかも。私自身も、ありのままの自分をすべて受け入れてくれる人がいたら素敵だなと思います」と語っていました。

 筆者は、三沢が仕事で遅くなると伝えるとひろみが激怒し、手料理をシンクに流してしまうシーンを観て、「重い、重いオンナすぎる!」という印象を持ちました。

 余談ですが、ひろみが“隠れビッチ”時代に身につけていた、ゆらゆらと揺れる耳飾り(ピアスかイヤリングか判別できなかったので、あえてこの表現で)は、個人的にもオススメです。以前ある識者に取材した際、「ゆらゆらと揺れるタイプの耳飾りは、男性のハンター欲求を刺激する」と語っていたからです。顔の横で揺れることで喜怒哀楽の表現がより大きく見えるため、実は筆者も仕事やプライベートで愛用しています。

 まだまだお伝えしきれない魅力がいくつも詰まった本作。ご自身の女性としての立ち位置や価値観と照らし合わせながら、“最狂ヒロイン”の成長過程を見届けてみてはいかがでしょうか。

12月6日より全国ロードショー。出演:佐久間由衣、村上虹郎、大後寿々花、小関裕太、森山未來 監督・脚本:三木康一郎

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

関連キーワード

エンタメ 新着一覧


夕飯のカレーで描いた星家の“遠慮のない家族”への変化。入山法子の名場面を振り返り
 昭和37年1月、「原爆裁判」の原告のひとり、吉田ミキ(入山法子)が法廷に立つことを承諾。広島から上京してきたミキを、原...
桧山珠美 2024-09-05 17:30 エンタメ
虎に翼の脚本は朝ドラ特有の“中だるみ”なし!塚地出演「あさイチ」との連携プレイにも救われた
 昭和34年、優未(毎田暖乃)は高校1年生に。直明(三山凌輝)と玲美(菊池和澄)の間に子供が産まれ、猪爪家はますますにぎ...
桧山珠美 2024-09-02 17:30 エンタメ
東出昌大“狩猟系イケメン”面目躍如。通り過ぎていった女性たちは何を思う
 期待に応える男、東出昌大(36)がまたまたやってくれました。今度は“デキ婚”ですって。いつかやってくれるだろうとは思っ...
第110回感動のラストシーン! 余貴美子演じる百合さんの“ある台詞”がとっても可愛かった
 寅子(伊藤沙莉)たちとの同居がつらいと本心を語り、家を出ようとするのどか(尾碕真花)。そんな彼女に、優未(毎田暖乃)は...
桧山珠美 2024-08-31 06:00 エンタメ
【写真特集】10年前の初々しい東出昌大。オールバック、ナチュラル、横流し…髪型3変化
【この写真の本文に戻る⇒】杏との離婚から4年、東出昌大“デキ再婚”で話題の養育費問題。子のために前妻が即やるべき事【弁護...
虎に翼108回目でお見事だった2つのシーン。世の中の“普通人”の理不尽な思いを代弁させた
 稲垣(松川尚瑠輝)と小橋(名村辰)にも手伝ってもらい、裁判所で中学生向けの法律の勉強会を開いた寅子(伊藤沙莉)。だが話...
桧山珠美 2024-08-28 17:15 エンタメ
松本人志はいまや「憧れの芸人」ではない。若手芸人が話す3つの理由
「生きるお笑い界の伝説」ことダウンタウン松本。還暦を迎えた今も大人気の冠番組を複数抱え、お笑い界で最も大きな発言権を誇る...
帽子田 2024-08-28 09:38 エンタメ
なんて賢い子!“星家イチのオトナ”が優未だった件。27日あさイチに“料理男子”井上祐貴が降臨
 寅子(伊藤沙莉)と優未(毎田暖乃)は星家で暮らし始めるが、航一(岡田将生)の長男・朋一(井上祐貴)、長女・のどか(尾碕...
桧山珠美 2024-08-26 17:35 エンタメ
木戸大聖が世間に見つかってしまった!月9「海のはじまり」スピンオフでファン急増中
 めめ(目黒蓮)の体調不良が心配でなりません。現在、フジテレビ系月9「海のはじまり」に主演していますが、Snow Man...
寅子の「心が躍るような」結婚式。放送残り1カ月ちょっと、NHKにスピンオフで描いてほしいこと
 お互いそれぞれの名字を名乗ったうえで、「夫婦のようなもの」になることを決めた寅子(伊藤沙莉)と航一(岡田将生)。猪爪家...
桧山珠美 2024-08-24 06:00 エンタメ
平手友梨奈がHYBEと契約終了、2度目の退所で訪れる転機。神童が“本物”に返り咲く日
 平手友梨奈(23)が今月8日、韓国の大手芸能事務所「HYBE」日本本社のレーベル「NAECO」との専属契約を終了した。...
こじらぶ 2024-08-24 06:00 エンタメ
【写真特集】女子アナ時代、初々しい浴衣姿の田中みな実
【この写真の本文に戻る⇒】 なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
なぜ田中みな実は「いらん一言」を放つのか。女優ヅラ発言の真意を考察
 放送中のドラマ『ギークス〜警察署の変人たち〜』(フジテレビ系)にて、3人の主要キャラのうちの1人に抜擢されている田中み...
堺屋大地 2024-08-23 06:00 エンタメ
航一は本当に明治生まれなのか?「夫のようなもの」を許容できる男に疑惑
 航一(岡田将生)から、そこまで悩むのなら結婚をやめようと告げられた寅子(伊藤沙莉)。それは婚姻届を出す結婚をやめようと...
桧山珠美 2024-08-24 00:23 エンタメ
『ラヴィット!』に疑問の声。違和感たっぷりでもギャル曽根の「超ギャルル」を推すワケ
「日本でいちばん明るい朝番組」をコンセプトに、平日の朝に笑いと情報を届けている人気番組『ラヴィット!』(TBS系)。 ...
寅子版「自分会議」はユニークな演出だった! “ラスボス”百合さんに俄然注目
 結婚したら、自分か航一(岡田将生)のどちらかの名字が必ず変わることに、改めて気付いた寅子(伊藤沙莉)。  自分が...
桧山珠美 2024-08-20 15:30 エンタメ