小籔千豊さん「人生会議」は炎上も…家族のためにできること

山崎世美子 男女問題研究家
更新日:2019-12-14 06:00
投稿日:2019-12-14 06:00

話し合う、伝え合う大切さ

 人生100年時代といいます。しかし、いつ、何が起こるか、事前には分かりません。どんなにAIが発達しても、人の寿命をキッチリ言い当てることはできないでしょう。ですから、自分や家族、パートナーの万が一を想定し、それぞれが倒れたとき、どうしてほしいかを相談しておけば、周りは迷うことなく対応することができます。

 余命宣告からずいぶんたち、少しずつ最期が迫る中、容態が安定し落ち着いた母は、キレイな箱を持ち出して中を開けて、説明し始めました。

「私が死んだらこれ着せてね」

 白装束がダサくて嫌だということで、用意したのはお気に入りの派手なスーツと高級ブランドの靴でした。小さめのバックの中には、ハンカチと少しだけお金が入った財布、そして私と私の娘の写真、自分の可愛がっていたペットの写真が入っていました。母が亡くなったのは、その1カ月後です。

 母の望み通りにスーツを着せ、持ちたい物を持たせてのお別れです。しかし、葬儀を終えてふと思うと、本人の意向はともかく、私の気持ちは整理できていませんでした。それから長い月日をかけ、母の遺品は整理しましたが、今なお気持ち的に処分しきれない物もあるのです。

残された家族の悲しみと迷い

 昨年、断捨離しようと母がよく着ていたコートをきちんと畳み、紙袋に入れてゴミ置き場に持って行ったのです。それでも、ふんぎりはつかなかったのでしょう。マンションの部屋に戻り、玄関に立っていると、娘にこう言われたのです。

「ママ、無理して捨てなくていいから、一緒にコート取りに行こう。なくなっちゃうよ」

 娘とゴミ置き場に走って取り返しにいき、コートを抱きしめて思ったことは、もしも母に「コートは、気にせず捨ててえぇよ」と言われていれば、こんなに迷わずに済んだかもしれないということなのです。

山崎世美子
記事一覧
男女問題研究家
「平成の駆け込み寺」として、人間関係、男と女をテーマとし、さまざまな悩みを抱える相談者に的確なアドバイスを送り、心のケア・親身なカウンセリングで一躍人気者となる。TV、ラジオ、雑誌、さらに講演会などからも依頼が多数。いま最も注目されている専門家である。YouTube「せみこの恋愛大学」毎週水曜配信中。
公式HPブログInstagramTikTok

ライフスタイル 新着一覧


「妊娠アウティング」経験者たちのエピソード 悲劇はどうすれば防げたのか
 皆さんは、「妊娠アウティング」という言葉を知っていますか? もしかしたら、実際に被害を受けたことがある人もいるかもしれ...
あの人気観葉植物が地震を予知!? 植物の異変から事前兆候を察知する話
 テレビ画面に映し出される南海トラフの「巨大地震注意」の文字…。不安で心が押しつぶされそうになりますな。ワタクシが生...
アプローチ中のおんにゃの子は塩対応? “たまたま”の恋の行方にドキドキ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
盆地を見下ろす丘で
 盆地を見下ろす丘で。  くるくると回る風に吹かれ、空に風の交差点を観た。
ほっこり癒し漫画/第79回「来るかな? ニャー」
【連載第79回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
「女郎花と男郎花」読める? ヒント:ジョロウは間違い。初秋に愛でたい
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ミルクに難色、昭和育児の「母乳信仰」って何なん? 押しつけがましい上から目線LINEにイラッ
 初めての育児や、何人もの育児をしているお母さんは、とりわけ、毎日大変! そんなお母さんを追い詰める身内、どうにかならな...
セレブ妻が赤羽のサイゼリヤに落ちるまで 上流階級との「品格の差」に絶望
 悠々自適なセレブ生活を送っている医師の妻・大宮由香。ある日、お嬢様学校に通う娘のクラスメイト・愛舞(らぶ)とその母親・...
勝ち組ママ友が放った屈辱的な一言。私を「一般人」と一緒にしないで!
 四ツ谷・番町エリアに暮らす医師の妻である大宮由香は、娘・葵を名門お嬢様学校に通わせている。小学校に入った葵から友人がで...
嘘でしょ…娘の友達が「キラキラネーム」? 玉の輿セレブの大きな誤算
 都会の中心でありながらも、ハイグレードな住宅街として知られる四ツ谷・番町エリア。  大宮由香は、小学校に入ったば...
スメハラ? 90年代の出版社は“異臭”がプ~ン…男と香水と時代の変化
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
移住の思わぬ落とし穴。収入激減で大後悔!こんなはずじゃなかった…
 コロナ禍でリモートワークに対応する会社が多くなり、地方への移住を一つの選択肢として捉える人は増えました。でも、あまり調...
直木賞作家・荻原浩氏インタビュー 世にはびこる誹謗中傷「耳の痛い意見が人を成長させるとは言い切れない」
 パリ五輪でも選手や審判などに対する誹謗中傷は深刻な問題となっている。誹謗中傷は、他人への悪口(誹謗)と根拠のない出鱈目...
まるで最高級の餡子玉! 黒猫のプリプリ“たまたま”がキュートすぎる
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
江角マキコ芸能界引退から7年、初めてデビュー作を語る(後編)父を亡くした喪失感を「ゆみ子」に重ね合わせた
 芸能界から引退している江角マキコさんが、7年ぶりとなるインタビュー取材に応じた。目的は、石川県輪島市を支援するために特...
2024-08-07 07:00 ライフスタイル