自分自身を好きなキャラクターに投影
1960年代生まれのGの憧れのキャラクターは、『ベルサイユのばら』のロザリーでした。皆から愛され、大切にされる存在。特に自分の愛する誰かには母親のように慕われ、甘えられ、守られる存在。
自分から私に迫るのは、彼女のシナリオ上では、母親が子を守るような所業。キスをせがむのは、可愛い甘え。そしてはにかむ自分の唇を、私にはくすっと笑って、奪ってほしい。自分があげた愛情以上の情熱をぶつけて欲しい。
イメージとは食い違うことが起こっても、彼女は脳内で都合よく補正します。が、マイシナリオに没入するパワーは、崩れだすリアルの前で、自分を壊す負のパワーにもなっていくのでした。
ヒロインの親友との関係を細かく指示
ある居酒屋での打ち合わせでのこと。当時、彼女は私に、「自分と綾さんの物語」を書かせようとしていました。ヒロインの親友キャラのモデルを、(彼女の自己イメージの)自分にし、さらにヒロインとの関係を同性愛っぽく描くよう指示していました。
私「どうしてその方向にする必要があるんですか?」
私が仕事として理由を問うと、
G「どうして駄目なんですか!」
彼女が突然、喚きだします。
G「私は綾さんのためを思って言っているのに」
私「駄目なのではなく、違和感と疑問があるので」
G「だから! 綾さんはいまこれを書くべきなんです!」
ヒステリックな大声が続きます。周囲の客や店員がこちらを見ています。彼女のほうは斜め下を向いて、自分の感情とシナリオに酔って喚き続けるだけです。
G「どうしてですか。どうして同性愛は駄目なんですか。それは綾さんの偏見です」
私「えーと、私、同性愛自体はむしろぜんぜんOKですけど」
束の間の沈黙。そして、
G「とにかく! 綾さんはいまこれを書くべきなんですっ!」
5分ほど喚くと、彼女は背中を丸めて下を向き、涙を拭ったりします。
こういったことが、私の仕事や取材に同行するようなシチュエーションでも頻発するようになりました。これまでの被害は私ひとりで済みましたが、だんだん私の仕事仲間にも居心地を悪くさせる状況が続きます。
「あの人、おかしくない?」「ちょっと見ていてキツイわぁ」
そう言いだす人が増えてきました。
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