弱っているときに助けてくれる人
38歳のイベント会社の代表は、都内に新築デザイナーズマンションを購入したキャリアウーマン。お洒落にも手を抜かず、目を引くほどの雰囲気美人ですが、「もうすぐ彼氏いない歴3年目なんです」とはにかみながら相談に来られたのです。
岩手の農家に生まれ、1歳下に弟がいます。昭和の生まれで両親は厳しく、幼いころからGWや夏休み、秋の収穫時期などは家業を手伝い、甘えることはよくないことのように感じて育ってきました。大学を卒業し、就職してからも、そこを引きずっているせいか、それまでつき合った男性におねだりしたことはないそうです。
そんな彼女の心にスッと入ってきたのが、同業他社の1歳下の男性でした。あるとき、その男性と日帰り出張にいくと、帰りの新幹線に乗る前、こんな出来事があったといいます。
「お疲れさまでした。お腹すいたでしょう。これは僕からのお礼の気持ちです」
そういって手渡された袋の中には、お弁当やお菓子などが盛りだくさんだったとか。いつものクセで「ありがとう。いくらだった? たくさん買ってもらってごめんね」と財布を手にしながら、代金を渡そうとすると、さらっといわれたそうです。
「気にせず食べてください。僕が勝手に買ったものですから」
女性が相談に来られたのは、その日帰り出張からしばらくたってから。つき合っていいのか、甘えていいのか分からないというのが相談内容でした。当時の様子をお聞きすると、「いつもなら年下の男性に代金を支払ってもらうと、少し多めのおカネを渡すのですが、そのときはどういうわけか素直に頂くことができました」と笑顔。心のバリアがほどけたのかもしれません。
「あの日はイベント会場をあちこち回って帰るころには脚がパンパンで。正直、疲れていたから、彼が荷物を持ってくれたりしたのがうれしかったですね。私、長女で弟の面倒はよくみていましたが、自分の面倒を見てもらうのは初めてでした。嬉しかったんです」
その男性の包容力を目の当たりにして、本当は誰かに頼りたくて、甘えたかった気持ちに気づいた瞬間です。もちろん、交際も結婚も迷うことはありません。甘えていいというのが私の答えでした。
それでも甘えることに慣れていないせいか、気恥ずかしさから言葉にはなかなか出せませんでした。それで彼女がとった作戦が、日帰り出張のときみたいな“疲れた芝居作戦”です。甘えたくなったら、疲れてしんどいふりをしながらじっとしているとか。
「そうすると、彼はいつも心配してコーヒーを入れてくれるんです」
その男性との同棲を経て、めでたくゴールインしました。
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