心電図検査は「異常なし」でも…甲状腺の病気は本当に厄介

めりぃ(つけものがかり) 編集者
更新日:2020-03-24 06:00
投稿日:2020-03-24 06:00
 潜在的な患者も含めるとおよそ30〜60人にひとりの女性がかかると言われている甲状腺疾患。バセドウ病は、甲状腺機能が亢進する病気で、動悸や発汗、めまいや悪心、体重減少に筋力低下など、その症状は全身に及びます。治療法は投薬・アイソトープ・外科的手術の3種類とされ、多くの患者は投薬治療で寛解を目指します。
 これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。

心電図の検査の結果は「異常なし」

 24時間装着するホルター心電図の検査を終え、結果を聞きにいってみると、なんとまさかの「異常なし」。

 これには医師も驚いたようで「あんなに脈が早いのに、不整脈もないし、心電図はいたって健康ですよ。つまり心臓は健康そのもの!心配はいりません」とお墨付きをもらいました。

 この結果には安堵したものの、異常がないということは、バセドウ病が安定しない限りは、毎日の耐えがたい不調とも付き合い続けなくてはならないことになります。

「じゃあ、動悸やみぞおちの痛みなどは、我慢するしかないってことですよね?」

「そうですね……。甲状腺の病気は、本当に厄介なんですよ。だけど心臓に影響が出ていないから、バセドウさえ落ち着けば、これらの症状も消えると思うんですよね」

「わかりました」

特効薬もなければ、対処法もない

 本来、検査で異常が見つからなかったのは、喜ばしいこと。しかし私は、次から次へと襲いかかる多くの症状に疲れ切っていました。

「はぁ……。これだけ心臓に症状があるってことは、きっとバセドウは良くなっていないんだろうな……」と不安も増します。

 そうこうしているうちに、バセドウ病の定期受診の日に。

 いつものように採血をして、病気の状態を調べてみると、信じがたい結果を突きつけられる展開になったのです。

「薬を増やしたのに、なぜか悪化してしまっていますね。急激な悪化ではありませんが、数値は前回よりも悪くなっています。 ちゃんと薬を飲んでいますか?」

 困惑した表情のドクター。投薬量を増やしたのに数値が悪化したので、どうやら私がきちんと服薬していないのではないかと疑っている様子です。

「飲んでいます! 首が苦しくて、飲み込みも大変ですけど、毎回5分かけて、きちんと飲んでいます」と私。

「そうですか、では、薬が効いていないのかなぁ……。病気を抑えられていないので、今回はもっと薬の量を増やしますね。きちんと1日3回、飲んでくださいね」と念を押されました。

 毎日襲いかかっている不調の数々について、主治医に相談もしましたが「これ」といった特効薬もなければ、対処法もないのは相変わらず。「とにかく安静に、運動せず、ストレスも溜めないこと」と指示を受け、帰宅しました。

頭の中で音がする…

 このころには、頭に常に電子音のようなものがジリジリ……と聞こえるように。幻聴のような状態です。ジリジリ音がないときには、ピーっと頭の奥から響くような耳鳴りが続き、常に頭の中が騒がしく、気がおかしくなりそうでした。

 また、身体がフワフワとしていて、朝から晩まで「浮動性めまい」が出ていました。

 それでも、できることは「薬を飲んで休む」しかなかったので、とにかく1カ月後の次の検診までは、ストレスを減らしながら安静に過ごすよう心がけ、薬もきっちり飲んで治療に集中しました。

 ところが……現実は残酷でした。

 次回に続きます。

めりぃ(つけものがかり)
記事一覧
編集者
アラフォー編集者。壮絶な結婚生活による人生の荒波をくぐり抜け、バセドウ病発覚。2019年、甲状腺全摘手術を経て、完治。つけものを作らせたらプロ顔負けの腕前だが、今のモットーは「バセドウ病患者のつらさを、もっと世間に知ってもらいたい」。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


【動物&飼い主ほっこり漫画】第92回「町のちいさな動物病院にハルがキタ」
【連載第92回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、「コクハク」に登場! 「しっぽのお...
【女偏漢字探し】「燗」の中に隠れた漢字は?(難易度★★★★☆)
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「校閲婦人と学ぶ!意外と知らない女ことば」では、女性...
56歳で初めて包丁を握ったYO! 万年実家暮らし男性が力説する「テキトーな自炊」の愉しみ
 コミックや書籍など数々の表紙デザインを手がけてきた元・装丁デザイナーの山口明さん(64)。多忙な現役時代を経て、56歳...
主婦vs丸の内バリキャリの「マウント合戦」は漫才よりも笑える。“負け顔”ができる女芸人の観察
 かつて西大井にあったお笑い養成所に通っていた3人の女。SNS・mixiのコミュニティに麻梨乃が書き込むと、2人の同期生...
早稲田卒、商社OLの称号は「貧乏な夢追い人」とは違うの。誰よりも高い“現在地”は私だよね?
 かつて西大井にあったお笑い養成所に通っていた3人の女。約20年後、懐かしさで当時使用していたSNS・mixiのコミュニ...
ゲッ…まだ「mixi」見てるの? 独身女2人の即レスに“意地悪な幸せ”を感じる上から目線の主婦
 mixiでの呼びかけに、応答があったのは2人だけだった。  当然だろう。そこはもう誰もいない公園なのだ。あの頃は...
否定ばかりする人のLINEがしんどい…。我慢せず、受け手側ができる3つの対応策とは?
 LINEのやりとりで、相手から否定ばかりの内容が届いたら対応に困りますよね。  腹が立ち、関係をやめたいと思って...
金運を上げる花5選!植物で開運を狙う基本のキ。黄色いお花だけではない【開運花師おすすめ】
 いくらやりくりを頑張っても、追いつかない物価高。こうなったらもう金運を呼び込むしかないかも?  お花や開運に関する...
辻希美は第5子妊娠の衝撃度。長女希空とは18歳差に…年の差きょうだいの良さと熟考すべきこと
 元モーニング娘。の辻希美(37)と夫の俳優・杉浦太陽(43)が3日、第5子妊娠を発表した。  2007年6月に結...
一気に距離が縮まる会話術! 社長も平社員も、みんな笑顔になる「あの話」は鉄板エピソード
 例えば今目の前に距離を縮めたい相手がいたら、みなさんは何をしますか? 私なら、その人の子供時代の話を聞きます。 ...
「子持ち様」認定されないように…非常識な親バカママ友あるあると3つの対処法
 子供がいると避けて通れないのが、ママ友とのお付き合い。  今回は、思わずイラッとしたママ友の親バカ行動をご紹介。周...
職場の「1on1ミーティング」を苦痛に感じる3つの原因。今すぐ取り入れたい対策方法は?
 近年、企業で取り入れられている「1on1ミーティング」をご存知ですか? 新しい手法を取り入れるのは良いことですが、蓋を...
堤防の上は“たまたま”のランウェイならぬ、ニャンウェイ♡ 見せ場のターンの瞬間をパチリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
意外に難しい「ミモザの鉢植え」を成功させたい! ほっぽらかし園芸好きの花屋が教える5つの失敗と対策
 暦の上では3月、ポカポカを通り越して半袖脇汗が止まらない日中があれば、突然寒くなり雪が降る…これは本当に三寒四温なのか...
想定外しかない商店会ワーク。文句ばかり言うおっさんにブチ切れ寸前、寅さんの名台詞で堪えました
 本コラムは、地元の“幽霊商店会”から「相談がある」と言われ、再始動の先導役を担う会長職を拝命することになったバツイチ女...
ぎっくり腰再発かも…? 運動不足解消のため、水泳を始めた中年おばさんの“まさか”
 女性なら誰でも通る茨の道、更年期。今、まさに更年期障害進行形の小林久乃さんが、自らの身に起きた症状や、40代から始まっ...