2人が描かれた鉛筆画を眺めながら「てち……」
そんな中、同年2月10日には前年にリリースされていた7thシングル「アンビバレント」の購入特典である「私物サイン会」が行われた。メンバー指定の抽選制であり、このイベントには長濱も出席した。
1メンバーにつき15名しか当選できない(サインの特典が得られない)このイベントに、長濱ファンである女性が自身の私物として、以前に欅坂46マネジャーがファンクラブ会員向けに投稿した「平手をおんぶする長濱」の画像を鉛筆画にしたものを持参した。
ファンが「これにお願いします」と絵を机に置いた瞬間、長濱は「わーっ、すごーい!」と大きな声を出しじっと絵に見入っていた。
その後サインを書きながら「……こないだね」と、ポツリとつぶやく。突然のことに「えっ?」と聞き返したファンに、視線は落としたまま「こないだ、一緒にご飯行ったんだよー」と長濱。「えっ? ご飯??」と急な話に戸惑うファン。
その顔を見て笑いながら、絵の中の平手の顔を指でトントンとして「てち……」と返す長濱。
「へぇー……そうなんだー……」と相槌を打つファンの顔をまた笑顔で見て頷く。
「ご飯って……2人だけで?」
「うん! 2人だけで……。これ……描いてくださったんですかぁ……凄いですね! 本当にありがとうございます」
そう嬉しそうに言った長濱。ただ、ファンは絵の中の平手をじーっと見ている時の長濱の悲しそうな目が気になったという。
長濱が平手と2人で食事に行ったのはそのイベントの少し前だった。以前より、アイドルとして悩むことがあると、頼りがいがあるという平手に相談してきた長濱だったが、同年1月冒頭に決心し、その後、平手と2人で行った食事で最終的な決断、卒業の意向を平手に話していたのかもしれない。
絵の中の平手を悲しそうな目で見つめていたのは、グループを卒業し平手と離れることへの寂しさと、「この子を守ろう」と決め支えてきたが、自身の心身の限界で先に卒業を決めた申し訳なさから来ていたのではないだろうか。
19年3月7日、長濱はブログで「8枚目のシングル(黒い羊)をもちまして私は欅坂46を卒業します」と公式に発表した。理由や卒業後の進退は明らかにしなかった。
一見アイドルとして順風満帆で人気絶頂、それでいて平手のように不安定なところを見せてこなかった彼女の卒業発表は、事前の匂わせはあったもののあまりに突然で、ショッキングなニュースとして報道もされた。
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