「手術してよかった」術後半年で楽しく毎日を過ごせるように

めりぃ(つけものがかり) 編集者
更新日:2020-06-09 06:00
投稿日:2020-06-09 06:00
 潜在的な患者も含めるとおよそ30〜60人にひとりの女性がかかると言われている甲状腺疾患。バセドウ病は、甲状腺機能が亢進する病気で、動悸や発汗、めまいや悪心、体重減少に筋力低下など、その症状は全身に及びます。治療法は投薬・アイソトープ・外科的手術の3種類とされ、多くの患者は投薬治療で寛解を目指します。
 これは、投薬治療の末に、手術で甲状腺を全摘し完治に至った筆者が、2年間の闘病生活を振り返るドキュメンタリーです。

「すべて順調の健康体」のお墨付きをもらったものの

 なんだかんだで時間が経つのは早いものです。甲状腺の全摘手術から、あっという間に術後半年が経過しました。体力は8割ほど戻った実感がありましたが、まだ100%まではいかないといった体感でした。

 この時点での通院は、2カ月に1度くらい。診察の内容は甲状腺ホルモンを経口補充する投薬量について、適量かどうかを確認してもらうだけになりました。

 ドクターいわく「すべて順調の健康体」。

 この時期は日常生活を送り、バセドウになる前の生活に戻しつつも、なんとなく気分は晴れない毎日。日に日に身体は回復しているけれど、正直に言えば、以前と比べると疲れやすさやメンタルに波があることが気になっていました。

 最初のうちは「バセドウの後遺症だろうか……?」と思っていましたが、よくよく考えてみると、バセドウになってから甲状腺を全摘するまでに約2年の月日が流れているため、加齢による衰えもありそうで。全てが、病気のせいではないのかもしれませんね。

投薬は苦ではなかったけれど……

 ところで、甲状腺を全摘すると、自分では甲状腺ホルモンを作れなくなるため、生涯にわたって薬を飲み続けることになります。私も全摘後は毎日、決まった量の薬を飲み続けています。術後からこれまで1日も忘れたことはありませんが、まわりの人からは「大変そう」と言われることのひとつです。

 でも、バセドウ治療中にも毎日の投薬がありましたし、闘病中と違って副作用のないサプリメントのような成分を少量飲むだけ。ドクターいわく、仮に何日か飲むのを忘れても即座に身体に異常が出るものでもないとのことで、バセドウの投薬治療時に比べれば、心理的な負担も比較にならないほど軽いです。

 余談ですが、体調が良くなるほどに薬を飲むのを忘れそうな日が増えたので、私は忘れない工夫として毎日決まった時間にスマホのアラームが出るようセットしています。

 そして、ずっと悩まされてきていた筋肉のこわばりは、術後半年の段階ではピーク時と比べると半分以下に。ただ、背骨のまわりや首の後ろ側にボコボコとした塊が特に強く残っていました。もしかすると、バセドウ闘病中に甲状腺が腫れて無意識に首をかばう姿勢が増えていたことも、特定の筋肉への負担となってしまい、回復具合に影響したのかなと思っています。

 ちなみにこのこわばりは運動したり動かしたりしてもさほどほぐれず、時間が経過することで固まっていた箇所が解けていくような回復の仕方でした。むしろ動かしすぎると、反動で余計に硬くなっていて後悔するほど……。焦らずに時間をかけて筋肉が修復されるのを待つしかないということが、しんどかったです。

不調が消えるにつれ甲状腺摘出も忘れていくほど

 とはいえ、術後半年も過ぎれば身体内部のバランスは整ってくるのか、手術直後から感じていた生理絡みの不調や抜け毛は落ち着いてきましたし、パニック障害のような症状や手汗も出なくなりました。

 私の場合は、手術前には寝たきりになるほど体力が落ちたせいもあると思いますが、体力が回復するスピードにあわせてゆっくりと調子を取り戻していきました。そうして、気になっていた不調がひとつ消え、ふたつ消え……と改善していくうちに、甲状腺を取ったことを忘れてしまう日も増えました。

 手術から半年後には傷口もさほど気にならなくなっていたし、不調の数も割合も減ってきました。見た目に傷は残っていても、必死になって隠す必要はない程度。まわりの人は私が甲状腺を取ったことを知っている人ばかりだったので、あまり神経質にならずに首を出すファッションを楽しめ出したのも、ありがたかったです。

 ただし、傷があるのを忘れて首元があいた服を着ていた日に、街中で見知らぬ人から首元への熱い視線を感じたことは何度もありました(苦笑)。このあたりは、自分が気にしなければどうってことはありませんが、気にする人だと落ち込んでしまうかもしれません。

葛藤と不安を乗り越えて

 でも、術後半年を過ぎてからは「手術をして、本当によかった!」と思えるようになりました。

 術前は、臓器を取ってしまうことに大きな不安を感じましたし、一生薬を飲まなくてはならない身体になることへの不満や心配、手術後もなかなか本調子にならない身体への苛立ち……といろいろありましたが、結論としては、手術をしたからこそ今の健康な日々があるので「むしろ、もっと早くやっておけばよかった」と思うほどです。

 上述したように、毎日の薬もルーティンになってしまえばなんてことはなく、ここは完全に「案ずるより産むが易し」でした。

 そんなこんなで、今はどうにか毎日を楽しく生活できるようになった私。バセドウ病になってから今日に至るまでは、言い尽くせないほどにいろんな葛藤や出来事がありました。

 次回は、あらためてバセドウ病発覚当時から術後に体調が戻るまでのことを、私なりにまとめてお伝えします。

めりぃ(つけものがかり)
記事一覧
編集者
アラフォー編集者。壮絶な結婚生活による人生の荒波をくぐり抜け、バセドウ病発覚。2019年、甲状腺全摘手術を経て、完治。つけものを作らせたらプロ顔負けの腕前だが、今のモットーは「バセドウ病患者のつらさを、もっと世間に知ってもらいたい」。

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


マウント地獄は住んでから…ゴミ捨て顔作りは当然!タワマン住民あるある
 華やかなイメージのあるタワマン生活。誰よりも高い場所から街の景色を見下ろせるのだから、とてもいい気分だろうなと想像して...
生活感がない世界が一閃切り開かれる瞬間をみた
 生活感がない世界が一閃切り開かれるよう。  巨大な建築物と、血管のように張り巡らされた路線と、時間に正確な鉄道と...
「べっぴん」の由来は? 褒め言葉のつもりでもセクハラ認定の可能性が…
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
ほっこり読み切り漫画/第61回「ぎゅうぎゅうにゃんこホーム」
【連載第61回】  ベストセラー『ねことじいちゃん』の作者が描く話題作が、突然「コクハク」に登場! 「しっぽ...
カナとか!!!とかwwwとかおばさん構文認定なのね…ドン引き痛LINE集w
 言葉遣いや、文章の書き方は世代によって変化していますよね。  そのため、LINEの文章には、つい年代が滲み出てし...
人生絶賛停滞中…スナックのお姉さんや経営者が実践するブレイクスルー
 仕事でもプライベートでも、“行き詰まった感”がハンパない時ってありますよね。見えない壁があるというか……。みなさんはそ...
参加予定の飲み会、行きたくないときあるよね…角が立たない断り方4選
「飲み会に誘われたけど、どうしても行きたくない……」  そんな気分の日は、誰にでもありますよね。今回は行きたくない飲み...
40代独女が「ひとりでできる趣味」でクレーンゲーム中毒になりかけた!
 前回の記事「習い事は無理でもプチ趣味なら! クレーンゲームとガチャガチャにハマった」でクレーンゲームを紹介しましたが、...
押し流されていいのか…ダンプカーが運ぶ土が海を埋めていく
 ダンプカーが運ぶ土が、着々と辺野古の海を埋めていく。  ラジオから「完成は早くても2037年」というニュースが聞...
男装レンタル(イケメン専門)初体験!女同士で最も心地よかったのは…
 レンタルした男性とデートができるサービスは、今や都内だけで数十以上あるほどに増殖中です。そんななか、イケメン男装さんを...
ドヤ顔で“たまたま”をチラリ! ニヤリな口元がカッコイイね
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
なぜか嫌われる人には「7つの特徴」が…!あなたは大丈夫?
 なぜか嫌われる人っていますよね。どんなに場所を変えても人から嫌われる場合、本人も嫌われる原因がわかっていない可能性があ...
ずっと会っていない「昔の友達の誕生日」が忘れられない
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
500mlペットボトルは花器になる!マム(菊)をもっと身近に楽しむ方法
 我が花屋がございます神奈川。昼間は半袖、朝晩には上着を着る寒暖差が激しい陽気が長く一方で、野辺に咲く菊の花の美しい季節...
上昇志向ママ友「揚げ、汁、ポテサラ。あと3品頑張る!」止められねぇ
 上昇志向の人を見ていると、そのバイタリティーに感心してしまいますよね!  自分の成長や出世、より良くするために...
30代40代でも実践で変われます! なぜか好かれる人に共通する特徴9つ
 あなたの周りに、なぜか好かれる人はいますか? いつも周りに人が集まってきて、みんなに愛される……、できればそんな30代...