弁護士もお手上げ!嘘に酔う虚言癖男…加奈子さんのケース#3

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-10-30 06:00
投稿日:2020-10-30 06:00
 内縁の妻がいるから結婚できないと言ったことも、自動車ディーラーという職業も、養護施設に妻の連れ子がいることも、何もかもが嘘だった加奈子さんの恋人・則夫。いつわりが明らかになっても、さらに大きな嘘で言いくるめようとする態度が空恐ろしくなり、加奈子さんは離れようと決めましたが……。

常人には想像できない「なぜ虚言癖の人間は嘘をつくのか」

 それでは済まないのが加奈子さんの兄です。地元で旅館を営む兄は顔が広く、結婚詐欺などに強い弁護士を探して調査を依頼しました。兄にしてみれば加奈子さんはたった一人の可愛い妹です。養護施設に寄付したお金だけでも取り戻してやれないかと思いましたが、弁護士からの返事は、はかばかしくないものでした。

 寄付は加奈子さんが自分の意志で行ったもので、則夫に勧められてしたものではない。加奈子さんが見た子供が則夫の内縁の妻の子かどうかはわからないが、加奈子さんは施設に対して寄付をしており、その子宛てに援助をしたわけではない。則夫の職歴や結婚歴がすべて嘘だったとしても、則夫は加奈子さんをだますことで何ら利益を得ていないので、訴訟を起こすこと自体がむずかしい……という内容でした。

「お兄ちゃん、弁護士さんの言うとおりだよ。あの人、一度も私にお金を出せとは言ってないんだもん。デートの費用もほとんど向こうが出していたんだよ。お金がちゃんと施設に届いているといいなと思うけど、終わったことだからもういいの」

 加奈子さんの兄は肩を落としました。寄付した金額を取りもどせたとしても弁護士費用を差し引くといくらも残らない。むしろ、忘れたいと思っている妹さんの心の傷を深くする結果になるだろう、と初老の弁護士も言ったそうです。妹思いの兄は加奈子さんに、「いったい則夫は何が目的だったんだろう……こんなことをして誰も得しないのに、なぜなんだ……」と、思わずこぼしました。

神田つばき
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女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

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