単独センターのシンクロニシティでレコ大V2
18年には生駒や西野など乃木坂46の創成期を支えた同期が次々と卒業していく。その頃には白石自身も写真集「パスポート」が爆発的大ヒットを記録したり、CM女王になるなど個人でも活躍し、名実ともにアイドル界のトップに到達していた。だが、グループのために卒業を思いとどまった。同年末には白石が単独でセンターを務めた「シンクロニシティ」でレコ大連覇を果たした。
今では乃木坂46の“顔”としてのイメージが強いが、意外にも白石のセンター回数はグループ歴代3位だ。1位の西野が在籍7年半で7回、2位の生駒が在籍7年で6回。白石は在籍9年で5回(最新の配信シングルを含めると次のエース齋藤も同様)。
それでも白石センター曲のレコ大受賞率は5回中2回。いかに彼女が長くグループのために出過ぎることなく、しかし要所を押さえながら貢献してきたかが分かる。
白石の握手列は平時で8時間待ちも
加入したての3期生、4期生がセンターに抜擢されていく中でも白石がそばにいることで、グループの安定感が揺らぐことはなかった。その人気と美貌におごることなく、グループ冠番組では身体を張ったり、ひょうきんな一面を見せ笑いもとって後輩の手本となった。多くの人気メンバーの卒業を見送りながらも同時に後進が育っていく手助けをし、乃木坂46の先頭を走り続けた。
グループや白石個人の人気が爆発していくにつれ、彼女の握手列は空前絶後の規模になっていた。最初期の「待ち時間無し」から1時間待ち、3時間待ちとどんどん伸び、後期には8時間待ちもあった。卒業発表などしていない平時でそれだけの集客をし、対応し続けた白石には頭が下がる思いだ。疲れも見せず、常に笑顔で神対応なところは変わることはなかった。
乃木坂46、欅坂46、日向坂46の中央で舞う
後輩が育ったことを確認し、今年初頭ついに白石は卒業を発表。その直前の19年NHK紅白歌合戦では「シンクロニシティ」を坂道シリーズの後輩である欅坂46、日向坂46と合同で披露した。乃木坂46ファンからは、他の2グループがそれぞれ単独でも持ち曲を披露するのに不公平だという声もあがった。それでも白石は自身のグループだけでなく、坂道シリーズ全体の繁栄を象徴するようにそのセンターで舞った。
おそらく、自分ばかりが注目されないようにか、卒業発表は紅白前ではなく年明けになった。後輩グループもすでに大きな人気を獲得していたが、彼女や乃木坂46に憧れてオーディションを受けたメンバーはとても多い。現在の「坂道隆盛を築いた立役者」といっても過言ではないだろう。
彼女が残した功績にふさわしく、5月に東京ドーム3daysでの卒業ライブが予定されていた。しかしコロナ禍でそれは幻と化す。と同時に、ファンとの交流型アイドルである乃木坂46にとって握手会・ライブ開催ができないという一番のピンチを迎えた。白石は当初の卒業予定を伸ばし、音楽特番など随所でグループ活動に参加した。このことで乃木坂46から離れなかったファンがどれだけいるだろうか。
ここまで乃木坂46に残ってくれてありがとう
28日の卒業ライブは無観客だったが、結果的に配信ライブとなったことで本来なら会場で見ることができなかった国内外のファンも含め、推定68万人が視聴できた。白石人気を裏付けただけでなく、乃木坂46をあまり知らない一般層にも後輩を披露する形となった。
アイドル最後のライブまで、常にファンを気遣いプロフェッショナルであり続けた。同期に愛され、後輩からの人望も絶大だ。ライブ冒頭からのメンバーたちの早すぎる号泣の嵐がそれを物語っていた。彼女のファンだけでなく、他メンバーの多くのファンからも、「ここまで乃木坂46に残ってくれてありがとう」と感謝と労いの言葉がネット上に溢れた。
白石自身が開設しているYouTubeチャンネルの登録者数は2カ月で115万人に上っている。卒業後も女優やモデルとしてだけでなく、インフルエンサーとして君臨し続けるだろう。彼女が抜けた乃木坂46ではすでに次世代のエースたちが躍進している。
置かれた場所で常に全力を尽くし模範であり続けた白石に心からの賛辞を贈りたい。
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