そんなえりのボスのもとにはウワサを聞きつけ、今日も悩みを抱えた女性が、ふらりと立ち寄ったようですよ。
1. ぐるぐると考え込んでしまい、不安になる
今回のご相談はアサミさん(43歳女性・仮名)から。
「ついつい考え込んでしまい、不安で頭の中がいっぱいになってしまうんです……」
と、アサミさんは暗い表情でつぶやきました。
えりのボスは、アサミさんの隣にそっと座ります。
「なにか不安なことがあるのかしら?」
「いえ、落ち着いて考えてみると大したことではないんですけれど……。家族とのちょっとした言い合いとか、ご近所との微妙な距離感とか、些細なことですぐ不安を感じてしまって。そんなとき、『私の人生はこのままでいいのかな』とふとした瞬間に考えてしまい、さらに不安が強くなるんです」
「頭の中で、ぐるぐると不安が渦巻いている感じ?」
「はい。本当に『ぐるぐる』という表現がぴったりです」
「私にも経験があるわ」
えりのボスはうなずきながら、こう言いました。
「不安感は更年期に起こる代表的な症状のひとつなのよ。更年期のメンタル不調への基本的な対策が、あなたの不安感を和らげてくれるかもしれないわ」
「更年期のメンタル不調への対策……?」
アサミさんは、救いを求めるような表情でじっとえりのボスを見つめています。
これは放っておけません!
2. 不安感が強まる原因は更年期!?
「えりのさん……なぜ更年期になると、不安感が強まってしまうんですか?」
「大きく分けて、ふたつの原因があるといわれているの。ひとつは女性ホルモンの分泌低下による脳の機能の変調。もうひとつは更年期の時期に特有の、環境的な要因よ。順番に説明するわね」
えりのボスは、アサミさんをそっと見つめながら説明を始めました。
「まずは、ひとつめの原因。卵巣から女性ホルモンが分泌されるとき、脳の『視床下部(ししょうかぶ)』という部分から、女性ホルモンを出すようにという命令が出るの。
更年期には卵巣の機能が衰えて、視床下部からの命令伝達がうまくいかなくなり、視床下部の機能に変調をきたすと考えられているわ。
視床下部はさまざまなホルモンの分泌や自律神経の機能を調節する大切な部分だから、更年期にはイライラや不安感のような精神症状も出やすくなるの」
アサミさんは真剣にうなずいています。
「もうひとつの原因は、40代半ばから50代半ばにかけての更年期女性をとり巻く、環境的な要因よ」
えりのボスは続けます。
「ご主人の定年やお子さんの独立や結婚、あるいはご両親の介護のように身のまわりの変化が多い年代でしょう? お子さんの独立で喪失感を覚えたり、介護ストレスや定年後の経済状況の変化を経験したり。更年期は、ちょうど心境の変化をもたらすイベントに重なりやすい時期なのよ」
「なるほど。たしかに、当てはまることがたくさんあります。この不安感を和らげるには、どうしたらいいんでしょうか……?」
「更年期の不安感は抑え込まずに、受け止めて付き合うことが大切なの。コツをお伝えするわね」
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