魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様分析を得意とする並木まきが、そんな残念すぎるフレーズを3選ご紹介します。
1:「いい人そうだったのに」
「DV夫と、半年以上の離婚調停の末に、無事に離婚が成立しました。
ホッとした気持ちと、これからひとりで生きていかなくてはいけない気持ちとが入り混じっていたころ、近所の人と立ち話になり、離婚したことを伝えると『あら〜、残念ね。いい人そうだったのに!』と言われたのは、地味に傷つきましたね。
子供の学区の関係で、私が結婚当時に住んでいた家に暮らし続けることになったので、近所から好奇の目を向けられるのは覚悟のうえでしたけど、それでも、そんな言い方をされたことで、なんだか私に離婚原因があるみたいじゃないの……ってイライラしました」(39歳女性/販売)
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DV夫であっても、外ヅラのいいタイプも多いと聞きます。
離婚の真相は当人にしかわからないだけに、離婚相手を褒めるような不用意な発言は控えたほうがスマートでしょう。
2:「でも暴力はなかったんでしょ?」
「殴る蹴るなどの肉体的暴力はないものの、経済的、精神的DVが激しかった元夫とやっとのことで離婚しました。
友人たちに離婚を報告していたときに、ある人から『でも、暴力はなかったんでしょ? なら、踏ん張ればよかったのに』と言われたのには、正直、かなり傷つきましたね。
そりゃあ、離婚せずに済むならそれに越したことはないですし、自分でも相当に悩んだ末の結論としての離婚だったんですから、安易にそういう言葉をかけてほしくなかったです。
それ以来、その友人とはなんとなく疎遠になりました」(35歳女性/美容師)
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ひと口に「DV」と言っても、肉体的に傷つける行為だけでなく、精神的・経済的に追い詰める行為など、その内容は多岐にわたります。
「暴力がないなら、我慢せよ」は、気楽に発するべき言葉ではありませんよね。
3:「でも、これからどうするの?」
「気に入らないことがあると、物置に閉じ込めたり頭から水をかけたりするサイコパスっぽいDV元夫と離婚が成立したときには、身も心もボロボロでした。
とにかく、元夫から離れたい一心で離婚に向けて動き、なんとか結果を勝ち得た矢先、職場の人から『でも、これからどうするの?』と言われたのは、正直、かなりキツかったです。
離婚するためにがんばってきて、まだ先のことも考えられないし、DV被害に遭っている人は、将来を考えるより前に、相手から逃げることが最優先なのに。
心配してくれての言葉だったのかもしれないけれど、心身ともに疲れている身には、かなり堪える言葉でした」(41歳女性/翻訳)
◇ ◇ ◇
DVの被害に遭っている女性の多くは、まずは相手から逃げることが先決。
ようやくDV男から離れられた矢先に、現実を突きつけるような言葉を耳にすれば、不安を煽る引き金になっても無理はありません。
夫からDVを受けていた女性の多くは、離婚が成立した直後には身も心も疲れ果てているケースが多いです。
また「私はDV被害者です」と公言せずに、離婚の報告だけをする女性も少なくありません。
そんなときに、周囲からの安易な言葉でさらに苦しめることのないよう、配慮のある態度を心がけるに越したことはないでしょう。
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