かつては自民党が“要望書”を送付…テレビ局の担当者が「政権批判」して飛ばされたことはあるのでしょうか?
【テレビ局に代わり勝手に「情報開示」】
そう来ましたか…これって非常にいい質問とも言えますし、非常に答えにくい「愚問」とも言えますかね。気持ちとしては「はい、あります」とお答えしたいところなのです。そして「きっとそんな感じなんだろうな」という事態を目の当たりにしたことも、なくはないです。でも、「政権批判したから飛ばされたのかどうか」というのは、なかなか断言しづらいところなんですよね。たぶん局に取材を申し入れたら「政権批判して飛ばされることなど、決してない」と答えるでしょうしね。
じつは、たぶん私も昔「そこそこの失敗」をやらかしてしまって、とある大きな番組を飛ばされたのだろうな、という経験をしています。どんな失敗かというと、政治家ではありませんが、非常に重要な出演者さんの所属事務所の社長を怒らせてしまったことがあるんです。
あー、こりゃまずいかな…たぶんこのままでは済まされないよな…と思っていたら、そのあと少しして見事に他の番組に異動になりました。しかも、それまでいた部署とは少し違う部署の、別にまったく希望していなかった番組への突然の人事異動でした。それまでその番組ではそこそこ大きな顔をしてやりたい放題でしたので、突然異動になったことが周囲にも「あれ?」と思われたようです。
■事務所社長を怒らせたら……
まあテレビ局も会社ですので、人事異動になった理由とか、上司は何も教えてくれません。だから「たぶん飛ばされたんだろうな」と思いましたけど、いまだに自分でも「あの配置転換が、左遷とか懲罰人事だったのか。それとも違うのか」ははっきりとは分からないままです。ただ、辞令が出た直後に、局の偉い先輩と廊下ですれ違ったら、笑いながら「お前、やっちゃったな」と言われましたので、たぶんあれは「大切な事務所を怒らせたので飛ばされた」で間違いないのでしょう。
ま、そんな感じですから「政権批判して飛ばされた人がいるか」と言われたら、正確な答えとしては「たぶんそんな人がいそうです」という感じになりますね。局員は何かやらかしたら「理由も言われず、闇に紛れて飛ばされる」んです。そして、それが怖いからみんな上司の顔色をうかがい、外部の有力者に忖度して、守りの姿勢で仕事をするんです。
放送業界は、いわば「村社会」です。そして村人である業界人は、暗黙の「村の掟」に従って密かに「村八分」にされるのです。理由のはっきりしない人事異動こそが、テレビの闇を深くしているのかもしれませんね。
(鎮目博道/テレビプロデューサー、コラムニスト、顔ハメ旅人)
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