しかし、事件は道端で起きた!
ところが、事件は初回のデートで起こりました。
由香里は実際のところ「広志くんと付き合ったけど、まだ完全に好きにはなれていない」のが本音。でもそれは「久しぶりの恋愛だからかな?」とも思っていました。
お昼から映画を観に行って、公園を散歩して、夜ご飯のお店に歩いて向かう途中に広志くんが当然のように手を繋いできたけど、正直ときめくような気持ちではなく、義務みたいな感覚で繋いでいた由香里。でももっと慣れていけば、きっとちゃんとした恋愛になっていくと信じて、ご飯屋さんに向かって歩いていました。
すると、由香里の方を向いて喋りながら歩いていた広志くんが、道のブロックにつまずいて転んでしまったのです! 運悪くブロックに足が斜めにひっかかったため、道路に体が飛び出してしまってかなり危険な状況に。
由香里は「だっ……大丈夫!? 起き上がれるかな?」と必死に手を取り、助けようとした瞬間、広志くんは急にすくっと立ち上がって、そそくさと歩道の内側に戻り、ズボンのポケットからスマホを取り出していじりはじめたのです。そしてもう一つの手は、なぜかポケットに入れてカッコつけている……。
ズッコけて車道に倒れ込んだことが、まるでなかったかのような振る舞いをした広志くん。きっと「カッコ悪いところを見せたくない」という男のプライドで、意地を張ったのでしょう。
とはいえ、いくらなんでもズッコけた事実を取り消せるわけもありません。ただ笑って済ませればいい話だったのに……。その一連の行動を見て、由香里は鳥肌が立っていました……!
そして広志くんへの恋心が芽生えるどころか、一気に気持ちが冷めきってしまったのです。もう“生理的にムリ”なレベル。
その後、おそらく膝や足首がまだ痛むであろう広志くんと、夜ご飯のお店へ歩いてたどり着き、2時間ほどで解散。もはや由香里はどんな会話をしたかさえ、覚えていません。
そして帰宅してすぐに「やっぱり好きになれなかった、別れてください」の一言をLINEで送って終了。
また恋愛ご無沙汰生活再開です。
でも「ムリに彼氏なんて作らない方が、気ままでラクかも?」なんて思いながら、休日にまた絵を描いて過ごす由香里に戻りました。
今後も、出会った男性のちょっとした言動で一気に冷めてしまうのでしょうか? だとすると、結婚への道のりは長い気もしますが、冷めてしまうものは仕方ないですよね。
きっといつか「どんな失敗をしても愛おしい」と思える、運命の人が現れることを祈って。
【今日の一言メモ】あの時、道でズッコけてさえいなければ……!?
また次回の #ザン恋 もお楽しみに!
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