相撲、お馬さん、くるりんぱ…幼児期の運動で“成功体験”を!

小阪有花 子どもの心スペシャリスト
更新日:2021-03-09 06:06
投稿日:2021-03-09 06:00
 子どもの運動神経は、生まれてから小学生にあがるくらいまでの経験によって養われると言われています。前回の記事「子どもの運動神経は“養う”もの…遺伝や才能なんて関係ない!」に続き、今回は「幼児期」に取り入れたい運動についてお伝えさせていただきます。

相撲遊びで“押す&引く”を訓練する

 子どもが活発になり、親御さんによく飛びついてくるようになったら、遊びのひとつに「相撲」を取り入れましょう。

 相撲には、しゃがむ、つかむ、押す、引く、相手の動きに反応する、という様々な要素が含まれています。また、相手が押してきた時に体を引いて相手のバランスを崩すというテクニックも相撲ならではであり、反射神経を養い、バランス感覚を身につけることもできます。

 しゃがむという動作は下半身を強化させるため、スポーツだけでなく、腰や身体を守る上でもとても重要な意味があります。

 例えば、日常生活や仕事において、何か重いものを運ぶ時、子どもを抱っこする時など、下半身を正しくスクワットさせてしゃがむことで腰への負担を軽減させることができますが、幼少期にしゃがむ動作をあまりしないで大人になると、こういった動作の感覚がないために、腰痛を患ってしまったり怪我をしてしまうことにつながります。

 筆者である私は、まさにこの動きを幼少期にしておかなかったばかりに、保育園で働くようになって腰痛を悪化させ病院に通うことになった苦い経験があります。

 こんな経験を子どもにさせないためにも、幼少期のうちに相撲で身体を鍛えておきましょう。

 もしやり方がわからないようであれば、最初は大人がお手本を見せて、子どもも徐々に真似をしながら覚えていきましょう。パパやママと一緒に触れ合うスキンシップにもなりますし、あとでよく眠れるというメリットもありますからね。

お馬さん遊びで体幹を鍛えよう

 バランス感覚を養い体幹を鍛えるために、「お馬さん遊び」もオススメです。大人が四つん這いになって背中に子どもを乗せて動くもので、こどもが大好きな遊びです。

 最初は大人の肩を持たせて体を安定させます。安定してきたら大人はお馬さんのように移動します。子どもの様子を見て徐々に激しく動いてみましょう。子どもは振り落とされないようにバランスをとりながら両脚と両手を使って大人の身体にしがみつくので、股関節が柔軟になり、握力や腕力、そして体幹が身につきます。

 体幹が身につくと筋肉のバランスが整い、身体全体の安定性が向上します。バランス、体幹は全てのスポーツにおいての基本といっても過言ではありません。また、お馬さん遊びはバランス感覚も養われるため、近い将来に自転車に乗る練習をする上でも役立ちますので、親御さんは少し大変ですがたくさん遊んでおきましょう。

くるりんぱで頭を逆さにする経験を

 小学生、中学生と成長していく中で、でんぐり返しが苦手、鉄棒の逆上がりが苦手という子どもは多いですが、こういった、飛んだり空中で回転したりするような能力は、幼児期のうちに頭を逆さにする遊びをしているかいないかで大きく差がつきます。

 オリンピックや国体で活躍する体操選手の多くは、幼少の頃から体操教室などでこういった動きに慣れ親しんで育つといいます。

 体操のオリンピック選手たちは空中で回転している時、自分がどの位置にいるかを感覚で理解していると言われていますが、これを一言に“空中感覚”と呼びます。この空中感覚は、神経細胞が成熟するまでに体得する必要があり、そのためには少なくとも小学校低学年までに体操を学ぶ必要があるのです。

 なので、幼少期のうちに空中感覚を養えるサポートを遊びながらしてあげると良いでしょう。空中感覚を養う上で私のお勧めの遊びは「くるりんぱ」です。

 くるりんぱがわからない方は、「くるりんぱ 遊び」で検索してみてください。やり方は、大人と子どもが向かい合って両手をつなぎます。子どもは両手を握ったまま大人の身体を駆け上がり逆さに一回転する、というものです。

 くるりんぱ遊びの動きは空中で回転することによって三半規管の機能を高めるだけでなく、握る、蹴る、回る、着地する、という体操運動の基本動作が含まれております。

 身体を支えるにはどれくらいの力で握ればよいのか? どの方向に蹴ればきれいに回ることができるのか? どういう姿勢をとれば身体はきれいに回るのか? くるりんぱを何度も行ううちに、子どもは無意識でこれらを学び、空中感覚をつかんでいくでしょう。

 気をつけるポイントは、この時決して大人は前屈みになってはいけません。子どもの転倒を防止するためと、自分の腰を痛めてしまう恐れがあるので、必ずまっすぐ立ってあげてください。

おわりに

 運動に苦手意識のある子は、運動ができないのではなく“成功体験”がないだけです。小さな成功体験をコツコツと積み重ねていくことで子どもは意欲的になり、苦手だったものも好きなものへと変わっていきます。

 これは、運動だけでなく、勉強や遊び、おうちのお手伝いなど、全てに言えることかもしれません。ぜひたくさんの経験をさせて、自信を身につけてさせてあげてくださいね。

小阪有花
記事一覧
子どもの心スペシャリスト
保育コンサルタント。アイドル時代の旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。09年に引退後、保育園の先生を経て現職に。チャイルドカウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター、家族療法カウンセラーなどの資格を持つ。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


宇宙と秩序の花「コスモス」 お部屋に飾って女子力アップも
 夏の夕暮れにトンボが飛び始めると、だんだんと日が短くなり夏の終わりを感じてなんだか物寂しく、ちょっぴりセンチメンタルな...
子どもと電車の長距離移動! 飽きさせない&騒ぐ時の対処法
 電車やバスなどの公共機関で小さな子どもと出かける時、楽しさ反面、「イヤイヤしたら?騒いだらどうしよう……」と親は心配で...
絶妙なポロリ感…ひょうきん茶トラの“にゃんたま”をパチリ
 きょうは、「茶トラ白」君のにゃんたまωにロックオン。  茶トラの中でも、白い靴を履いているみたいでかっこいいだろ...
介護はやっぱり家族が? 貧困家庭はどう切り抜ければいい
「親の介護をしてあげたい」と思っても、大きな問題になるのがズバリ、お金のことでしょう。  介護をしてあげたいと思っ...
今すぐマネしたい! 職場で好かれる女性の10個の共通点♪
 職場で憧れの女性っていませんか?その場の雰囲気を和ませたり、気配り上手だったり、仕事にも一生懸命に取り組んでいたり。そ...
入院初夜に襲われた“下剤地獄”からがん患者と仲良くなる問題
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...
人間の言葉を理解? パワーあふれる“にゃんたま”に開運祈願
 今回は、待ち受け画面にすると開運しそうなにゃんたま様です。  あふれるような“ありがたいパワー”を感じるのは気の...
女子ウケしない女性の理由…やってしまいがちな行動に注意!
「男子ウケは悪くない。 でも全く女子ウケしない!」――。とあるSNS数万フォロワーの友人が悩んでいました。確かにカワイイ...
オトナ女子のSNSの使い方 “自己ブランディング”でモテ力向上
 大人の女はSNSなんてやらないもの。あんなものは学生の道楽……そんな風に思っていませんか? しかし、今やSNSは日本人...
肌のゴールデンタイム説は間違い!?美肌を作る睡眠の取り方
「お肌のゴールデンタイムを逃さないように、早く寝ないと!」なんて、キレイ女子の間で定説化している22時〜2時の肌のゴール...
高貴で厳かな「菊」を解説…重陽の節句に花びら浮かべ菊酒を
 いつの世も“目に見えない不思議”が大好きな方がいらっしゃいます。  ワタクシの友人にスピリチュアル大好きBさんが...
ピルを飲んだら妊娠しやすくなる? 妊活に備えた服用の利点
「ピル=避妊薬」って思うのやめない?と言っておきながら、ピルの優れた避妊効果について「ピルで確実に避妊するなら?心構えや...
子供たちにも動じない…“にゃんたま”様の器の大きさに感動!
 きょうもご一緒に、にゃんたまωを愛でましょう。  海辺に建つラーメン屋さんの入口で大きなにゃんたま君と出逢いまし...
全然違う? 関東と関西の“ホスト雑誌”を見比べてみました
 ホストクラブのホスト達がモデルをつとめるファッション誌があるのをご存知でしょうか。ホストも洋服もじっくり眺められる、あ...
親の介護施設入所に罪悪感を感じないで! 施設のメリット3つ
 親の介護をしてみると、自分の生活もままならない様子に「辛い」と感じる人が多くいます。そこで、どうにもできなくなった親の...
後遺症ほぼ100%「尿意の喪失と尿閉」障害について考える
 私は42歳で子宮頸部腺がんステージ1Bを宣告された未婚女性、がんサバイバー2年生です(進級しました!)。がん告知はひと...