柄本佑が語る!<前>映画人なら腐るほど役者さんを観ないと…

内埜さくら 恋愛コラムニスト
更新日:2021-09-10 20:23
投稿日:2021-09-08 06:00

不倫する男でも憎めない人間味のあるヤツに…

 ――柄本さんが演じた俊夫を演じる際に意識したことは。

 柄本 最初に監督から言われた内容を大切にしつつ演じました。「確実に俊夫が不倫という、自身の行いによって巻き起こした事柄であり結果ではあるけれど、映画を観た方々が、彼を完全な悪人と捉えずに観終えてほしい。こんな男だからあの結末を迎えても仕方ないなという、憎めないヤツにしたい」と。

 ですから僕は俊夫を、人間味あふれるキャラクターとして演じたつもりです。

 ――俊夫は新作を描けない漫画家でもあり、佐和子のアシスタントとして生活しています。

 柄本 作品の中で俊夫も言っていますが、描けないのではなく、描くことが見つからない状態なんですよね。おそらくクリエイターが迎えるであろう産みの苦しみの最中で、監督も経験しているのではないかと推察しました。

映画人なら映画の目利きに

 僕自身も役者というモノ作りに携わる立場として思うことは、「魚屋さんが魚の目利きができなくてどうする?」ということです。映画人なら映画の目利きという意味で、個人的なものさしにはなりますが、俳優という部署に所属しているので、腐るほど役者さんを観ないといけないな、と。

 だからといって芝居の技法ばかりを抽出しながら観るのではなく、作品そのものを楽しんでいます。この役者さんが好きだという観点で、作品を観るのを忘れないほうがいいと意識しつつ。

 ただ、無意識に芝居は観察しているかもしれません。(役者としての)生きる術として(笑)。そして以前、柳家小三治師匠が、「芸なんて、できる限りのことしかできない。あとは人です」といったことを仰っていたんです。僕は芯を食った言葉だと今でも思っています。どの職業においてもいえるかもしれませんが、やはり人としてきちんと生きていることが一番、大切ではないかと。

人として地に足をつけて生活する

 役者であれば、人間性が芸に活きる。だからこそ、人として地に足をつけて生活することが、一番の自分磨きになるのではないかと思っています。結果論なので、具体的にどうしたら人間力を鍛えられるのかハッキリとはわかりませんが、日頃から「ちゃんと生きよう」とは心がけています。

漫画研究部に所属する少年だった

 ――芸といえば柄本さんは作中で漫画に筆入れをするシーンも演じています。とてもお上手だったので、もとから絵心があったのでは? と思ったのですが。

 柄本 自分で絵心があるとは思っていませんが小学校のとき、漫画研究部に所属していたんです。丸ペンやGペンを使ったことはありませんでしたが、絵を描くのは好きでした。

 今も好きで描くことがありますが、作中で俊夫がやるような、サッサッサッとまっすぐな線を描くのってすごく難しいんです。力加減を誤るとインクの濃淡が変わってしまうので、やはりプロはすごいなと思いました。

 ――ほかにもイラストを手がけていらっしゃいますよね。

 柄本 父が座長を務める『劇団東京乾電池』でイラストを描いたこともありますし、弟と一緒にユニットを組んでやる芝居のチラシは、自分で描いたりもしています。絵は過去に読んできた漫画が参考になっていると思いますが、僕の描く絵は俊夫とは違い、気楽な落書きのような絵です(笑)。

 ――ちなみに、柄本さんの漫画バイブルは?

 柄本 大友克洋先生の『童夢』と、山上たつひこ先生の『喜劇新思想大系』です。臼井儀人先生の『クレヨンしんちゃん』も大好きで、実写化されるときは、野原ひろし役のオファーはいつでもウェルカムな状態にスタンバイしています(笑)。

 あの絵のテイストが好きなんです。いわゆる“いい絵”で、誰にもマネできない。そういう点では、東海林さだお先生も大好きですね。

 後編では、「恋人」ではなく「夫婦」ならではの良さや、“柄本佑流の生き方”などについても聞きました。

 ※9月10日(金)より新宿ピカデリー他全国公開

内埜さくら
記事一覧
恋愛コラムニスト
これまでのインタビュー人数は3500人以上。無料の恋愛相談は年間200人以上の男女が利用、リピーターも多い(現在休止中。準備中のため近日中にブログにて開始を告知予定)。恋愛コメンテーターとして「ZIP!」(日本テレビ系)、「スッキリ」(同)、「バラいろダンディ」(MX-TV)、「5時に夢中!」(同)などのテレビやラジオ、雑誌に多数出演。

URL: https://ameblo.jp/sakura-ment

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


昼と夜で違う顔 ガード下で見つけた芸術作品 2023.3.3(金)
 暗闇をバックに造形が際立つ、まるでガード下の芸術作品。  明るい時間にはなんてことない風景なんだけど、まったく違...
イジリとイジメの違いは?関西出身者は思う「わからん人は使用厳禁!」
 みなさんの生活圏には「イジる文化」はありますか? 私は関西出身なので、お笑いの文化が身近にあり、小さな頃からイジリ慣れ...
プレゼン怖い問題 緊張しない5つの方法で苦手意識をなくす!
 会社でのプレゼンや学校での保護者会など、人前で喋るときに緊張して本領発揮できなくなってしまう人はよくいます。たしかに、...
にゃんたま撮影=合法! プリプリな美少年“たまたま”に大注目
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
職場にひとりはいる!? 驚くほど「働かないおじさん」対策法
 会社で働いていると、びっくりするほど仕事をしないおじさんっていませんか?  働き盛りのアラサー、アラフォー女性にとっ...
三匹寄れば文殊の知恵 2023.3.1(水)
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...
超絶かわいい! 春の花「シレネ サクラコマチ」最強の飾り方
「へー!」  以前なにげなく見ていたNHKの特集番組で、思わず声が出たことがございました。なぜテントウムシは自然と...
写真の黒枠は要注意! 40代なら知っておきたい年賀状マナー
 年々、デジタル化が進む現代では、年に一度、心を込めて書く年賀状の意義も大きくなっていますよね。でも、実は年賀状には意外...
BiSHセントチヒロ・チッチ「ハクと坊のきょうだい猫は人を虜にする」
 私、このコたちを我が家に迎える前から、ふたりのファンだったんです。 「セントチヒロ・チッチ」の名前の通り、私はジ...
「新井モーニング」からのストリップ劇場へ 2023.2.28(火)
 書店員でエッセイストで踊り子。コクハクで連載中の新井見枝香さんが出演するストリップを観に行ってきました。ストリップ初心...
自分を追い詰めないで アラフォー女性管理職5つの悩み&解決法
「課長に昇進したのはいいけど、意外とツラい〜!」そんなアラフォー女性、増えています! 豊富な経験から職場で責任あるポジシ...
日光浴&岩盤浴♡ くるんとしたポーズで“たまたま”をチラリ
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
見栄っ張りな女の「隠れ心理と付き合い方」を知って楽になる
 あなたの周りに、見栄っ張りな女はいませんか。友達だと思っていても、会うたびに見栄を張られると、疲れてしまいますよね。こ...
職場にウジャウジャいる!?「老害社員」特徴5つと付き合い方
 さまざまな年齢の人が働いている職場では、かなり年の離れた定年間近の上司や先輩とも付き合わなくてはなりません。人生の先輩...
何でもない日、いつか良い思い出になる時間 2023.2.27(月)
 行きかう電車を眺める2人。  なにか会話をするでもなく、ただ同じ方向を向いている。  記念日やイベントごと...
ママ友が10人目のご懐妊!? ヤバいカミングアウトLINE3選
 人は見かけによらないといいますよね。実際に普段抱いている印象とはまったく違う「意外な一面」を持っている人がいたりいなか...