“鬼嫁”と吹聴すれば楽…切実な事情を抱える41歳劣等夫の選択

並木まき ライター・エディター
更新日:2022-04-09 06:00
投稿日:2022-04-09 06:00
冷酷と激情のあいだvol.85〜女性編〜」では、3歳年上の夫・トシキさん(仮名)から、自分の知らないところで“鬼嫁”呼ばわりされていることを知り、怒りを隠せない女性・夏奈子さん(仮名/38歳女性)の心情をお届けしました。
 では、トシキさんはなぜ自分の周囲に対して、妻のことを悪く言い続けているのでしょうか。

妻に非はないけど、ただ怖い!

「あー……、それはですねー……。ちょっとした事情があるんです」

“困ったな”という表情をしながら、口ごもるトシキさん。どうやら、妻のことを悪く言っている理由について、話しにくい事情があるようです。

「うーんと、こんなことを言うのは本人には悪いなって思うんですが、僕は奥さんが怖くて……。

 怖いって言っても、妻が怒りっぽいとか冷たいとかはなくて、向こうは普通にしているだけだと思うんです。僕に意地悪をするってわけでもないですし。

 えーっと……、妻はなんでもチャキチャキと片付けて要領が良い人なんですけど、僕は真逆のタイプなんですね。それで、妻と一緒にいると僕の劣等感がくすぐられると言うんですかね……、無言の圧をかけられている気持ちになるんですよ」

妻への劣等感が恐怖心に変わってしまった

 結婚以来ずっと、自宅にいても心が休まらないと感じているトシキさん。妻が家事や仕事をきちんとこなす姿を目の当たりにするたびに、劣等感を抱いてきていて、やがてそれが「恐怖心」へと変わってしまったと悲しそうに話します。

「だから、誰かに家庭のことを聞かれても話せることもないから、“ウチのヨメは鬼嫁で”って話しているんです。そうすれば、多くの人はそれ以上のことは訊いてきませんから。

“鬼嫁”って言えば、だいたいの人は家庭がうまくいっていないのかなって察してくれるから、助かるんです。

 実際、ウチはうまくいっているかと言えば、特に円満ってワケでもないと思いますし。娘がいるので、娘が成人するまでは離婚はしたくありませんが、生涯を通じて妻と一緒にいるのかと訊かれれば、自信がないですね……。

 妻に対しては、こんな夫で申し訳ないなぁっていう気持ちはあるんです。でも、僕はやっぱり妻のように要領よくいろんなことができるわけでもないし、頭も悪いんで。ときどき、ものすごく今の環境から逃げ出したくなります。でも、逃げても何も変わらないって思うので、行動には移していないですけどね」

「結婚生活って難しい」

 トシキさんは、今後も家庭生活が今よりも良くなる可能性は低いだろうと諦めているとのこと。ただ、妻に非があるわけでもなく、すべては自分の受け止め方の問題だと認識しているそうです。

「結婚生活って、思っていたよりもずっと難しいんですね……」とため息をつきながら話しているのが印象的でした。

 ◇  ◇  ◇

 恋人同士であれ、夫婦であれ、100%同じ価値観を有する男女は稀です。ましてや交際前の男女となれば、なおのことです。少しのすれ違いが、大きな溝に発展することも少なくないのが異性間における現実でしょう。まさにこれこそが、男女関係における醍醐味にもなれば致命傷にもなる“冷酷と激情”のはざまなのかもしれません。

並木まき
記事一覧
ライター・エディター
元市議会議員・時短美容家(一般社団法人 時短美容協会・代表理事)の肩書きを有する。20代から見聞きしてきた魑魅魍魎(ちみもうりょう)な人間模様への分析を活かし、美容や恋愛に関するコラムを中心に、さまざまな媒体に寄稿。
Instagram公式HP

日刊ゲンダイ掲載「あの人は今」
https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/geino/277865

関連キーワード

ラブ 新着一覧


身体の相性の次に重要なのは? 水も滴るいいオンナの特徴3つ
 涼香(リョウカ)と言います。銀座で長らくお仕事をさせていただいています。といって、接客型のクラブではなく、カウンター越...
涼香 2022-04-13 17:30 ラブ
脱ダメンズ!付き合う前から自己チューなダメ男を見抜く方法
 皆さんにとって、“ダメ男”ってどんな印象ですか? 人によって「ダメだな」と思うポイントは異なりますが、私が思うに「自分...
若林杏樹 2022-03-30 06:00 ラブ
ワンナイト目的?“男性の下心”見抜き方5つ&本気にさせるテク
 男性からアプローチされたら、たとえ興味のない相手であっても悪い気はしないもの。でも、それは下心があってのアプローチかも...
恋バナ調査隊 2022-03-30 06:00 ラブ
「彼氏が飲み会」良からぬ妄想はポイ捨て!3つの不安解消法
 彼氏が飲み会に行くたびに不安を感じる女性は多いようです。彼氏が帰宅するまで、気が気ではなくて眠れなくてつらいという声も...
恋バナ調査隊 2022-03-30 06:00 ラブ
本命彼に“付き合ってよかった”と言わせる彼女の恋愛テク3つ
 せっかく付き合うなら、「付き合ってよかった」と思われる彼女になりたいですよね♡ 実はそんなふうに思われる彼女たちは、無...
恋バナ調査隊 2022-03-29 06:00 ラブ
モテる女性は「気遣い」が9割!?今すぐ実行できる5つのテク
 格別に美人というわけでもないのに、なぜかモテる女性っていませんか。そんな女性は気遣い上手な女性なのかもしれません。外見...
恋バナ調査隊 2022-03-28 06:00 ラブ
好きな人から無視されるの、何で? 5つの理由と本音の探り方
 恋愛中、好きな人に無視されるようになった経験はありますか?「何か嫌われることした?」「脈なしなのかな……」と、マイナス...
恋バナ調査隊 2022-03-28 06:00 ラブ
“恋愛の駆け引き”本当に必要?嫌われる&ウザい女を回避する
「恋愛には駆け引きが有効」と思っている女性は多いでしょう。でも、実際には駆け引きをしたことが逆効果となり、嫌われてしまう...
恋バナ調査隊 2022-03-27 06:00 ラブ
本当の恋に落ちると激変!あなたの特徴と運命の男の見分け方
「本当の恋がしたい!」と思うことはありませんか? 年齢を重ねていくごとに恋愛経験が増えているとしても、いつも相手に合わせ...
恋バナ調査隊 2022-03-27 06:00 ラブ
性懲りもなく“甘い言葉”を囁く男性心理 本気か嘘かを見抜く
 男性に甘い言葉を囁かれると、多くの女性は疑いながらも嬉しい気持ちになりますよね。でも、果たしてそれは本音なのでしょうか...
恋バナ調査隊 2022-03-26 06:00 ラブ
“相談女”撃退のスカッとLINE!男は古典的な手口も見抜けない
 悩みがある振りをして彼氏や夫に近づき、2人きりになって彼を奪おうとする「相談女」。やっかいなことに男性自身は相談女の本...
恋バナ調査隊 2022-03-26 06:00 ラブ
バツ1同士の安定婚から一転 ヒモ化した41歳夫に愛想尽かす妻
 男女の関係では、交際相手や配偶者の態度に悩む人も少なくありません。愛し合っている男女間でも、価値観や物事の判断には個人...
並木まき 2022-03-26 06:00 ラブ
再婚はバツ1限定! 働きたくないから甲斐性ある妻を狙った夫
「冷酷と激情のあいだvol.83〜女性編〜」では、再婚した夫が仕事に意欲を見せず、収入が低下していることに苦しむ妻・優奈...
並木まき 2022-03-26 06:00 ラブ
ネガ思考が逆にツボ…こじらせ男子の特徴と“マル秘”恋愛テク
 魅力的なのになぜか自分に自信がなく、「どうせ俺なんて……」とネガティブな発言ばかりしている男性がいます。もしかしたらそ...
恋バナ調査隊 2022-03-25 06:00 ラブ
「スピード離婚」につながる4つの理由とまだ間に合う対応策
 結婚してから、1〜2年の間に離婚をする「スピード離婚」。近年では特別珍しくはないようですが、でも、多くの人は「できれば...
恋バナ調査隊 2022-03-24 06:00 ラブ
片思いの彼に恋人はいる?SNSでサーベイ可能な3つのイベント
「あの人には彼女がいるかもしれないから、怖くて誘えない……」  そんな怖さを抱えて片思いをしている人は大勢いるようです...
内藤みか 2022-03-24 06:00 ラブ