子供の劣等感をなくしたい…年齢より習熟度別保育のススメ

小阪有花 子どもの心スペシャリスト
更新日:2019-04-12 06:00
投稿日:2019-04-12 06:00
 こんにちは、チャイルドカウンセラーの小阪有花です。保育園コンサルタントをしている私は、よく園にも足を運ぶのですが、どの保育園もクラスはほとんど年齢ごとに分けられています。
 でも、子供の1日は大人の10年分といわれるほど常に成長をし続けています。そんな子供たちを年齢別にクラス分けしてしまうのは、少々無理があるのでは?と私は思うのです。

子供の目の前でため息を漏らす大人

集団行動ができるようになるタイミングは違う(写真:iStock)
集団行動ができるようになるタイミングは違う (写真:iStock)

 保育園では、朝の会や給食の時間など、みんなが一斉に同じことをする定例行事があります。その際、まだ集まることができず、やりたいことへの欲求をコントロール出来ない子供もいます。

「○○ちゃん今はこっちだからー!」と、あの手この手で引きつけようとする大人たち。

 呼びかけても来ない子供に対し「あの子は月齢が低いからまだ難しいよね」「3月生まれだから仕方ないよね」と理解しながらも、子供の目の前でため息を漏らしてしまう現場をよく見てきました。

 私自身、保育園で1、2、3歳それぞれの担任経験があるので、何度ため息を漏らしてしまったことかと反省しています。

 ただでさえ慌ただしい保育園。子供がみんなの輪から脱走するたび、“勘弁してよ……”と半泣きになり、いつしか声もキツくなってきたりと、振り回されていた経験があります。

 けれども、この年齢別クラス分けやクラスごとの行動こそ、大人都合の考えではないでしょうか。

 集団行動も大切ですが、それができるようになるタイミングは一人一人違います。

「今はこれをする時間だから、○○ちゃんもこうして!」と願い誘導するのは、時と場合によりますが、個を見ていることにはならないのです。

私が習熟度別保育を勧める理由

成長に合わせて次の段階へ(写真:iStock)
成長に合わせて次の段階へ (写真:iStock)

「習熟度別保育」とは、年齢別ではなく子供の成長を見ながら進級のタイミングを決めることです。4月になったら一斉に新しいクラスではなく、子供たち一人一人の“今の姿”を見つめ、次の段階へと進ませるのです。

 例えば、この子はまだ一人遊びに集中したい時期だと判断した場合、集団行動よりも、個の欲求を満たす時間が多いクラスへと移動させます。

 個の欲求が満たされる時間が短いまま強制的に集団行動へと導くと、欲求不満から、輪から外れて走り回ったりすることが多くなってしまいます。

 欧米では当たり前の「飛び級制度」も同じことが言えます。成長に合わせ、この子は次のステップに行きたがっていると判断した場合、上のクラスへの変更も可能にします。

 このように、個の成長のタイミングで進級させることは子供のためにもなりますし、働く大人たちにとっても子供に無理強いしなくて済むので、働きやすい環境へとつながるのです。

結果として成長を早めることにも

ペースに合った進級が成長を早める(写真:iStock)
ペースに合った進級が成長を早める (写真:iStock)

 年齢別に振り分けるより、一人一人の成長に合わせる。その子にとって今何が必要かを考えることは、結果として、その子の成長を早めることにもなるのです。

「○○くんは月齢が低いから……」という発言やため息を、子供たちは何も言わずとも聞いているものです。何げないひと言で“ボクは周りよりもできないのかな?”と子供に劣等感を与えかねません。

 そんなことが起こらないよう、大人たちも習熟度別保育に関心を持っていただけたらと思います。

小阪有花
記事一覧
子どもの心スペシャリスト
保育コンサルタント。アイドル時代の旧芸名は小阪由佳。「ミスマガジン2004」グランプリで芸能界デビュー。09年に引退後、保育園の先生を経て現職に。チャイルドカウンセラー、幼児食インストラクター、ベビーシッター、家族療法カウンセラーなどの資格を持つ。
XInstagram

関連キーワード

ライフスタイル 新着一覧


年の差婚の弊害?夫の“昭和の価値観”を持つ息子の将来が不安すぎる件
 セックスレスやセルフプレジャー、夫婦の在り方などをテーマにブログやコラムを執筆しているまめです。  私の夫は10...
仕事のモチベが上がらない!30女40女のやる気スイッチをONにするテク
 どんなに好きな仕事でもモチベーションが上がらない時だってありますよね。気持ちが乗っていない時は、ミスしたり、時間が永遠...
この子を育てるのは無理かも…発達障害児がストレスで鏡に刻みかけた言葉
 ステップファミリー6年目になる占い師ライターtumugiです。私は10代でデキ婚→子ども2人連れて離婚→シングルマザー...
菜の花の小道で一触即発! 道を譲るのはどっちの“たまたま”
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
今夜は誰と出合おうか…人で溢れる街の隅っこに転がる心
 先に仮想世界(?)でお互いを見つけて、そこから顔を合わせるって最初は気まずくないのかな? と昭和の世代は思っちゃうけど...
水商売の水は流水説 夜の街で働くホステスやホストだけが当てはまるの?
 知っているようで意外と知らない「ことば」ってたくさんありますよね。「女ことば」では、女性にまつわる漢字や熟語、表現、地...
2月相次ぐ地震で“南海トラフ”がトレンド入り 専門家の警戒する地震は?
 2月15日午前10時8分、京都府南部で震度3(マグニチュード=M3.7)の地震が発生。14日にも同じ場所で震度4(M4...
贈り物に「無理して喜ぶ」はNG行動 本当にイイ女は“感動コスパ”の猛者
 誰かに喜んでもらえるのって嬉しいですよね。そして小さな労力でたくさん喜んでもらえたら、もっと嬉しいですよね。それが“感...
シャトレーゼ専用のポイ活は知らなきゃ損! 激アツ宿泊特典&賢い裏ワザ
 シャトレーゼのお菓子はよく食べているのに、シャトレーゼのポイント「カシポ」を知らないなんてもったいない! 「カシ...
イラッ!遅刻を許せない私は心が狭い? 穏やかな心を保つ3つの考え方
 会社や約束の時間に、平気で遅刻を繰り返す人を見ると「許せない!」と感じる人は多いはず。とはいえ、自分がイライラすれば周...
朝日に向かって飛び立つハクチョウにも悩みがあるとしたら…
 朝日を浴びて飛び立つハクチョウたち。並んで飛んでいるけど、それぞれどんな立場で、どんな関係なんだろう。  きっと...
私が芸能活動できるのはギャラ飲みのおかげ! タレントの卵の実生活は…
 経営者や著名人、人気のインフルエンサーも利用する「ギャラ飲み」なるサービスって知っていますか? 東京都内のみならず、全...
祝「日刊ニャンダイ」発売! 俺の“たまたま”も載ってるよ♡
「にゃんたま」とは、猫の陰嚢のこと。神の作った最高傑作! 去勢前のもふもふ・カワイイ・ちょっとはずかしな“たまたま”を見...
仕事をがんばるあなたへ こんな時代だからこそ「自己肯定感」を高めて
 自分を条件なしに肯定できる力を「自己肯定感」といいます。あなたは、自己肯定感が高いですか? 低いですか? 実は、自己肯...
春を告げる「ミモザ」、“命短し”可憐なフワフワを長持ちさせる鉄の掟3条
 先だって大雪に見舞われた、我が愛すべきお花屋の周辺にも春を告げる鳥がボチボチやってくるようになりました。  しかも店...
自分がナンバーワンになれる場所 それを見つけるのも才能
 北海道で暮らす、まん丸で真っ白な小さな鳥「シマエナガちゃん」。動物写真家の小原玲さんが撮影した可愛くて凛々しいシマエナ...