一本ずつ断ち切られた“人間関係の枝” 美沙さんのケース#3

神田つばき 女と性 専門ライター
更新日:2020-01-11 07:07
投稿日:2019-04-28 06:00

親きょうだいには言えない生活の悩み

母や妹と同じように女性として充実したい

 美沙さんの生活時間の大半が健斗のために使われていました。

「でも、私はそれを異常なことだとは思っていなかったのです。女性が愛する男性のために尽くすことは、恥ずかしいことではないと思っていました。母も妹も専業主婦で、二人とも幸せな家庭を築いていますから」

 と、のちに美沙さんは振り返っています。女性の幸福は家庭にあるという考え方は、現代の日本でもまだ生きているのです。

 美沙さんのお母さんと妹さんは、美沙さんが彼氏と同棲していると聞いて、よかったわねと祝福してくれたそうです。妹さんは、「自分たち夫婦が実家近くに住んで援助してもらっていたから、姉は窮屈に感じて一人暮らしをはじめたんだと感じていました。だから、姉に結婚できそうな人ができた、応援しようね、と夫と話していたんです」と言い、お母さんは「美沙ちゃんはしっかりしているので、何も心配していませんでした」と語っています。

ひそかに工面し続けていた生活費のやりくり

 しかし、美沙さんは二人には隠していることがありました。健斗が飲食店のバイトしかしていないことと、生活費を分担してくれないことです。美沙さんはめいっぱい残業をして時間外賃金を稼ぎ、何とか二人の生活をやりくりしていました。

 結婚していない、頼れる男性を見つけることができていない――。

 そんな自分を親きょうだいに対して恥じる気持ちがありました。母と妹に自分を認めてもらいたい、心配をかけたくない、と悩む美沙さんは家族からも孤立していました。

 やがて、そんな苦労にも限界がやってきます。相変わらず始末書を書かされたり、飲食店のバイトから遅く帰る健斗の性処理をさせられたり、週末にはたまった家事をこなしたり……疲労はピークに達し、預金も底をつきました。

 次回、「出版社OLが“人妻風俗”に転落した理由 美沙さんのケース#4」に続きます。

【あわせて読みたい】
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神田つばき
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女と性 専門ライター
離婚と子宮ガンをきっかけに“目がさめて”女性に生まれたことの愉しみを取り戻すべく、緊縛写真のモデルとライターに。私小説「ゲスママ」、イベント「東京女子エロ画祭」「親であること、毒になること」などを企画。最近は女犯罪者や緊縛表現者に関するZINEの制作・販売を開始。Xnoteblog

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